【泣くこともある】福間健二 #k2fact178

福間健二 @acasaazul

生まれかわって、ドライフルーツ。たとえば無花果。そのおいしさがわかった。おみやげにもらったそれを大事に少しずつ食べて十月に入る。ひとりのオヤジとつきあう。彼はまだ半袖。「おれはどんなに暇でも詩なんか書かないよ」。結局、ぼくはまた飲みすぎる。（泣くこともある１）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

なにか壊れている。もう十分。この先は怖いという気がする線のむこうを覗き込んで踏みとどまる。ここまで来るのが飲むってこと。この理論でやってきたが、どうしたって踏みとどまれないことがある。調子っぱずれに歌って、東二丁目、三丁目を深い谷間にして。（泣くこともある２）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

まっすぐ、まっすぐ。そう言いながら何度も転ぶ。進もうとするからいけないのだ。汚れてからわかる正解は水を吸い込むだけだが、なんとか四丁目。バス停「第三小学校前」のベンチ。朝になればバスが来る。踏切りをわたって病院や学校の前を通ってくるバスだ。（泣くこともある３）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

ファミマの前の、タバコを吸う男女と見えてきたポスターの赤いくちばしの鳥で、朝だ。なにかを呪いたいということはない。「きみはまた亡くなった二人の友のことを思うんだな」。自分のことはしらばっくれるオヤジでも手を握ってもらえるのはありがたい。（泣くこともある４）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

よいこと。ぬくもりが消えないように。色薄くても閉じる目に効くメッセージ。水曜日から木曜日にかけてなら「豹」を運転して青空に突き抜けていく。その率直さ。友ではなく、父と母と義妹の眠る墓地でお昼を食べた。おにぎり、タラコふたつと梅ぼしひとつ。（泣くこともある５）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

ささやく兎のために金づちやシャベルが凶器になろうとする。行きたい店、もうやってない。こんなとき、もっともらしい情勢論などやめた方がいい。落葉を拾って帽子に入れて集めて、心は落ち着かない。暗くなって動き鈍い「何人、何匹、何ぶくろ」始末しても。（泣くこともある６）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

静かな生活のじゃまになる動物。でも、つきあっていく。「そしたらたのむよ、ジェントルマンの約束だ」。これは、表現としてどうなのか。そう問うことがこの雨を長引かせている。なら、考える複数になるのも否定できない土曜日、お昼は金水園のタンメンだ。（泣くこともある７）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

二人で食べる。麺の硬さの好みは同じだが、使うラー油の量がちがう。事実そのままをもうちょっとやると雨があがって通りに人が出てきた。見えない情勢が気になる人たちだ。ひとりに何匹、一匹にいくつの、お払い箱の表現論。袋を破っていくマザーグースだ。（泣くこともある８）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

いつもの旭通りだが、いつもの足し算では歩かない。行きたい場所に行くというわけじゃない。選挙の話をして、まだ乾かない、だれに思い出されても困らない弾み方の、大人の靴。これもありがたい。何に力を貸しているか。意地悪な解釈、される前に自分がする。（泣くこともある９）#k2fact178

福間健二 @acasaazul

急に、寒い。大事なことを言いそこなった気がして、さすがにもう半袖じゃない。笑いもすれば泣きもする人生の夜。しずくの色は変わっても、旭通りから三小通りへとオールドマン、監視する役目は終わらない。何が飛ぶ。よく見えない。自分で飛ぶ手がある。（泣くこともある10）#k2fact178