#31 <フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 >

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「#30「奮戦の先へ」<フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 >」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1166794

2017-11-01 01:35:44
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大型イノシシは体の右側から通路を塞ぐ岩に激突した。俺はイノシシの左側面に刺した剣を左手で握り、他の手足も使ってしがみついて堪えた。飛んでくる岩の破片は、デカいのは重ねた刃で、細かいのは刃の表面に発生させた薄いシールドで弾く。頭は護りきったが、下半身にいくらか小石がぶつかった。 1

2017-11-02 00:30:00
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少し痛むが仕方ねぇ。イノシシは自動車並みの岩を砕いたってのに平然と体勢を立て直しやがった。低い唸り声を上げながら俺を左目で睨みつけている。足は動きを止めている。それじゃあ困る。こっちは急ぐんだ。この先に罠も用意してる。せめてあと三十メートルは走って貰わなきゃならねぇ。 2

2017-11-02 00:40:48
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「待ってな。今行くぜ!」 俺は剣先の刃を切り離す。そして、俺を睨む奴の顔の方へと跳んだ。 <!?> 流石に予想外だったのか驚いてやがるみてぇだ。迎撃しようにも牙の届く位置じゃねぇけどな。俺は奴の顔面に降り立つべく、宙に浮かせた刃を蹴って移動する。 3

2017-11-02 00:44:55
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イノシシは体と顔を振って抵抗する。俺は何度も足場を蹴って、奴の少し上で滞空して機を伺う。傍から見たら滑稽な様子だろうが、知ったこっちゃねぇ。数度の攻防。俺の目に映る奴の姿が二重、三重に見えてきた。まずい。まだ電撃のダメージが残ってやがったか…? 4

2017-11-02 00:49:45
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いや、違う! ―思い切って右へ飛べば…先読みしたイノシシの牙に貫かれる。 ―慎重に左に飛べば、奴は右側に躱して距離を取られる。 ―真正面に突っ込めば、一気に状態を起こして撥ね上げられる…。 予知だ。相変わらず発動のタイミングは読めねぇがこうなりゃこっちのもんだ! 5

2017-11-02 00:57:06
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「せいっ!」 俺は高く浮かせた刃に跳び乗る。……と見せかけて、わざとずり落ちた。大型は牙を振り上げ刃を砕く。その一瞬、奴と目が合った。俺の意図に気が付いたのかどうか、これまで以上の凄ぇ形相で目を見開いてきた。でも遅い! 6

2017-11-02 01:02:31
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「おらぁっ!」 無防備になった顎を下から上へと剣で突き上げる。 <ィーーッ!> 縫い付けられた口から悲鳴が漏れる。ただ突き上げただけじゃねぇ。地面に刺した刃を交差させて足場を作り、着地と同時に俺を跳ね上げさせたんだ。刃は砕けたが、ダメ押しで威力を上げた甲斐はあった。 7

2017-11-02 01:10:20
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そのまま電撃を放つ。イノシシが動きを止めた隙に、縦に並べた刃で顔面の上に着地し、俺腕の足の間に奴の目が来る位置でもう一度しがみついた。 <ォォー…!> 片方の剣は顎の下に刺さったままだ。刃も十五枚しか残ってねぇ。でも充分だ。イノシシは眼前の獲物を目指して突進を始めた。 8

2017-11-02 01:15:01
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俺は刃を十二枚切り離して周囲に飛ばした。そして備える。ほんの二、三秒のことの筈だが、一分近くには感じた。そして、その時がきた。俺はイノシシの左頬に貼り付けていた三枚の刃を浮かせ、LEDの光を最大まで光らせた。 「ここだっ!」 叫ぶと同時、顔の右側へ移動する。 9

2017-11-02 01:25:10
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「撃てーッ!」 遠くから微かに声が聞こえ、乾いた発砲音が響く。即興の照星代わりの三枚の刃の輪を通ってイノシシの左目の辺りに次々に着弾する。ドローンで頼んだ通りに櫓の仲間がやってくれた!ドローンが届くか、目指す場所は櫓から俺の光が見える位置か…運の要素もあったが上手く行った! 10

2017-11-02 01:32:17
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運の要素はもう一つある。今俺のすぐ後ろ、イノシシのすぐ前にある岩の位置だ。この辺りなのは察していたが、霧が邪魔で正確な位置までは分からなかった。櫓から俺の光が見え、射撃も十分届く場所な可能性は高かったんだが、予定通り上手く連携できた。 「でもって…!」 11

