エリュトゥラー・ギガント #2

マルタ島でドロップするアクィラが悪い 1:https://togetter.com/li/1161186 3:https://togetter.com/li/1162299
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2017-10-15 21:01:29
劉度 @arther456

【エリュトゥラー・ギガント】 #2

2017-10-15 21:02:07
劉度 @arther456

「罰当たりな気もするが……やらせてもらう!」戦艦仏(ブッダ)棲姫に対し、最初に攻撃を放ったのは、武蔵の46cm三連装砲だった。轟音とともに、9発の砲弾が大仏に向け飛ぶ。素性はどうあれ、物理的な実体があるならば、史上最強の戦艦砲が効かないわけがない。1

2017-10-15 21:03:14
劉度 @arther456

大仏は右手を体の後ろへと引いた。そして、飛来した砲弾へ掌底を繰り出した!拳圧を受け、砲弾が爆発!「くっ!?」「きゃあっ!?」大仏の掌底によって巻き起こった風は、武蔵と大和にまで届いた。「そんな迎撃があるとは……!」大仏は砲弾に触れていない。つまり無傷!2

2017-10-15 21:06:05
劉度 @arther456

「なら足元はどうかねえ?」大仏に向け、隼鷹の流星部隊が飛ぶ。拳を繰り出せない海中から狙おうという算段だ。「制空権はこっちのもんなんだ、押し切ってあげるよ!」「いや、待って、隼鷹!」大鳳が大仏の頭を見て叫んだ。大仏の髪、螺髪が分離し、飛行している!3

2017-10-15 21:09:05
劉度 @arther456

頭にあったのは螺髪ではなく、深海の球状艦載機であった。艦載機は、雷撃しようとしてた航空隊へ襲いかかる!航空隊はこれを回避するしかなく、雷撃が中断された。「あれ飛ぶのか……ひょっとして、おでこのポッチからビームとか撃つんじゃないだろうね?」「気を付けた方がいいかもね」4

2017-10-15 21:12:07
劉度 @arther456

「そんなもん気をつけなくていいわよ!」叫んだのは大井だった。既に魚雷を構えている。「あれだけのデカブツ、近づかなくても当ててやるわ!」「デカブツじゃなくて大仏だよー、大井っちー」「ええ、北上さん!」2隻の重雷装艦が、大量の魚雷を放った。大仏の足元に必殺の酸素魚雷が迫る!5

2017-10-15 21:16:06
劉度 @arther456

「チィッ……!」それを見て、戦艦仏棲姫は舌打ちをし、それから命令を下した。「波を起こして、タロス!」大仏が動いた。膝を軽く曲げ、右足を大きく引いた。そして、その態勢から右足を高速で繰り出し――下段回し蹴りを放った!大仏を中心に、円形の大波が巻き起こる!6

2017-10-15 21:18:02
劉度 @arther456

魚雷は波にもまれ誘爆した。波は更に艦娘たちを襲う!「オアーッ!?」大和が高波に押し流される!波は後方の蔵王とセント・エフレムにも襲いかかる!「うわあああっ!?」《何かに掴まれーっ!》艦娘と違い、大型の実体を持つ指揮官にとって、大波は無視できないダメージだ!7

2017-10-15 21:21:08
劉度 @arther456

「あの巨体で格闘技なんて、アリですの!?」熊野が叫んだ。格闘技に通じた艦娘たちは、大仏の回し蹴りに技術を見出していた。あの大仏は、何らかの格闘技を身に付けている!「あれは、カラリパヤット!」「なのです!」「知っているのか、雷、電!」「古代インドから伝わる格闘技よ!」8

2017-10-15 21:24:04
劉度 @arther456

カラリパヤットとは、インド南部に伝わる武術である。その起源は定かではないが、一説には紀元前10世紀ごろにまで遡り、かの有名な少林拳のルーツにもなったとされている。ただ、ギリシャに伝わったという話は現代まで見つかっていない。「やっぱりタロスじゃなくて大仏でしょアレ!?」9

2017-10-15 21:27:03
劉度 @arther456

いずれにせよ、巨人が格闘技を修めているというのは脅威でしかない。「どう倒せばいいの!?」「とにかく攻撃を続けましょう、矢矧」不知火は砲を構えた。どの道、彼女たちに逃げ場はない。あと2時間で増援が来る。紅海中の深海棲艦が、この場所に集まりつつあった。10

