dynamicsoarさんに聞いてみた「虫や鳥が飛ぶために必要な条件は何?」

dynamicsoarさんに、昆虫や鳥が飛ぶために必要な身体的条件とは何か?という(結構曖昧な)疑問について聞いてみた。飛ぶという運動自体の中で結構複雑なことが起こっており、鳥も昆虫もパタパタしているだけではない・・・。今回は形態や運動に着目。
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maanyaN @maanya

たぶん初めてカイコガを生で見たんだけども、ハイライトは、飛翔可能な蛾の羽の大きさと体サイズ、重量、さらには形態の関係はどうなっているのか?という疑問が湧いたところ。(解決されてない

2017-10-28 17:47:53
maz @dynamicsoar

@maanya ちょっと気になるので、もしよければ具体的にどういう疑問なのかをうかがえますか?「いやそれがうまく表現できねーんだよ…」状態かもですが。 アロメトリー的な、種をたくさん持ってきたときに形態などの相関がどうなってるのかということですかね?あるいは「飛べる限界の重さとは」みたいなお話?

2017-10-28 19:04:22
maanyaN @maanya

@dynamicsoar 願ったり!(ΦωΦ)叶ったり!ですw 具体的な状況としては品種改良されてるカイコガがもはや飛べない、と実物を見せてもらい、羽も見慣れぬレベルに小さく、筋力ももうないということを聞きまして。 じゃあ、飛ぶために形態的に何が影響するのかな?と。

2017-10-28 20:21:56
maanyaN @maanya

@dynamicsoar 筋力、羽根と体の形や重さ、その関係やバランス、決めるのは何か?それはどんなバランスなのか?と。例えばチョウとか蛾とか似たような形態の虫の中で、体の大きに対して羽根の大きさが結構違ったりもするし。何が飛翔能力、飛翔の可否を決めてるのか?と。

2017-10-28 20:22:35
maanyaN @maanya

@dynamicsoar 羽が小さいからというだけで飛べないならそれはどんな大きさなのか、羽の大きさが同じ程度でも飛べる種と飛べない種の違いは何なのか体の大きさや筋力などか、羽根の形か、とか。 重さもですが、他の要因も含めた種間の形態相関の方かもしれないですね。相関が得られるのかも疑問ですが。

2017-10-28 20:23:06
maanyaN @maanya

尾羽の裏のモフモフの尻羽根を眺めながらどんな役割があるのかなーって考えるともなく考える優雅な1日とか欲しい。

2017-10-30 09:16:28
maz @dynamicsoar

@maanya 返信が遅くなってすみません。飛行の進化にも関係するし、非常に興味深い論点ですね。形態学的に比較するというのは(おそらくデータが取りやすいから)やられることは多いようですが、滑空を主体とする動物(大型の海鳥とか)でない限り、片手落ち感を感じてしまいます。

2017-10-30 14:43:31
maz @dynamicsoar

@maanya とくに昆虫では、滑空よりも羽ばたきの方がメインでしょうから、「羽ばたき運動」は翅の形態と同等以上に重要なパラメタでしょう。もちろん形態とも関係するので切り離せないですが。

2017-10-30 14:46:40
maz @dynamicsoar

@maanya たとえば翅自体が小さくても、極端な話、羽ばたき周波数をメチャクチャ上げれば(対気速度を大きくすれば)飛ぶことはできます。したがって問題はそれができるかどうかという話になり、筋肉の出力と羽ばたきによる消費パワーとのバランスで決まることになる。が、重いほど必要なパワーは大きくなる…

2017-10-30 14:50:22
maz @dynamicsoar

@maanya 実例として、換羽中のハチドリが減少した翼面積をどうやって補っているのかを調べた研究があります。僕は「羽ばたき運動を微妙に変えて(周波数を増やす・振幅を増やす・迎え角を増やす等)、エネルギ消費が増えるというコストは払うが、ホバリングを維持できるのではないか」と想定しながら読みました

2017-10-30 14:54:24
maz @dynamicsoar

@maanya しかし、結論は意外にも「体重を減らすことで必要なパワーを減らす」というものでした… Chai, 1997, J. Exp. Biol. jeb.biologists.org/content/200/10… 換羽という短期的な話なので、進化とはまた違うとは思いますが、考え方の参考にはなるかと思いました

2017-10-30 14:57:25
maz @dynamicsoar

@maanya あ、例がハチドリになってしまった…。えー、昆虫だと、鱗翅目の後翅をちぎっても飛べたよ(機動性が低下した)、というやつとか、スズメガの翅の先端を片方だけカットしたら羽ばたき運動を微調整して安定化した(学習したと言って良いのかな)、というような論文はありますね

2017-10-30 15:01:37
maz @dynamicsoar

@maanya 他に関連しそうな話題としては、先日の動物行動学会で、バッタ系(直翅目?)のやつが、人が近づいてきた時に「飛んで遠くまで逃げるか、ジャンプして近くまで逃げるか」を調べたものがあって、飛行はより安全だがエネルギ消費が大きい、というトレードオフがありそうに思いました。

