もうひとつの「中間弾薬」~小銃と重機の間で

「中間弾薬」といえば拳銃弾と小銃弾の間の弾薬ですが、それとは違ったところの間を取った弾のおはなし
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フランスの9x66mm弾薬

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

中間弾薬というと昨今のスタンダードですが、それとは全く別系統の「中間弾薬」のお話。それがこの弾倉用の弾。下に並んでるのは7.5x54mmと13.2x96mmなんですが、どちらも合わない。それもその筈、これは9x66mmという何とも妙な弾のための弾倉なのです。これも「中間」 pic.twitter.com/j4QosFJxdW

2017-10-04 14:17:24
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

話はWW1直後に遡り。ドイツが残した13mm TuF弾薬に触発され、戦後各国は軽装甲を抜ける大口径重機を相次いで開発します。フランスも例に漏れずに1929年式13.2mmを採用するんですが、歩兵部隊は重過ぎるとして拒絶。なのでこれは主に空軍対空火器と車載・艦載用にしか使われません pic.twitter.com/UJeYey5uO1

2017-10-04 14:32:32
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とは言えフランス歩兵もやっぱり重機は欲しい。そこで1931年から口径7.5〜11mmクラスで対装甲能力のある機銃を模索し始めます。弾薬を色々作って試した上で最終的には9mm口径が選ばれ、1937年には試作機銃も完成。こうして奇妙な9x66mm「中間弾薬」が生まれたのです pic.twitter.com/r9Mfs8ODY5

2017-10-04 14:38:36
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

9mm mle1937重機関銃(と呼んじゃいましたが、実際正式にはどういう分類だったんでしょ? フランス的には単に「9mm機関銃」かも)はともかく1940年までには完成の域に達したようなんですが、生産計画が軽機を優先したため量産予定は1941年に先送り。あとは……御察しの通りです pic.twitter.com/CL171OjA2v

2017-10-04 14:49:22
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

機銃本体は20kgということで、まあ確かに重機と大口径重機の中間くらいに収まってます。しかし特筆すべきは弾薬の軽さで、13.2mmが薬莢装薬含め一発122gもするところ、9mmは46〜51g。歩兵が何百発も運ぶとなると、この差は結構なものです。これならたぶん7.5mmの倍程度

2017-10-04 14:57:06
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

しかし何よりもこいつは対戦車火器なのです。なので徹甲弾も軽くて大威力のやつが欲しくて……で採用されたのがコレ。はい、まさかのゲルリッヒ。といっても焼夷弾は通常弾っぽいので、独ゲルリッヒみたいに円錐砲身専用という訳じゃなく、リトルジョンアダプタみたいに切り替えるのかしらん? pic.twitter.com/r6Of4J4aeB

2017-10-04 15:05:15
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

その割に徹甲弾(16g)の初速は850〜900m/s程度でしかありませんが。しかしそもそも通常弾(焼夷弾)が21gなので、この徹甲弾はゲルリッヒな格好してても別に極端な軽量弾じゃありません。円錐砲身といっても魔法じゃないので、ちょっと軽い弾では順当にちょっと速くなるだけ

2017-10-04 15:15:04
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

16gの900m/sといえば昨今の338ラプアマグナムと似たようなもんです。とは言え「フランスは米軍より50年も速く答えに辿り着いてたんだよ!!1」と主張する声は、当のフランス人からさえ特に聞かれません。用途が違うし、そもそも彼らでさえ9x66mm弾の事はよくわからないようです

2017-10-04 15:22:12
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

9mm口径の「ちょっと重機関銃」は面白いのは間違いないのですが、しかし1940年の対戦車火器として見ると、最早絶望しかありません。装甲貫通力は不明なのですが、初速と弾量を見るにM2やボーイズを上回るものになったとは思えず。仮に対独戦に間に合っても精々II号戦車を食えるかどうか……

