突発一筆書きみことじふと劇場　まとめ

銅折葉 @domioriha

「時に思うのだがな屠自古よ」 「なんだよ」 「おぬしの雷、一体どこからやってくるのであろうか」 「…はぁ？」 「むう。そのように『頭大丈夫かこいつ？』みたいな顔をするな。おぬしが怨霊として恩讐の怒槌を振るうのは承知しておる。われも無関係ではないしな」 「無関係どころじゃないだろ」

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「われが言いたいのはな、その雷の放たれる場所なのだ。雷は五行でいうならば木行。風や木々と同根のものであろう」 「木生火（木は燃え火を生む）だな」 「天然自然の雷というのは、天より呼ばれて地に落ちるもの。…一説には大地（坤）の陽の気と天（乾）の陰の気が結びつき生まれるとも言うが」

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「いずれにせよ、二者を繋ぐものが雷である。そこまでは良いのだが」 「なんだよ、さっきから回りくどいな」 「つまりだな、雷というものの性質を思うに、おぬしのようにほいほいと容易く目標に中てられるものではないのではなかろうか」 「…そうか？」 「待て、試そうとするな。黒焦げは御免だ」

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「まったく、何もしておらんのに仕置きされてはかなわんぞ」 「お前のことだ、どうせそのうちなんかやらかすだろうから、先に当てといたっていいだろ」 「そういう問題か」 「何か変か？」 「……、まあいい。おぬし、ちょうど今指を立てたが、まさにそれだ。なぜそこから都合良く雷が飛ぶのだ」

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「なぜって言われてもなあ。できるものはできるから仕方ないんじゃないか」 「われの記憶が確かならば、おぬしは飛鳥の頃――死ぬ前からそれが扱えたのではなかったか？」 「そうだっけか？」 「太子様に浴びせておった記憶があるのだが。この破廉恥野郎とかなんとか」 「…………記憶にないな」

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「あの頃に比べると、ずいぶんと扱い方が巧みになったように思うのう」 「……まあな、この身体になって、なんて言うんだろうな、感情と身体が溶け合って一緒になった感じはする。身体っていうか霊なんだけど」 「おぬしの意識や感情が、そのまま雷になって発せられているのかもしれんな」

銅折葉 @domioriha

「あと、……もしかすると、足が地に着かなくなったのは関係があるかもしれないな」 「成程。雷雲も宙に浮かぶものであるのう。おぬしの足があった頃は、意識せずとも地に流れていた雷が、いわば放水路のような役割を果たしておったのかもしれぬな。それが無くなり、力が循環し留まるようになったと」

銅折葉 @domioriha

「一応、これ私怒っていいところだよな？」 「ええいだからとりあえず１０万ボルトだ！　みたいなノリでわれを黒焦げにしようとするのはやめろというのに」 「じゅうまんボルト？」 「雷の必殺技であるらしいぞ。早苗殿が教えてくれたのだ」 「あいつの言ってることは真に受けない方がいいぞ」

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「結局、何が言いたいんだお前は」 「いやなに、おぬしの力を見ていて思ったのだがな、もはや普通の雷ではないのだなと思ってな」 「あー……、まあそうかもしれないな」 「なんとなくそんな気はしていたのだ。やはり太子様にご助言しておくべきであったかなあ」 「……しなくていい。そんなの」

銅折葉 @domioriha

「大丈夫です、避雷針で対策はバッチリだとたいそう自信満々だったので何も言わずにいたが、もう少し真面目にお引き留めすべきであったかのう」 「自業自得だろ」 「しかし、なんというか太子様もたいそう火遊びがお好きであることよのう。……わざわざ危ない橋を渡って雷を呼ばずとも良かろうに」

銅折葉 @domioriha

「ふん。人の気も知らないで好き勝手やるからだ」 「……まあ、今さらわれが何を言うのもどうかとは思うが。……一応、形の上だけは姑の身として、もう少し円満であって欲しいものだなあ」 「…………」 「ああまで黒焦げにされると分かって、どうして太子様の浮気癖は治らんのであろうか」

銅折葉 @domioriha

「……それでいて、ああしている太子様はいつもなんとなく嬉しそうなのがまったく以てよく分からんものよ」 「……知るか、そんなの」 #突発一筆書きみことじふと劇場

銅折葉 @domioriha

ところでさっきからなんとなく書いてて思ったんですが、屠自古ちゃん自分の雷をうまい具合に編んで霊体部分の脚に固定して雷の脚を作り、超高速で移動したり熱と衝撃を伴う強烈な斬撃的蹴足でカポエイラみたいな体術攻撃してくれないかな。なんかめっちゃカッコよさげでは。