2017-10-30 15:16:15
maz @dynamicsoar

運動をパラメタのひとつとして見るという考え方自体が、伝統的な生物学では馴染みのないものなのかもしれないな…。そもそも、ビデオがないと無理だったわけだろうしな。静止した形態なら、写真以前からの蓄積があるんだろうから、動きを定量的に扱えるようになったのは最近…なのだろうなぁ

2017-10-30 15:19:54
maanyaN @maanya

@dynamicsoar ぬぉー!!めっちゃ面白い回答ありがとうございます!!まさにそう、そんなことらへんを知りたくて考えてました。周波数!それで説明がつくかと思いきや、換羽中体重を減らす方を選ぶハチドリ!昆虫でもありえそう。羽根の欠損を補える調整能力まであるとは…。(これはもう後でまとめるぞ)

2017-10-30 19:13:53
maanyaN @maanya

@dynamicsoar 鳥と昆虫の羽根の欠損において、昆虫の飛翔方法の調整能力や学習能力に対して、鳥は風切羽根が切られても飛べないのはなんでなんでしょう…もちろん生物種として大きな隔たりはあるものの、やはり筋力でカバーできない空気抵抗とかなんかアレヤコレヤがあるんですかね。そこで滑空への依存が響くとか…

2017-10-30 19:19:25
maanyaN @maanya

トレードオフ、当然それはあるんだけども、飛翔と、羽根の形態だけでなく、運動の関係に興奮するよね。形に残らないものだけど、運動も多様性の一要因に加えたい!との加賀谷博士の言葉が今ものすごく実感を持って感じられる。

2017-10-30 19:24:19
maanyaN @maanya

少し似たところで思い出したのは、同じボルネオの森に住んでいるテングザルやブタオザルなどなどの採餌戦略。まさに戦略だと話を聞いて感じたんだけど、果物が少ない時、運動にエネルギー等のコストを払って探しに行く戦略をとるのかそれとも栄養価の低い葉をとどまって大量に食べることを選ぶのか、と

2017-10-30 19:27:35
maanyaN @maanya

そんな疑問をフィールドで研究してる人に聞いたことがある。回答はうろ覚えでノートを探さなきゃなんだけど、確かテングザルの場合は留まることを選ぶ傾向の方が強いんだったような気がする。その決め手になる決定要因はなんだろうとか、種差は具体的に何が違ってそうなるのかとか、そんなことを考えた

2017-10-30 19:30:52
maanyaN @maanya

@dynamicsoar 能力の有無の差(飛行を調整できるできない)もですが、トレードオフに基づいてバッタのように行動を選択するというのもまた面白くて、飛行とジャンプの選択要因としてのエネルギーコストとか、確かにありそう。後スピードとか、経路とか。これはこれでまた飛翔から少しはみ出したくなる面白いとこです

2017-10-30 19:43:54
maz @dynamicsoar

@maanya 動物園とかであるという、(おそらく初列の、かつ外側の方の)風切羽を切ると飛べなくなるというのやつでしょうか。あれは程度問題や羽根の位置のなんじゃないかと思います。実は先程のハチドリも、一番外の風切羽三枚(かな)だけあれば飛べたりしてます。

2017-10-30 21:17:02
maz @dynamicsoar

@maanya これは、ハチドリのホバリングにおいて重要なのが前縁渦だからでしょう。同様に、鱗翅目でも翅の前縁を切り取ったらたぶんうまく飛べないと思います(前縁がかたいというのもある)。

2017-10-30 21:20:07
maz @dynamicsoar

@maanya 大型の鳥は、僕は正確なところはわかってないのですが、よく言われるように次列風切(腕)が上向きの力、初列風切(手首から先)が前向きの力を出しているというのが本当であれば(概ね本当だと思いますが)、初列風切を切るのは飛行機でいうとプロペラのブレードを切り取るようなものですかね。

2017-10-30 21:23:39
maanyaN @maanya

@dynamicsoar なるほど〜、鳥の風切羽根を切った場合、鳥の種差、形態差で役割が全く同じでないし、従って影響も違うのですね。漠然と切ると飛べないと思ってたので調整能力ないのかと思ってましたが、そういうことではないですね。そして、それぞれの羽が関与する力の向きにも違いがあるとは…羽根、奥深いです。

2017-10-30 23:14:16
maanyaN @maanya

@dynamicsoar 鳥によって羽根の形態や使い方、運動によってどこでどういう力が発生するか、どういう空気の動きが大事かというのは結構細かく違うんですね。一口に羽根で飛ぶと言っても同じでないと認識しました。ハチドリは確かに特殊ですが、他の鳥でも結構違いがあるんですね。

2017-10-30 23:18:54