2017-10-04 15:27:17
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

戦間期各国の歩兵用対戦車装備を眺めると、フランスだけ奇妙な空白感があったかと思います。対戦車銃なり大口径重機なりをどこでも用意してたのに、フランスには25mmより下は何にも無かったの? と。しかし実際には9mm重機があって、そして間に合わなかったんですね

2017-10-04 15:31:26

ドイツの微妙な弾薬たち

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

MG131/12の12x79mm弾もまた、仏9mmとは毛色の違った「中間弾薬」。口径的には重機っぽいですが弾量は19〜21gしかなくて、大口径重機とはちょっと呼びにくい。MG131弾をほんの少し細く軽く速くした感じの、それ要る? 感漂う微妙サイズ pic.twitter.com/zUHVjgyRJs

2017-10-04 15:54:48
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

MG131は8mm航空機銃の置き換えなので口径の割にひたすら軽い必要があって、13x64mmとかいう他じゃ聞かない感じのヘンな弾を使うのです。ある意味、重機版の短小弾というか。この方向性は流行りませんでしたけどね

2017-10-04 16:00:42
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とは言え軽量低速13mmという方向性に至るには試行錯誤があったようで、1000〜1100m/s程度の軽量高速なMG132なんてのも検討してたようです。尤もこれだと機銃本体は相応に太るでしょうから、8mmからの置き換えは出来ない場合もでてきそうですが

2017-10-04 16:05:16
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

さらには7.92x64mmないしx81.7mmのMG131/8なんてのも。これは何弾薬と呼ぶべきか……。性格的には完全に小口径高速の対戦車銃弾なんですが、しかし用途は純然たる航空機銃で、売りは着弾の速さと航空用防弾板をソコソコ抜ける事だと。とくに戦車抜けたりはしない pic.twitter.com/bQ4IXKXzTM

2017-10-04 16:15:44
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

( °Ω°) さらにさらにL1111っていう14/10mmゲルリッヒ版のMG131?もあって…… (°Ω° ) もうよい!

2017-10-04 16:18:49
ウチューじん・ささき @uchujin17

@FHSWman MG151の機関部から対戦車ライフル弾7.92x94 パトローネ318を撃つMG141という狂気の機関銃を開発したりする国なので、そういう病気なのだろうと…(;´Д`)

2017-10-04 16:20:23
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@uchujin17 たまにI号戦車C型のEW141と混同されてよくわからない事になってるやつですね(と、さらにヘンな銃が出てくる)

2017-10-04 16:31:49
ウチューじん・ささき @uchujin17

@FHSWman どうもMG141が失敗して(当たり前だ)セミオートの車載銃EW141になったようです。ゲームWorld of Tanksでは何をとち狂ったのかベルト給弾で持続連射できる仕様になっており、課金徹甲弾垂れ流し機銃と呼ばれております(笑)

2017-10-04 16:34:06
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とは言え航空機銃は重機口径辺りで最適なところをミッチリ詰めようとしても得る所は少なくて、この辺はゴッソリ放り捨てられて結局20mm, 30mm辺りが正義になっちゃいましたが

2017-10-04 16:23:34
ウチューじん・ささき @uchujin17

@FHSWman それから約20年後、米空軍が突然「高初速高発射速度=正義病」に罹って、10x107弾を使う7銃身の高速ガトリングGAU-6を企画したりします…(;´Д`)r

2017-10-04 16:29:29
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

MG131は本当に悩んだらしく、131/12とか/8とかの小口径高速化以外にもMG131/15なんて大径低速化も模索してたようです。詳細はサッパリわからんのですが、ただでさえ低速なMG131で更に低速に振ろうもんなら、「小さいMK108」くらいのしょうもない物になっちゃいそうです pic.twitter.com/mXXXpXprOR

2017-10-04 16:36:55
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@uchujin17 ああいう榴弾頼りの低速系が小さくなったら、もう単純に弱いだけになっちゃいそうです

2017-10-04 16:45:02