2017-11-02 01:41:43
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俺は剣を大型イノシシの足元に向ける。雪の中に飛ばした九枚の刃が操作圏内に入る。 「こうだ!」 俺を岩に叩きつけようとする突進、それに合わせてカウンターの要領で右足を切り裂く!桐葉さんが提案してくれた戦法だ。俺の刃は薄い。だが、この方法なら大樹みてぇに太い大型の足にも通る! 12

2017-11-02 01:46:20
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<ギィィーッ!> 大型はバランスを崩しながら右側から大岩に激突する。 「そして」 宙に逃れていた俺は剣を握り込む。 「コイツで止めだ!」 電撃の拳、スタンインパクトを振り下ろす。その俺の眼前に血塗れのイノシシが牙を振り抜こうと待ち構えていた。 13

2017-11-02 01:50:03
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<--ッ!!> その動きが止まる。さっき刺した時に、口の中に刃を仕込んでおいた。既にあちこち穴だらけだ。この距離なら電波は十分届くだろうぜ。 「おらぁっ!!」 銃撃で出来た傷に拳を叩き込む。同時に口の中の刃を脳の方へと全速で動かす。イノシシは一瞬、全身をピンと伸ばす。 14

2017-11-02 01:53:17
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そして脱力し、動かなくなった。死体となった大型イノシシから煙が上がり始めた。 「悪ぃな」 左手だけで略礼をする。右手は反動でまだ動かねぇから勘弁してもらおう。煙の向こうに緑の信号弾が二発上がる。櫓から上がったそれは数えてもらった、ここから広場までの岩の数だ。 15

2017-11-02 01:56:23
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「うっ…」 俺は片膝をついた。敵を倒して気が緩んだのか、それとも逆にあと二つも岩を超えなきゃならねぇことにぐったりと来たのか。自分でも分からねぇ。情けねぇ。俺は行かなきゃならねぇんだ。こんなボロボロで刃も殆ど尽きた状態で何が出来るかは分からねぇけどな。 16

2017-11-02 01:58:38
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体力用の回復剤を水で流し込む。体が熱くなる筈だが、何も感じねぇ。これはあまり良くない兆候だった筈だ。でも忘れる。少しでも荷物を軽くするため、空き瓶や水筒は通路の端に放り捨てさせて貰う。 「あああっ!」 俺は体を奮い起こすと広場へと急いだ。 17

2017-11-02 02:03:27
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―山小屋付近。 「くっそぉ!」 見上げ入道に向けた機銃は虚しく宙を撃つ。いや、当たっていないという訳でもない。僅かな確率でだが命中している。 「後ろだ!」 「うぉっ!?」 銃撃手の背後に現出した足が真上から振り下ろされ、危うく躱す。 18

2017-11-02 02:07:19
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青白く半透明な見上げ入道は、攻撃の瞬間だけ色濃くなり実体化率が100%に近づく。一番ダメージが通る時だが、これに合わせるのは並大抵のことではない。色の薄い時に無闇に狙っても、掠り傷にもならない。むしろ味方を誤射しかねない為、今は遠巻きに包囲して牽制の為だけの射撃をしている。 19

2017-11-02 02:08:38
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「砲撃だ!」 入道のクモに似た口から魔力弾が放たれ、射線上の隊員達が躱す。着弾地点の雪上に直径二メートルほどのクレータが開く。 「このっ!」 誘導魔力弾が空いた口を狙うが、入道は脚のバネで二十メートルほど西へと跳び、色を薄くした。 「畜生!」 20

2017-11-02 02:10:45
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魔力砲を放つ瞬間に実体化する口を狙えば、大ダメージを狙えるが、地上二十メートルの位置の口を弾を避けて撃つのは極めて難しい。消費魔力が大きいらしく多用してこない為、攻撃機会もあまりない。悠長に狙っていれば脚にやられる。 21

2017-11-02 02:12:15
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今、取られている作戦は足止めだ。涼平たちがオトロシを撃破した合図の信号弾が確認されれば、迎撃に回していた全火力で飽和攻撃を決行する算段だ。しかし瞬間移動めいて存在地点を変える上に、今のように物理的な跳躍力まで高い入道は包囲しておくことだけですら難しい。 22

2017-11-02 02:16:40