続・ハエ28ストーリー　パート４

205系ハエ28編成bot @SaikyoHae28

●続・ハエ28ストーリー 「ここは山梨県に入ったところだ。少し行けば大月駅さ。」 大月・・・あ、元・山手線の205系が走っているあたりか。 「これ食うか？」 と言ってロクヨンさんが差し出したのは、笹団子。 いただきますと言って、早速食った。美味しくて瞬殺だった。

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●続・ハエ28ストーリー 「お前腹減ってたのか？」 「はい、燃費悪いんで」 「ブフォｗ自力で動いてないのに！」 言われてみればそうだった・・・1週間以上、自走すらしていない。 というか、パンタが外されて、自走できない身体になっていた。

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●続・ハエ28ストーリー また走りてぇな・・・ 小さくつぶやいたのが聞こえたのか、ロクヨンさんは俺の方を向いた。 そしてしばらく見た後。 「俺の勝手な予測だけど、お前はどっかに転用されそうな気がするぞ」

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●続・ハエ28ストーリー また言われたｗ どうしてどいつもこいつも俺をレジェンドメーカーにしようとするんだｗｗｗ だけどロクヨンさんは、俺の中にあるパンタを指差し 「だって廃車なら、普通パンタは置いてくるはずだぞ？」と。 そう言えば・・・何でご丁寧にパンタを持たせたんだ？

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●続・ハエ28ストーリー それにロクヨンさんは廃車回送を何度も経験している。 他の車両と様子が違う点を指摘されたのは、何だか妙な説得力があった。 「まあ、あくまでも予測だ。間違ってたらゴメンな。 　さあ、日が暮れる前に出発すっか！」 まだまだ先の長い旅が、再開した。

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●続・ハエ28ストーリー 気が遠くなるような旅だった。 甲府、上諏訪、松本。聞いたことはあっても、訪れるのは初めてだ。 E351やE257と、何度も行き違う。 奴ら、こんな場所まで走ってたのか・・・ 遠くまで来て、俺は、ほんの狭い世界しか知らなかったことに気づかされた。

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●続・ハエ28ストーリー 長野に着いたのは、日付が変わったほんの少し後だった。 とにかく、星がきれいな夜だったな。 pic.twitter.com/tkj2HvzDUi

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●続・ハエ28ストーリー 翌朝、傍らを貨物列車が駆け抜けていった。 「おー、1044久しぶり！」 牽いていたのはEF64-1044。ロクヨンさんの兄弟だ。 「あらまたこっちに来たの？大変ね～」 「ホントだよ、帰りはまた関東経由だしな」 「山線で行ければ早いのにね～」

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●続・ハエ28ストーリー 久しぶりの会話が弾んでいるようだ。 「そうそう、昨日連れてきた205、しばらく総車にいるからよろしく」 さらにロクヨンさんは俺のことを「レジェンドメーカー」と紹介した。 つっこむ間もなく1044さんは 「あー、救援してた205系ね！わかったわかった！」

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●続・ハエ28ストーリー ( ﾟДﾟ)ﾅﾝﾃﾞｼﾗﾚﾃﾙﾝﾀﾞ･･･ 全然知らない土地でも存在が知れてることに、ある意味怖さを感じた瞬間だった。 「この荷物置いたらまた戻ってくるね」 と言って、1044さんは近くの貨物駅に行ってしまった。

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●続・ハエ28ストーリー 1時間ほどして帰ってきたとき、俺は即座に質問した。 「なぜりんかい線救援の話を知ってたんですか？」 1044さんはニヤニヤしながらこう言った。 「実は、こっそり救援の様子見てた☆」

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●続・ハエ28ストーリー は？ますます訳わからん。 事件が起こったのはりんかい線内なのに。 「え？どこで見てたんだよ！」ロクヨンさんも全く思い当たる節がないらしい。 1044さんは、そりゃあわかんないと思うよ～フフフ～♪と言いながら、駅でもらってきたリンゴをかじっている。

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●続・ハエ28ストーリー リンゴを食べ終わってから、あの日の出来事を教えてくれた。 1044さんは東京貨物ターミナルで運用を終えて休んでいた時、流れてきた遅延情報を聞いて、EF66さんたちと一緒に東臨の様子を見に行ってたんだそうだ・・・ （東臨が駅のすぐ近くにあるらしい）

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●続・ハエ28ストーリー 「で、あなたが故障した車両を引っ張ってるのを見かけた、ってわけ！」 そういうことだったのか・・・ いや、貨物基地が近くにあるのは知ってたけど、まさか見られてたとは思わなかったぜ。 たぶん、あの時必死だったから周りにも目が行かなかったんだろう・・・

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●続・ハエ28ストーリー 懐かしい話のおかげで、廃車回送されたモヤモヤ感が紛れた気がした。 「こっちに来た時は、いつでもお話相手するからね！たまーに武蔵野線や伯備線に行っちゃうけど」 そう言って1044さんはニッコリ笑った。 む、武蔵野線だって！？

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●続・ハエ28ストーリー 思いがけない大声で、２人ともちょっとびっくりした様子だった。 「あ、こいつの兄弟が武蔵野線にいるんだ。それで・・・」 「なるほどね。兄弟に会ったら様子伝えるわ。ブルサンにも頼んどくね」 それじゃ！と言い残して、1044さんは篠ノ井へと帰っていった。

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●続・ハエ28ストーリー 「相変わらず世話焼きだねえ」と言いながら、見たことのない優しい表情で見送っていた。 「さ、そろそろ俺も戻らなきゃな。また来るだろうけど」 少し間を置いて、ぼそっと「久しぶりに客車牽きてぇな～」とつぶやいた。 俺はお礼を言って、ロクヨンさんと別れた。