イラストレーション締め切り探偵ザザ vs ハロウィン2017

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハッピーハロウィン！」「ハッピー！ハッピー！」「ハッピーハロウインダヨ！」通りの喧騒がここまで届いてくる。ハロウインナイトは何日か前に終わったが、俺の街ではまだまだ続いている。そして俺の苦闘もまだまだ続いている。〆切はブッちぎっちまってるってのに。

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「ハロー！カラルド！」ゲーミング・チャットにホットな美女のアイコンがPOPした。「元気してますか？ところで原稿の進みはどうですか」俺がPCの電源を切る滑らかかつ素早い動作ときたら、おそらく音速レベルだった事だろう。「畜生。俺だって頑張りたいんだよ」俺は缶ビールを缶のまま飲んだ。

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アルコールが少し回り、俺は陽気になって来た。「ハッピー、ハッピー、ハッピーハロウインと来たぜ。えへへ」PCの電源も落としてしまったから、もう原稿できない。再起動とかに時間がかかるからテンションが続かないんだ。そういうものだろ？俺は気分を変えるためにコートを着て街に出た。

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だいたい、ゲーミング・チャットという手口が卑怯だ。あそこで催促してくることがなければ、俺はたぶんあの2分後ぐらいに仕事にいよいよ取り掛かることになっていたわけだ。それを……恐怖からPCを落としてしまったわけだから、俺は一種の正当防衛的だ。そういう考えを振り払う。光と音が出迎えた。

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「ハッピー！」「ハッピー！」街はいろんなやつらでいっぱいだった。木々にはカボチャの飾りがつけられていた。いろんな奴らが仮装をして歩いているんだ。吸血鬼とか、アニメのキャラとか……親子連れもいる。ワンチャンの上半身に二足歩行に見える服を着せているのもいる。俺は笑顔になった。

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もちろん、中には色付きの棒を持ってみただけで途方に暮れている男とか、そういうのもいる。だけどそういうのも含めて楽しいじゃないか。万歳！俺は紙袋に注意深く入れたワインの瓶を呷って笑った。「ハッピー！」「ハッピー！」誰かお菓子をくれないか！何もかも忘れたいんだ！

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「イエーイ！ハッピー！」「おじさん、クールじゃね？」「ハッピー！」そのときだった。笑顔で飲酒していた俺に話しかけてきたのは、オイ、嘘だろ？吸血鬼美女、チアリーディング美女、元ネタのわからないコスプレ美女だった。すごいタンクトップとかコルセットとかでホットなおっぱいがすごい！

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「なんだなんだ、皆どうしたんだい」俺は驚いて見せた。美女たちはグイグイ来た。「今すごく楽しくて～」「おじさんステキ！」おっぱいが腕に当たる。考えても見てくれ。こんなときストイックにいけるか？絶対無理だ。俺の笑顔は相当だらしなかったと思う。だが、いいんだ。そういう非日常なんだ……。

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「私たち、このあたりでパーティーやってて」「でもダサい男子しかいないから」「かっこいいおじさんみたいな人がいてよかったー！」美女たちは俺を路地に引っ張っていく。オイオイ…すごい積極性だ。「でも、俺、仮装してないんだけど平気かい」「エー、してなかったの？」「映画の人みたいじゃん！」

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「映画……？よしてくれお譲さん」確かに俺も昔は……。昔は俺もパワーがあって、そう、パワーがあったんだ（俺は下を見た）。「変われるよ！」美女の誰かが言った言葉が、キいた。そうだ。俺も変わらきゃいけない。この非日常の夜をきっかけに、変わりたいんだ。「さあ、ついたよ！」地下への階段だ。

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「地下なのか」「そうだよ！コンセプト・バーなんだ」「へえ、コンセプト」「行こう、おじさん！」「よおし！ハッピー・ハロウィンだ！」俺はガッツポーズで奮い立てた。「元気を出さなきゃな！」「そうだよ！元気だよ！これ飲めば元気だよ！」美女が差し出した錠剤。そうか！なんて用意がいいんだ。

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錠剤を飲んでついていくと、さらにもう一人、ホットなプリズン看守コスプレ美女が出迎えた。「ワースゴーイ！その人が、つれてきた人！？」「そうだよー！」「エッ、これで四人！？」四人も美女！？まいったな。だけど心臓がすごいドキドキ言っている。俺のパワーが……確かにすごい事になってる！

