モンスターハンター2次創作 ~吹雪の覇者~ -骸の王と義憤の戦士- 最終話 想造

チラシの裏の継ぎ足しの最後
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クワトロゾンビ @QZombie

第三話 想造 ━━酒場にて 夜が本格的に深まる中、静かになりつつあるドンドルマの酒場で絶叫一つ。 「頼むぜ、そろそろ聞かせてくれよ!」 詩人は驚きエールを噴き出す。 「ゴフッ!えぇ、そうですね、噺の続きと参りましょうか。」 「すぐ再開するとか言って一息も二息もつきやがって!」

2017-11-14 22:00:30
クワトロゾンビ @QZombie

休憩を挟んでいた詩人に非難が飛ぶも、ふてぶてしく言い放つ。 「まぁまぁ、必要経費ですよ。・・・始めますよ。」 「待ってました!」 「あぁ、聴かせてくんなっ!」 詩人は立ち上がり、大仰に語る。 「これより語るは吹雪の覇者の伝説、その一節!」

2017-11-14 22:00:49
クワトロゾンビ @QZombie

織り交ぜられた運命に従い、骸の王が目を覚ます。 運命の先――吹雪の覇者と義憤の戦士の、未来を想造する戦いが始まる。

2017-11-14 22:01:00
クワトロゾンビ @QZombie

━━その男は孤島に居た。 義憤の戦士に、聞きたいことがあるようだ。 「何が、目的だ。」 「目的、ですか。言わないとダメですか?」 「ダメだから聞いてる。」 「そうですか・・・。」 流石に言いよどむか。こいつが何者なのかもわからねぇし。 さっきのそうぞうりょく、だったか。

2017-11-14 22:01:13
クワトロゾンビ @QZombie

事と次第によっちゃあギルドにも報告しなくちゃだし・・・。 「愛する人を、探しているんですよ。」 「・・・はぁ?」 こいつ、キメ顔で、何てこと言ってやがる。 「そう、私は自身の思いに従い、愛のために世界を渡り・・・」 ――くっさ。 「あーはいはい、わかりましたよご馳走様です。」

2017-11-14 22:01:34
クワトロゾンビ @QZombie

だめだ、こういう手合いには付き合いきれん。もう、なんでもいいや。 「チッ、とりあえず帰るぞ。 他に聞きたいことも山ほどあるが、呑みながらだ。」 「わかりました。」 「あ、そうだ。いくらなんでもバリスタは誤魔化せないぞ。なんとかできるか?」

2017-11-14 22:01:48
クワトロゾンビ @QZombie

「はい、片づけくらいは自分で――想像力開放、顕現せよ石ころ。」 でけぇバリスタがパッと石ころになりやがった。本当に意味わからん。 ・・・まぁ、それも呑みながらだ。 とにかくクエスト完了の発炎筒を焚いて、ギルドの連中に丸投げしよう。 もう、まずはエールを浴びちまいたい。

2017-11-14 22:01:57
クワトロゾンビ @QZombie

あーしんど。 今まで有る事無い事口八丁手八丁でなんとかしたけど、有る事ばっか隠すのなんて初めてだ。 俺がわからんことどう説明するってんだ・・・。 ま、あれもこれも全部霞のになすりつけたけど、あいつなら何とかするだろ、うん。 「おう、待たせたな。」

2017-11-14 22:02:10
クワトロゾンビ @QZombie

大老殿の階段下でちゃんと待ってたな。感心感心。 「いえ。」 「報告は終わった。お前さんのことは全部伏せて切り抜けたぞ。 ・・・じゃあ、洗いざらい聞かせてもらおうかい。」 「わかり、ました。」 とりあえず酒場に連行だ。 「おう、サキいるか。」 「は、はい!少々お待ち下さい!」

2017-11-14 22:02:24
クワトロゾンビ @QZombie

さて、酒場に着いたはいいがおっぴろげに話せることじゃねえ。 ・・・サキはまだかな。 「はい、お待たせしました。どの様な御用件でしょうか。」 「上等な個室空いてるか。」 「――えぇ、空いてますよ。飲み物はどうします?」 おし、空いてたか。

2017-11-14 22:02:40
クワトロゾンビ @QZombie

「エール二つ特大。あとミックスナッツどっさりくれ。」 「はい、わかりました。では後ほどお持ちしますね。」 「おう。――ついてきな。」 「わかりました。」 じゃあ、行きますか。 「さ、まずは座りな。エールが来るまではくつろいでいてくれ。」

2017-11-14 22:02:51
クワトロゾンビ @QZombie

「はい。・・・本当に上等なんですね。調度品も最高級じゃないですか。」 まぁ、普通はそこに目が行くわな。 「あぁ、そこもだな。だが肝なのは――」 コンコン 「どうぞ。」 「エールとミックスナッツです。」 「おう。」 「では、失礼します。」 うし、こいつがなくちゃ始まらんな。

