日向倶楽部世界旅行編第22話「ダブルディスパッチ!」

ザイアンの遺体が深海棲艦のような怪物となり、日向達に襲い掛かる!恐るべき怪物に対し、彼らは打ち勝つことが出来るのか…!
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三隈グループ @Mikuma_company

【前回までの日向倶楽部】 シドニーを発った直後、日向達は伊勢、ザイアン、そして海賊達の襲撃に遭うが、優れた連携と実力で戦いを優位に進める。 だが戦局が決まりきったその時、突如伊勢がザイアンを殺害する。 そして驚いたのもつかの間、彼の遺体が怪物となって襲ってきた!

2017-11-07 21:30:18
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第22話「ダブルディスパッチ!」

2017-11-07 21:30:49
三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 なんだ、ここはどこだ? 水の音が聞こえる、でも真っ暗で何も見えやしねぇ、オレは何故こんなところにいるんだ?くそっ、何も思い出せねぇ…。 …ア?オレはダレだ?オレは…どこからきた?上か?下か?ウエって…どっちだ?あっちか?あっチ?ナん?だ?ア???? 〜〜

2017-11-07 21:31:11
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〜〜 「来るぞ!」 太い腕、巨大な身体、脚から生える口、異形の怪物と化したザイアンは日向達に攻撃を始める。 腕なのか砲なのか区別がつかぬ右腕から弾丸を飛ばし、図体の割には動きもキビキビしている、その挙動はもはやヒト型の深海棲艦と同じであった。

2017-11-07 21:32:13
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しかし一体という事もあり攻撃はさほど激しくない、日向達はかわしながら攻撃を加えて行く、素早い動きをしても三人で狙えば当たるのだ。 「瑞雲、奴を狙え!」 日向が最上と共に瑞雲の攻撃をぶつけると、機銃攻撃と爆撃が直撃し激しい音が響いた、手応えのある一撃である。

2017-11-07 21:33:07
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だがザイアンは怯む事なく海を駆け反撃、元々あった耐久力はさらに増しているようだった。 「うーん、こいつは厄介だな…」 攻撃を避けつつ日向はぼやく、攻撃を嫌がったり怯んだりしないというのは、こちらから能動的に隙を作りづらくやりにくい相手なのだ。

2017-11-07 21:34:09
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「しかも話も通じないらしい…これじゃあ奴の裏に何がいたのか、聞くことも出来ん…」 日向としてはザイアンは殺さず捕らえ、尋問するのが一つの目的だった。 その為にザイアン相手は加減して戦っていたのだが…結果はこの通り、これが伊勢による口封じだとしたら腹立たしい話である。

2017-11-07 21:35:11
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そうでなくとも裏切られた末に異形と化す、どのみち胸糞の悪い光景を前に、日向は彼に同情すら覚えていた。 「…まあ仕方ない、せめて楽に葬ってやる…恨むなよ。」 彼女は哀れみの目で敵を捉え、艤装から弾丸を放つ、だがどんな感情を込めたとしても、届くのは物理的なエネルギーだけである。

2017-11-07 21:36:47
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そんな彼女の側で最上も攻撃を続ける 「死んだと思ったら化け物に…よく分からないけど、倒すしかないよね…」 あの伊勢という艦娘が何を考えているか、ザイアンという男が何者なのか、最上は全く知らなかった。 だがただ一つ、目の前で起きた事が普通ではない事だけは彼女にも分かった。

2017-11-07 21:37:37
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なので彼女は日向に尋ねる 「日向さん、こいつ人間なんですか?」 「ああ、元はな。私と鈴谷はこいつが人間になるところを一瞬だけ見た。」 つまり目の前の怪物は人間の死体から生まれた、例えるならゾンビだ。 最上はそんな推測に苦い顔をし、再び戦いに意識を向ける。

2017-11-07 21:38:26
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一方の初霜は射撃を行いつつ、ザイアンの様子をじっと観察していた。 (武器はあの右腕と…脚の口?よね、でも攻撃は上だけしかしてないわ。) ザイアンは先程から右腕の砲だけを攻撃に使っている、本来はそれだけでも危険なのだが、日向達にとっては普通の域を出ない平凡な攻撃だった。

2017-11-07 21:39:07
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(下の口は動けないのかしら…分からないわね) 物は試しと初霜は下の口を狙って撃つ、すると口はそれを避け、嫌がるように砲撃をかました。それを見て彼女はある事に気がつく 「ねえ最上さん見た?」 「うん、アレも攻撃してくるみたいだね。」 「そうだけどそうじゃないわ」