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廊下を進んでいくと、そこは個室だ！個室には拘束具つきのベッドがあった。「さあ、寝て！」美女たちは促した。「エッ、そういうプレイかい？」「すっごい事しようね」美女たちがおれの胸を撫で、耳元に息を吹きかけた。なんてこった……俺はただ辛い〆切から逃れたかったのに一転、こんな天国に！

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「マジかよ、搾り取られてしまうんだな、俺は！」「搾り取るよ！」「ウフフ！」美女たちは俺を大の字に寝かせて手足を拘束した。ど、どうなっちまうんだ？どんなすごい事を！？「始めるヨ！」チアリーダー美女が壁にかかった鞭を取った。ほほう、まずはそういうプレイからか……。

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スパーン！スパーン！スパーン！「アアーッ！」俺は身もだえした。美女たちは俺に舌を這わせ、鞭で叩いた。スパーン！スパーン！スパーン！「アーーッ！これは……」スパーン！スパーン！スパーン！「ちょ、ちょっと待って、だいぶ痛」スパーン！スパーン！スパーン！「待って、ハードコアすぎて……」

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「オラーッ！苦しめーッ！」BBZZZZZTTT！鞭が電気を帯びた！ZZZTTTT！「アーッ！」ZZZZZTTTT！「ウッギャアアーッ！」電光で部屋が明滅する！「ギャハハハハ！」「苦しんでやがる！」美女たちは俺を指さして嘲り笑った。何かがヤバ……ZZZZTTTT「ウッギャアーッ！」

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朦朧とする俺の視界に、四人の姿がかすんで見えた。さっきまでコスプレ美女だったはずの奴らは、今、天井に頭がつくぐらいに背が高く、手足は枯れ木みたいに長かった。何かヤバイ。ちょっと本格的すぎるコスプレ……「さあ、開頭手術の準備ヨ！」「オッケー！」待って、今、開頭って言った？

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ブルルルルルン！音を立てて、美女が壁にかかっていたチェーンソーを構えた。「ハロウインといえば脳みそだからネ！アンタはアタシたちのメインディッシュだヨ！」「エッ……！？イヤダーッ！！」ブルルルルルーン！「イヤダーッ！」刃が近づく！「イヤダーッ！」ブルルルルーン！おっぱいも揺れる！

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「ごめんなさい！ごめんなさい！」俺は何かに謝っていた。ゲームがどうとか……そういうことをいっておれは逃避して……自分を正当化して、だからこんな事になったんだ。奴らに脳を盗まれて…そんなのはいやだ。おれはじぶんの力で原稿を。もうダメだ。俺は死ぬだろう。遅すぎる後悔だ。だが、その時！

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KRAASH！壁を破壊し、何かが現れた！「壁破壊？ブレードランナーのオマージュ？」ベッドごと薙ぎ倒されながら、俺は指摘した。壁の穴のところには、なにかすさまじい姿の存在が仁王立ちしている。そいつは宝石の目を激しく輝かせ、名乗ったのだ。「イラストレーション締め切り探偵ザザ、参上！」

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チェーンソーが唸った。四人の美女だったものは合体し、今や腕が八本、足が八本、おっぱいが八つの魔界怪物になっていた。「貴様！我らの目的達成を前に一体どういう了見だ！」「この世には解明されざる謎が沢山ある」ザザが言った。「平和なハロウィン仮装に紛れし本物の怪物……許さんぞ！」

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「おのれ！貴様さてはこの男の原稿能力を横取りするつもりだな！わたさんぞ！」「森羅万象！」ザザは両手をクロスし、開きながら神秘の宝石義眼から光線を放った！「義眼光線！」「ウッギャアアアアアアーッ！」たちは……否……美女に化けた怪物は超自然の光に溶解し、跡形もなく消えた……！

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「ア……ア……」俺は呻いた。破壊のショックで拘束も破壊されていた。だが、「飲まされた薬のせいで身体が痺れて起き上がれないんだ」「解毒光線！」激しい光が俺の毒素を取り払った。「立つのだカラルド」ザザは壁穴を指さした。「この穴の先にお前のゆくべき場所がある」「……それは……？」

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ザザは俺の襟を掴んで立たせ、隣の部屋に押した。そこには、嗚呼！？机とデスクトップPCがあり、作業アイテムが一通りそろっていた！そして出口はない。「描くのだカラルド」「描く？」「描くのだ！〆切は今日いっぱいだ……描くのだカラルド！誰のためでもない、お前の仕事をしろ！」「ギャーッ！」