フォロワー女体化創作百合まとめ その3

百合ゾン
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はんちょ〜 @Hantipede

◆従◆   ◆者◆ ◆女◆   ◆体◆ ◆百◆   ◆合◆

2017-11-11 21:42:08
はんちょ〜 @Hantipede

平穏に見える街のどこかにも、こういった怪しげな場所は存在しうるものだ。乱立する謎めいた機械群がそれぞれのコードやパイプといった根を我先にと床に張り、使用する者の足場を占有する。規則的な電子音と、ゴポゴポと煮詰められる不審な薬品の音だけが、この部屋を占有する。平時は、が頭につくが。

2017-11-11 21:47:16
はんちょ〜 @Hantipede

今この日ばかりは、何やら言い争いあう声が部屋に響いていた。「おい、丁度いいじゃねえか。アンタが先に女体化されちまえよ」「ふざけんなよ、アンタが先に」などと不毛な事を言い合う2人の人物。部屋の主は、辟易しきった様子でそれを横目に聞いている。彼女にとっては、遅かれ早かれの話だからだ。

2017-11-11 21:51:35
はんちょ〜 @Hantipede

「まぁまぁ。仲のおよろしいようで、大変結構ですよこっちは?百合妄想のしがいがあります。ヒヒ」人外部位の目立つ女性はいやらしい笑みを浮かべ、2人の方へ身体を向けた。「「誰がこいつなんかと!」」全く同じタイミングで異口同音。笑みは深くなる。「なので、どちらも解決できるようにしました」

2017-11-11 21:56:53
はんちょ〜 @Hantipede

「ようやくね、第2号機が完成したんですよ。『あの人』のように手軽にはいかないもんでね。ほら」女性は2人の、腰の部分を指し示す。「「えっ!」」いつの間にか2人の腰には、有機的なデザインのベルトが巻かれている。「どっちが先とか、これならもう心配ございませんよ?」女性は歯を剥いて笑う。

2017-11-11 22:03:47
はんちょ〜 @Hantipede

「い、いやあの、どっちが先とか言ってはいましたけど」「そういう意味ではなくて」2人は否定しようとするが、もう遅い。既に百足の尾は獲物に巻かれ、顎肢を突き立てる時を今か今かと待ち望んでいるのだから。女性は目を細め、並ぶ2人の肩を抱く。2人の肩に、不自然なほど大きな乳房が乗せられる。

2017-11-11 22:11:08
はんちょ〜 @Hantipede

「ア……アア…」「や、やめ……」俄に震え始める2人を前に、彼女の瞳孔が開ききり、口角は最大限にまで吊り上げられる。「大丈夫……痛くはありませんから……」「い……」「嫌だァ!」聞き入れず、彼女は2つのベルトを同時に起動する!「百合ゾン」THOOOOM!2人の身体が熱に包まれる!!

2017-11-11 22:17:50
はんちょ〜 @Hantipede

「「アアアーッ!アアアアアーッ!!」」二人の叫び声とベルトから繰り返し放射される熱波が室内を支配する!叫び声はだんだんとその声音が高く、恐怖・困惑から艶めいた声色に変化する!『Show me your another face!She-She-She male!』ベルトから音声!

2017-11-11 22:23:48
はんちょ〜 @Hantipede

「あ……」「う……」熱波が収まり、軽い目眩に見舞われて足元をふらつかせる。「成功ですねェ。おおっと。危ないですよ。大丈夫ですか?」女性は触手を伸ばして二人の肩を支えてやり、ベルトを外す。「さて、これでお2人も居住権を獲得しましたよ」彼女が何もない壁に手を触れると、隠し扉が現れる。

2017-11-11 22:33:52
はんちょ〜 @Hantipede

薄暗い室内に光が差し込んでくる。2人はその光で初めて互いの姿の変貌に気付いた。驚愕、錯乱しながらも、示された通り外の世界に飛び出すしかない。もう後戻りも叶わない。半流動体・半幽体の少女と、狐の特徴をもつ少女は自棄糞気味に駆け出していった。「ようこそ。チベスナさん、あるはざさん」

2017-11-11 22:43:18
はんちょ〜 @Hantipede

ここもまた薄暗くも、先ほどとは別の人気のないとある場所。「あー………そうね、確かに俺も似たような記憶はあるわ」鬱屈とした声音でそう答えたのは、シルクのような金髪を特徴的な編み込みを混じえたアシンメトリー・ヘアスタイルに煌びやかな制服を着た少女。その片手には紙煙草。「そりゃ災難で」

2017-11-11 22:57:01
はんちょ〜 @Hantipede

「災難って」「なんか他人事っぽいっすね」「そりゃ他人事だからな。んなことよりお前ら。アンジェか女装男子持ってるか、無いよな」「何すかいきなり」「ねえねえねえ!あんたら新顔なんでしょ?コンティニューできる?ねえ死んでも復活できる?食い扶持!」ここはモルグ。死体回収人くくろの領分だ。

2017-11-11 23:02:49
はんちょ〜 @Hantipede

チベスナとあるはざは、あの狂気的女体化実験場から解き放たれたばかりであり、右も左も分からぬまま彷徨っているうちに、このモルグへ辿り着いてしまったのだ。「てゆーかぁいがしょうさーん。ココで煙草やめてって何度も言ってるでしょ?食い扶持?ねえ食い扶持?」「うるせえな。鉈を構えんな」