2017-10-15 21:30:15
劉度 @arther456

スエズ運河は、ただ一本の水路が延々と続いているわけではない。船団がすれ違うために、途中に湖がいくつかある。グレートビター湖はその中でも最も紅海に近い湖だ。今、この場所には多数の深海棲艦が集まっていた。彼女たちを率いるのは、腰に日本刀を差した重巡リ級である。12

2017-10-15 21:33:06
劉度 @arther456

「守備隊長め。タロスをもう持ち出すとは、よほど慌てていると見える」リ級の口元には薄ら笑いが浮かんでいた。「笑ってる場合じゃないだろう、将軍。間に合わなくなったらどうする?」赤い服を着た深海棲艦がそれを諌める。「そうだな。モタモタして破られては、元も子もない」『将軍』は頷いた。13

2017-10-15 21:36:08
劉度 @arther456

「10分後に出発する!支度を整えよ!」リ級の号令を受け、深海棲艦たちは行軍の準備を始めた。「騎士団長、そちらは打ち合わせ通りに頼む」「奴だけを相手にすればいいんだな?」「ああ」「よし」『騎士団長』は頷いた。そして、10分後、深海棲艦たちは紅海への進撃を始めた。14

2017-10-15 21:39:04
劉度 @arther456

「Feuer!」ビスマルクの主砲が火を噴いた。放たれた徹甲弾は、大仏の顔面に当たるはずだった。しかし大仏は、寸前で身を反らせてこれを避けた。「やるわね……!」《下がってビスマルク!もう限界でしょ!?》「舵は大丈夫!まだやれるわ……これからよ!」16

2017-10-15 21:42:02
劉度 @arther456

「六・根・清・浄!」肩に乗る姫の号令で、大仏が拳を振り下ろす!その下には熊野!「ヒャアッ!」熊野は飛び退り、拳を間一髪で回避!そして、大仏の手に手刀を繰り出す!「神戸虎破龍!」研ぎ澄まされた手刀が、拳圧と波ごと大仏の表面を抉る!だが、大仏の巨体に対し、あまりにも傷は小さい!17

2017-10-15 21:46:01
劉度 @arther456

横須賀第33艦隊が巨大な敵と戦うのは、これが始めてではない。過去にはこれより巨大な戦艦やマグロと戦ったこともある。だが、その時には彼らより強い仲間がいた。彼ら単体で大仏を倒すには、火力が足りない。切り札の武蔵の攻撃も、大仏に警戒されて当てることができない。18

2017-10-15 21:48:00
劉度 @arther456

「提督!もう逃げましょう!無理ですよ、大仏相手なんて!?」蔵王の隣まで逃げてきた大和が悲鳴を上げた。南方棲戦姫に叩きのめされてから、彼女のメンタルはますますマイナス方向に傾いていた。「というか、もう逃げますね私!?」《いや、大和、それは止めて!?》「やめません!」19

2017-10-15 21:51:03
劉度 @arther456

忍耐が限界を迎えた大和は、戦場に背を向け走り出した。敵前逃亡である!《待て!大和!そっちは危ない!》「最前線よりも危ないところがどこにありますか!」提督の静止を振り切り、大和はスエズ運河とは逆方向に向かって走る!だが、そこへ無数の砲弾が降り注いだ!20

2017-10-15 21:54:06
劉度 @arther456

「きゃあああっ!?」幸い、大和型の装甲が彼女を守った。「ど、どこから……っ!?」慌てて辺りを見回した大和は、息を呑んだ。外洋側から、深海棲艦の一団が、彼女たちに向かって迫ってきていた。戦艦仏棲姫と戦い始めてから、既に2時間が過ぎ去っていた。21

2017-10-15 21:57:03
劉度 @arther456

「レパルス参上!プリンス・オブ・ウェールズの仇、ここで取らせてもらう!」先陣を切るのは戦艦棲姫。その後ろには戦艦や重巡が続き、脇を高速水雷戦隊が固める。更に、上空には深海の艦載機が飛来し、隼鷹たちの航空部隊へと攻撃を仕掛けていた。それだけではない。22

2017-10-15 22:00:12