続・ハエ28ストーリー　パート１

205系ハエ28編成bot @SaikyoHae28

●続・ハエ28ストーリー 年が明けて2016年。 この年のダイヤ改正から北海道新幹線が開業して、たまーにＪＲ北海道からやってきた新幹線とも走るようになった。 津軽海峡を走って越えて来るなんて・・・びっくりポンだぜ。 でも、埼京線では特に大きな出来事もなく、時が流れていた。

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●続・ハエ28ストーリー ATACSの導入も順調に進んでいた。 今まで通りの約束であれば、俺は2016年で役目を終えることになる。 でもそんなことは考えずに、毎日の運用を続けていた。 そして9月、ハエ131のATACS機器取り付けが終わった。

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●続・ハエ28ストーリー いつお役御免なんだろうな・・・ 「ニッパ先輩どうしたんですか？マジメな顔しちゃって」 声をかけてきたのはハエ128だ。何だよ、マジメじゃ悪いのかよ！ 「いやいや、もしかしたらこれからのこと考えてるのかな？って気になって・・・」 あ、感づかれてたか。

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●続・ハエ28ストーリー 「実はみんなも気にかけてるんです。このまま何もなしにさよならじゃあんまりだ！って。」 でもなあ、1度HMも付けたからなあ。 そういうとハエ128は悲しそうな表情になってこう言った。 「そっか・・・また引退イベントしたら気まずいですもんね・・・」

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●続・ハエ28ストーリー おいおい、そんなに落ち込まないでくれよ！ 気持ちだけで十分だから。 予備車で残ったのは仕方ない、事情があったんだからさ。 俺が言ったことを聞いてたかどうかもわからないまま、ヤツは交検庫へ引っ込んでしまった。 こっちが心配になっちまうな・・・

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●続・ハエ28ストーリー 数日後、整備の間に職員さんが話しかけてきた。 「なあお前、どうやって送り出されたい？」 直に聞かれて、正直悩んだ。 しばらく考えて、俺の中でこんな答えが出た。 「いつ引退かは公にせず、最後の運用で終点に着く前に『これで引退だ』って知らせてほしい」

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●続・ハエ28ストーリー ある野球選手も、ホームランを打った後に 「ただいまの打席が、チームでの最終打席となりました」 って、ウグイス嬢が代わりに引退宣言したよな。 もう埼京線の205系は、本来ならとっくにいなくなってたんだ。 イベントで送り出してもらうこともなくていい。

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●続・ハエ28ストーリー 職員さんは話を聞くと「そうか・・・わかった」と言ってその場を後にした。 その日、俺は久しぶりに休車札がかけられた。 ・・・って言っても、連休中の3日間だけだったけどな！ 平日は普通に運用復帰。 連休明けサラリーマンの気持ちがわかった気がした。

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●続・ハエ28ストーリー ところで毎年秋になると、川越車両センターでは、センター公開の準備が着々と進められる。 今年は誰が主役なんだろうな～♪と思って、弁当掛け紙の図案をコッソリのぞいてみたら・・・ クモヤさんの絵柄がどーーーーん！ｗ これはいろんな意味で、当日が楽しみだｗ

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●続・ハエ28ストーリー そして、センター公開が翌日となった、金曜日。 車両展示には、俺も並ぶことになった。 きっと、これが俺にとって最後のイベント参加・・・ しかし。 朝のダイヤ乱れで、運用が変わっちまった。

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●続・ハエ28ストーリー まあ、途中で運用変わることだってあるしな・・・ と悠長に構えていたが。 結局夜になっても運用は変わらない。 このままじゃ川越に帰れねぇよ！！ さすがに焦りだした。 周りの車両たちも察したのか、駅で会うたび「大丈夫ですよ！」と声をかけてきたが・・・

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●続・ハエ28ストーリー そして夜。 アナウンスで「この電車は本日に限り、大宮止まりになります」と。 一瞬耳を疑った。わざと運用変えたのか？ 大宮駅に着くと、向かいのホームではハエ106が待っていた。 「ニッパ先輩、折り返しは俺が走ります！安心して車庫帰ってください！」

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●続・ハエ28ストーリー え、帰っていいのか？ そう言うと106は 「今まで助けてもらったんですから、遠慮いらないっすよ！ 先輩がいなくちゃイベント始まらないし、ほら帰った帰った！」 涙腺崩壊寸前だった。 「ありがとう！」とタッチを交わして、俺は南古谷へと帰った。

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●続・ハエ28ストーリー 後で聞いた話だが、どうしても俺を川越へ帰したいと、みんなでタイミングを見計らっていたのだそうだ。 そのおかげで、最後となる川越でのイベントに参加することができた。 周りの人たちには、本当にありがとうとしか言いようがなかったな。