鶏卵頭部女子高生いがしょうちゃんがついに人間頭部を手に入れる話

はんちょ〜 @Hantipede

さて、この街のまたも昼下がり。『東風屋』に集まった常連客たちは向かいの広場の噴水、その前に腰掛けた人物を物珍しげに注視している。「誰だあれ」「可愛いな」「ずっとスマホいじってるよ」「がに股ガサツ可愛い」「あの制服って……」「いやいや、まさか」口々に、何故か聞こえぬよう小さな声で。

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噴水前にどかっと腰掛けた少女は、制服の煌びやかさに見劣りしない美少女だった。クリームのような白金の髪を三つ編み混じりのアシンメトリーな髪型に仕上げている。彼女は猫背になって携帯端末を弄っていたが、そのうち大きくうなだれて溜息を吐いた。そうして顔を上げると、呆れ顔で店の方を睨んだ。

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「あのなァ！！大勢でジロジロ見やがって何だよ一体よォ！さっきもお前ら俺が話しかけてるッつーのに揃いも揃って口開けたマヌケ面してロクに返事もしねーしよ！何か付いてるッつうんだったら教えてくれよこの卵ヘッドによぉ！」彼女はそう叫んできた。一同は沈黙し…。 「「「お前卵か！？！？」」」

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「たりめーだろ！！この悲惨なくらいに特徴的なエッグフェイスを見りゃ分かるでしょうがよ！なんなの！？ドッキリか何かなの！？」なんともひどい表情でリアクションを返す人間頭部女子高生に、客の中から進み出る者がいた。ゴスロリ衣装に身を包んだ小柄な少女。シアは自分の両頬をつねって示した。

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「顔。そこに噴水あんだから鏡に見てみろ」シアは平坦な声音で冷静に告げた。「あ？顔？俺の？……バカ言うんじゃねえぞ、そんなこたァ言われたって俺ぁンなドッキリには……」少女はゆっくりと振り向き、背後の噴水の水面を覗き込んだ。「……」「………」「「…………」」 「ぼぁァーッ！？！？」

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女子高生は素っ頓狂な叫び声を上げ、真っ赤に顔を紅潮させた。ボン！と耳から白煙を噴き、そのまま後ろへと倒れ込んだ。少女は白目を向いたままピクピクしている。「あ。割れねえ」「しかもなんか毎日見てんのに心なしか反応が可愛くなってる」「変わるもんだな」そこへ。「ヒャアー！鶏卵爆死音声！」

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死体回収人くくろが現れた。「………」「えっ」女子高生を見て、絶句。一同もこればかりは分からん匙を投げたとばかりに首を振る。「いがしょうさん可愛くなってる！どしたの！？可愛い！」くくろは興奮しきった様子で女子高生を抱き起こし、返事をせぬ彼女の肩を掴んでガクガクと揺らす。

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「でもそれはそれとして回収！」「アバーッ！？」ナ、ナムアミダブツ！狂乱するモルグの主は美少女相手にも容赦はしない！「解体！」「アバーッ！」女子高生の四肢が四散！「うわっ」「えっ、ちょ」「ヒャアー！」くくろはそのまま残骸を残らず持ち去ってしまった。「……これ、また卵顔に戻るんじゃ」

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「でえええいクソぁ！」間もなくコンティニュー土管から女子高生復活！「あっ」「コンティニューはできるのか」「顔は！？」クリームのような金髪をアシンメトリー・ヘアスタイルに纏めた美少女のままである！「一体何がどうなってんだ！誰か！鏡ィ！」「は、はい」横にいたくろぐだが手鏡を差し出す。

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「……」いがしょうは剣呑な顔つきで暫し鏡の中の少女と睨めっこを続け……「んﾞんﾞんﾞんﾞんﾞ！？」ボボン！！顔面紅潮水蒸気爆発！だが卒倒には至らぬ！「アンジェ……なんで俺がアンジェ？俺はアンジェの夢女子……いや髪色からしてこれはプリンセス……つまり俺はプリンセス？」「落ち着け卵」

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「髪型で心臓が止まりそうになったが髪色はプリンセスで助かった、髪色がプリンセスで俺は一命を取り留めた。つまりプリンセスは俺の命の恩人だ」女子高生はブツブツと何事か呟き続けている。「命て」「しょっちゅう割れてるのにか」「日に１回はコンティニューしてるでしょ」周囲の反応は冷ややかだ。

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「つまり……つまり俺はもうどんなアンジェをぶつけられようが割れることはない？」はっとしたような顔を浮かべる女子高生。「うは、うははははッ！やったぞッ！やったぞォォ！やったぞオオオオオオ！！この俺にもう怖いものはない！ついに卵はッ不滅だアアアアアアアアアアアア！！！！」「うっせえ」

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女子高生は海老反り姿勢のまま、何ともひどい笑い顔でケタケタと笑い続けている。「アンジェの顔でキチガイムーヴすんじゃねえよ卵」「卵ではない！今日から俺は新卵だ！！」「新卵ってなんだよ」「新鮮そうで美味しそうですね」

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「さァァァてェ、そうと決まればお題箱に溜まった新鮮なアンジェ夢シチュを連続消化行為だァ！」芝居がかって携帯端末を取り出した彼女は、意気揚々と読み始める。「うぼぼァァァーッ！？！？」ボボボン！！多段水蒸気爆発！！路上に倒れ込んだ！「ヒャアー！鶏卵！」「あ、もう死んでんです？コレ」

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「回収！」死体回収人は今度は両脚を掴んで持ち上げ、背中におぶったまま事切れた女子高生を運んで行く！「なんというか死ぬ頻度はあんまり変わってねえな」「如何にアンジェ顔になって耐久度が増してもより高濃度のアンジェには、とか？よく分からんけど」概ねいつも通りの光景に皆安堵していた。 完

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というわけでいがしょうちゃんがついに人間の女の子の頭部を手に入れた、というだけのおはなしでした。