2017-11-07 21:39:52
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首をかしげる最上となんだなんだと聞き始める日向、初霜は二人に話し出す 「あの下の口、それまでは何もしなかったのにこっちが当てたら撃ってきたわ」 「うん」 「きっとあそこが大事なとこなのよ、だから反撃してきたんだわ」 彼女の言葉に二人はふむふむと頷く

2017-11-07 21:40:37
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「一理あるな、元が人間だから取り敢えず心臓や頭を狙ったが、よく考えれば奴は死体、死体に弱点はないな。」 「確かに」 日向の言葉に最上は頷く 「人型の部分はただの武器なんだわ、下の口を潰しちゃいましょう!」 「そうしましょう日向さん!」 初霜の言葉に最上は賛成する。

2017-11-07 21:41:23
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当然日向も賛同する、しかし問題があった 「奴の下の口が海に沈みかけているのは面倒だな…もっと近付く必要がある。」 要するに狙いにくいのだ、位置が悪い。それならばと初霜が名乗りを上げる 「私が近付いて魚雷を打ち込みます!」 しかし日向はこれを却下した。

2017-11-07 21:42:12
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「お前が近付くのは少し危険だ、上の方が攻撃しているし、こんな所で危ない橋を渡る必要はない。」 まだ旅行中だしなと付け加え、日向は刀を抜いた。 「よって、私と最上が上を片付けよう、そうすれば安全に近付いて叩ける。」 彼女はそう言って最上に目配せする。

2017-11-07 21:43:07
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「最上、ダブルディスパッチだ、良いな?」 日向が刀を構えると、最上は頷いて砲と甲板を構える 「ダブルディスパッチ…分かりました!」 「ダブルディスパッチね!」 「ああ、ダブルディスパッチだ。」 ダブルディスパッチを合言葉に三人は態勢を整える。

2017-11-07 21:44:08
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やがて日向は深く深呼吸をし、瑞雲の鼓動を刻み、甲板を構えた。 「行くぞ!瑞雲の鼓動を全開だッ!」 そして気合を入れ!最大戦速で正面へと突撃! 「よーし!刻むぞ、瑞雲のビート!うおおおお」 その後方に最上が続く!甲板を盾にする日向を盾に、ザイアンへと猛スピードで突撃する!

2017-11-07 21:45:25
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対するザイアンは迎撃の砲撃! しかし二人は悠々と避け! 「囲むぞッ!」 「はい!」 二手に分かれた!ザイアンを挟むように!囲むように!左右に舵を切り、両舷から猛烈な攻撃を加える! これにはザイアンも困った!どちらを撃ってもどちらかに撃たれる、背に腹が!変えられない!

2017-11-07 21:46:09
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そして猛連撃の末二人は合流! 「行くぞ最上ッ!」 そこから!日向は瑞雲の鼓動を刻みながら、右に刀を! 「はい、日向さん!」 最上も瑞雲の鼓動を刻みながら、左に甲板を! 構えて! そのまま! 最大! 戦速! 「行くぞォォッ!」 ブゥゥゥゥゥゥゥヴン!!!

2017-11-07 21:47:07
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右からは日向の薙ぐ刀! 左からは最上の甲板がラリアット! 二つの強烈な一撃が、ザイアンを襲う! 「ダブルディスパッチだァァァァァッ!」 クリーンヒット!ザイアンの腕が吹っ飛ぶ!鬱陶しいほどの砲撃から強烈な一撃、食らった相手は泣きっ面に蜂、ダブルディス、ハチ!

2017-11-07 21:48:10
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この一撃は頑強なザイアンにも通ったのか、人型の身体にヒビが入りその動きを止める!しかも下の口までもが混乱し、あらぬ方向に砲撃をかましている、これはチャンスだ! 「今だよ初霜!」 離脱しながら最上が合図を送る、だが初霜は既に!魚雷の間合いにいた!

2017-11-07 21:49:07
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「消えて、沈みなさいッ!」 そう言って彼女は四本の魚雷をぶっ放す!ザイアンの背後、下の口の死角、必中の角度から魚雷が迫り! 命中!爆発!炸裂! 完璧な一発が叩き込まれた! 「コォォォ…!」 怨嗟の声か波の音か、不気味な声が海上に響く!ザイアンはぶるぶると震え、破裂した!

2017-11-07 21:50:17
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そしてその破片は砂となり、広い海の中に消えていった。 それを見て初霜はグッと拳を握る 「やった!倒したわ!」 「流石初霜だよ!ボクが言うまでもなかったや」 「ふふん、もう二人の動きなんて手に取るように分かっちゃうわ!」 二人はハイタッチしながら勝利に喜ぶ。

2017-11-07 21:51:12