2017-11-14 22:03:24
クワトロゾンビ @QZombie

「じゃ、まずは乾杯だ。」 「はい。」 樽をガチンと合わせて一気に煽る。 カァー・・・うまい。 「で、肝なのはここは秘密が漏れないんだよ。 防音なのは勿論、カウンターの裏からじゃないとは入れない。ギルドの機密会議なんかにも使われるんだよ。」 「・・・へぇ。」

2017-11-14 22:03:37
クワトロゾンビ @QZombie

「ここでなら、そうぞうりょく、だったか。きっちり話を聞かせてもらおうか。」 「スゥー、ハァー・・・。」 深呼吸を一つ、か。覚悟を決めたな。

2017-11-14 22:03:57
クワトロゾンビ @QZombie

「わかりました。 想造力、ですね――世界を想い、存在する形を造り、世に顕現させる私だけの力です。 要は、世界の記憶から私が認識できるものを拾い上げ、元の物質に上書きをするんです。 このナッツで実際にお見せしましょう。想造力開放――顕現せよ、素材玉。」

2017-11-14 22:04:07
クワトロゾンビ @QZombie

ちっこいナッツが素材玉に一瞬で変わった。 ・・・何度か見てるが、改めて危険だ。 「質問、いいか。」 「どうぞ。」 「てめぇ、何者だ。」 「・・・どう、答えたらいいでしょうかねぇ。 先ほどの通り、愛する人を探す者って答えじゃダメですよね。」

2017-11-14 22:04:22
クワトロゾンビ @QZombie

「たりめぇだろうが。生まれや部族、お前自身がどんな奴かを答えろってんだ。」 ナッツを放り込んでエールをかっ食らう。 今回はしっかり聞かせて貰わないとな。 「私に国はありません、家族もいません。私にあるのは名前だけです。」 また突っ込みづらいことを・・・まぁいい。

2017-11-14 22:04:45
クワトロゾンビ @QZombie

「あー・・・じゃあつまり、想造力を使えるのはお前だけってことでいいんだな?」 「そう考えて間違いないでしょう。」 「なるほどね。わかった、じゃ次の質問だ。」 「どうぞ。」 「その、想造力ってのは認識できればなんでも出来るのか?」

2017-11-14 22:04:55
クワトロゾンビ @QZombie

「なんでも、は無理です。私自身が理解できる、知っている物しか顕現できません。 大きさにも限界があります。」 「ってことは、ドンドルマを丸ごとどうにかする、とかはできないわけか。 じゃあ、その理解や大きさの限度は、どのくらいだ?」

2017-11-14 22:05:10
クワトロゾンビ @QZombie

「限度ですか・・・超自然的な、所謂神の力、生命を生み出す事などは出来ません。 具体的に言うならば、人が作った物であればある程度複雑なものでも可能です。 大きさについては、私もあまり大袈裟な事はしたことがないので・・・ そうですね、ガーディアンの装備一式くらいなら可能ですよ。」

2017-11-14 22:05:20
クワトロゾンビ @QZombie

「生物に対して想造力を使って石ころにするとかは出来るのか?」 「それはできません。命は複雑で難しい物です。 理解できる物を、理解できる何かへ変える。それしかできません。」 「はぁん、意外と融通が利かないんだな。」 「仰る通りです。」

2017-11-14 22:05:39
クワトロゾンビ @QZombie

「オーケー、想造力についてはわかった、ありがとうな。」 「いえ。」 命は難しい、か・・・危険ではあるが、変な気を起こす事もなさそうだ、いくらでもやりようはあるな。 「さて、それじゃあ最後の質問だ。――好きなツマミはなんだ。」

2017-11-14 22:05:51
クワトロゾンビ @QZombie

「果物をお願いします。例えば――リンゴ。」 「丁度いい、知っているかアマレイク。ここにはフワッフワッフルにハップルアップルの砂糖漬けを添えた、 ハップルアップルワッフルという裏メニューがある。・・・挑戦するか?」

2017-11-14 22:06:03
クワトロゾンビ @QZombie

「是非、そのハップルアッフルワップ・・・・」 「いや、ハップアッフ――。ハッハハハハハ!」 「アハハハ!」 あー腹いてぇ。 っと、専用のベルを鳴らさにゃな。 「お待たせしました。」 「きたきた、ウェイターの姉ちゃん!ブレスワインとハップルアップルワッフル頼むわ!」

2017-11-14 22:06:14
クワトロゾンビ @QZombie

「・・・特に何もねぇなぁ。」 孤島の調査と取り調べやらが3日かかってやっと一段落ついて、久々にクエストボードとにらめっこしたが・・・。 実入りのいい採取クエストもなく、かといってランポスなんかの間引きやら大型モンスターの狩猟依頼も締め切っちまってら。 「まぁ、平和ってことか。」

2017-11-14 22:06:32
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