2017-11-11 23:09:43
はんちょ〜 @Hantipede

「鉈に、食い扶持って」「くくろさんやっぱりそういうキャラなんですか」「えへへー、死体を回収するとウチにおカネが入るんだー!特に死んでも復活できるいがしょうさんは大好き!いがしょうさんの身体はしょっちゅうアタシのおカネになるんだー!」「俺がお前に身体売ってるみてぇな言い方やめろや」

2017-11-11 23:16:56
はんちょ〜 @Hantipede

「えー」「なんかコワイ、俺らもバラされそうで」チベスナとあるはざは引き気味に後ずさる。それを見て、くくろは少し寂しそうな顔を浮かべて肩を落とすが、それは今この場ではいがしょうにしか分からない。彼女は溜息を1つついて煙草の火を床に押しつけ消すと、ポンポンと背中を優しくさすってやる。

2017-11-11 23:25:20
はんちょ〜 @Hantipede

「心配ねーよ。こいつぁこんなだが見た目や挙動よりずっと分別はつく。俺だって今までに何度となく四肢バラされたが、もう割れてコンティニュー待ちの状態だしな」「そうなんですか」「ああ。自分からその辺のヤツ襲って死体に変えてくタイプの奴じゃねえよ。一番付き合いの長い俺が保証する」

2017-11-11 23:31:03
はんちょ〜 @Hantipede

「さ、こんな辛気くせえとこに何時までもいないで、早いとこあのクソ喫茶にでも行くこったな。あそこで退屈紛らわせてりゃ、そのうちこの街での生活にも慣れる」いがしょうは2人を促し、階段を昇らせる。「俺も案内がてら一緒に行くから、表で待ってな」2人にそう言い残すと、くくろを見る。

2017-11-11 23:38:15
はんちょ〜 @Hantipede

くくろは彼女を見つめたまま、不満げに口を尖らせている。「ここ辛気くさくなんかないもん、むしろいがしょうさんのせいでちょっと煙草くさいもん」「へいへい悪かったよ。…………」いがしょうは頭を掻くと、またくくろを暫し見つめた。「? なーに?」「いんや。あン?またお題箱に何か届いたか」

2017-11-11 23:43:48
はんちょ〜 @Hantipede

いがしょうは携帯端末を取り出し、何事か弄ると画面を凝視した。くくろはそれをぱちくりと瞬きしながら見つめている 「ぽァッッッッッッ」ボボボン!!!顔面紅潮水蒸気爆発!!耳から白煙を噴きながら、いがしょうはその場にバターンと倒れた。「!! ヒャアー!!女子高生死体!」くくろは狂喜!!

2017-11-11 23:49:16
はんちょ〜 @Hantipede

くくろは大喜びで女子高生の死体を担ぐと、慣れた手際で手近な棺に寝かせ、格納!「ヒャアー!……あっ」我に返る。沈黙がモルグを支配する。今ここにはくくろ一人だ。「これ、アタシが2人を『東風屋』まで案内しないといけないパターンだよね……もー!いがしょうさんわざと死んで押し付けたなー!」

2017-11-11 23:54:41
はんちょ〜 @Hantipede

くくろはぷんすかと憤慨しながら、モルグを後にしていった。後には静寂が残るだけ。きっといがしょうはとっくにコンティニューし、広場で待っているのだろう。そういうところはちゃっかりしているので油断ならない。くくろは表で待っていた2人と合流を果たすと、意気揚々と2人を通りへ連れて行った。

2017-11-11 23:59:29
はんちょ〜 @Hantipede

「………えー?来てない?」くくろは目を丸くして、客達の言葉を反芻した。「ああ。今日も割れたのをお前に回収されてってからは、まだ姿を見てねえよ!どっかでまたお題箱でも見ながら煙草吸ってんじゃねーのかあの卵!」「ふーん。ま、いいや!あの人死んだらすぐ分かるし、そのうち来るでしょ!」

2017-11-12 00:04:24
はんちょ〜 @Hantipede

それから日を跨いで。「……今日も、来てないの?」「ああ。死体が出てないのに貴方がモルグから出てくるとは珍しいっすね…」駄目仙人は『東風屋』屋外席に寝かせたシアの変声機の修理をしてやりながら、そう告げてきた。「そう、かあ」何かが、おかしい。いがしょうさんが『東風屋』に来ないなんて。

2017-11-12 00:08:48
はんちょ〜 @Hantipede

くくろは居ても立ってもいられず、駆け出した。どうしよう。どうしよう。あの人は何処だろう。アタシは、あの人がいないと、困る。食い扶持……はそうなのだけど、何より!いがしょうさんはアタシの友達だ!一番最初に、友達になってくれた人なんだ!この島に、この街に来てからも最初だったんだ!!

2017-11-12 00:12:22
はんちょ〜 @Hantipede

裏路地。いない。灯台。いない。街のすぐ外の森。にも、いない。くくろは立ち止まることなく駆け回った。街の、島のあちこちを。 「いがしょうさん?いえ、こちらには来てませんねぇ」最後の砦に辿り着いても。あの女科学者にそう言われてしまった途端、くくろの脳裏をある可能性が過ぎってしまった。

2017-11-12 00:16:22