陥没アヒルチャンのフォロワー百合小説 EP1

百合……? 次>https://togetter.com/li/1172402
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Φ @ahiruchan_phi

◇ヒアエー◇Yurizon Prime Videoを観るときは、部屋を明るくして離れて観てね◇#のじるい島民放送局

2017-11-15 12:28:48
Φ @ahiruchan_phi

さして特別なものもない一般家屋の廊下に、異様な一団。五人の女性が、しきりに辺りを警戒しながら歩みを進めているのだ。彼女らは皆共通の防護服を身をつけ、特殊形状の銃を携行する。「おい」小柄な隊員が別の隊員を肘で小突き、開いた扉から見える部屋の中を指し示した。「食べ残し」

2017-11-15 12:30:40
Φ @ahiruchan_phi

彼女の指差す先には中年男性の死体……否、よく見ればただの男性というには異様な姿であることがわかる。蠅の集る男の無骨な手にはネイルアートが施されており、服装も優美なワンピースである。「うっ」新人らしき隊員の一人が吐き気を催し顔を背けた。「慣れろ。これから山ほど見ることになる」

2017-11-15 12:33:14
Φ @ahiruchan_phi

「いましたよ」一人先行していた眼鏡の隊員が手招きする。「よし」残りのメンバーが速やかに移動する。一人が目的の部屋のドアに耳を寄せ、中の様子を探る。若い女性の談笑する声が聞こえる。ここで間違いない。「行くぞ」隊長格らしき女性が手で合図を出し、他の隊員全員が頷いた。

2017-11-15 12:35:47
Φ @ahiruchan_phi

ドアを勢いよく蹴破り、部隊は銃を構えたまま部屋に雪崩れ込んだ。構えた銃口の向く先には、並んで床に座る女性二人の後ろ姿。この状況に反応なし。異様だ。数秒の静寂の後、一人が床に力無く倒れ込んだ。「そっちじゃねえよ」反射的にそれに銃を向けそうになった新人を咎める。「もう一人の方だ」

2017-11-15 12:38:26
Φ @ahiruchan_phi

もう一人の女性は彼らに背を向けたまま、首だけをゆっくりと回転させてゆく。90度。その異形の顔面が見え、新人が息を呑んだ。135度。隊長がインカムに手を伸ばす。180度。「百合、確認」張り詰めた空気の中、隊長が静かに呟く。「狩り、開始」その女性の頭部は、陥没アヒルヘッドであった。

2017-11-15 12:40:29
Φ @ahiruchan_phi

「クワーッ!」奇声を発しながら陥没アヒルヘッド女性は跳躍した!「撃て!」隊長が命令し、自らも銃を構える!BTATATAT!弾幕!「グワーッ!?」アヒルヘッド怪人は空中で姿勢を崩し、着地!「クロ!」「ヒャッ!」隊長の一声で銃撃が一斉に止み、代わりに部隊後方から小柄な人影が飛び出す!

2017-11-15 12:42:45
チベスナ @apatheiaTBSN

#のじるい島民放送局 「百合、確認」「狩り、開始」って百合が禁止されたディストピア的なやつかと思ったらアヒルヘッド怪人なのでこの世界の百合はアマゾンと同じ意味らしい

2017-11-15 12:45:14
Φ @ahiruchan_phi

その隊員は電磁鉈を振りかざし、狂戦士のごとく異形の女性に襲いかかる!「ヒャア!」「グワーッ!」右脚切断!「ヒャア!」「グワーッ!」左脚切断!黄色の血飛沫が狭い部屋を染める!「よし、下がれ!」「ヒャア!」置き土産とばかりにアヒルヘッドに鉈を突き刺し、狂戦士女子は跳び退いた!

2017-11-15 12:45:38
Φ @ahiruchan_phi

BTATATAT!狂戦士の猛攻の間に散開していた部隊が、怪物を包囲する形で弾幕を浴びせる!「グワーッ!」両脚を失った女怪は暫く全身から黄色の血を吹き出し悶えていたが、やがて力を失い、倒れた。「や、やりました……!」「まだだ」新人が銃を下ろそうとするのを、隊長が片手で制する。「来るぞ」

2017-11-15 12:48:21
Φ @ahiruchan_phi

「クワーッ!!」怪奇!死したかと思われていたアヒルヘッド女性の背中から、服を突き破って巨大な蝙蝠の羽が出現した!大きく羽ばたき、部屋に暴風が吹き荒れる!「くっ……!」部隊が怯んだ隙に、異形アヒルコウモリは揚力を得て起き上がる。そしてそのまま、窓を突き破って屋外へ飛び去っていった。

2017-11-15 12:50:53
Φ @ahiruchan_phi

「飛行タイプか……めんどくせえ」隊長は空に小さくなるアヒルコウモリの影を窓から見つつ吐き捨てる。「おい、センは」「突入前にバンに帰りましたよ」この凄惨たる場に似つかわしくない温厚な雰囲気の隊員が応えた。「道理で弾幕が薄かったはずだ。追跡してるんだろうな」「さあ」「駄目だな」

2017-11-15 12:53:12
Φ @ahiruchan_phi

『駄目とは失礼ですよ』その声は温厚そうな隊員の喉から発せられた。よく見ると彼女の喉もとには妙な機械首輪が取り付けられている。「あっセンさんいつの間にそんな機能を!」『シアさんが寝てる間にちょいっと。私天才ですから。あ、敵さんは新開発のセンちゃんドローンで追跡してますよー』

2017-11-15 12:55:44
Φ @ahiruchan_phi

「珍しく働くな。よし、バンに戻って逃げた百合を追うぞ……クロ、どうした」隊長が例の小柄な隊員に目を向ける。彼女は先ほどまでとは打って変わって大人しくなっていた。「たいちょー、鉈……持ってかれた……どうしよう」涙声で訴える。「どうもしねえし、俺様は隊長じゃなくてはんちょ〜だ」

2017-11-15 12:58:34
Φ @ahiruchan_phi

戦闘時とはまるで違う表情を見せる彼女らを見て、新人隊員は困惑していた。「どうしたの?行くよ」シアと呼ばれていた隊員が声をかけてくる。「あ、いや、その……これ、ほんとにこれからやっていくんですか」「そっか、サバちゃんはハズレくじでここ来たんだったよね」シアは頷く。

2017-11-15 13:01:34
Φ @ahiruchan_phi

「ボ……私、ほんとにこういうホラー系ダメで……お給料出るからっていっても……」「大丈夫大丈夫、あの駄目センでもやっていける職場なんだから!気楽に行こ、パスタ食べる?」シアは自らの喉を指差す。「い、いえ、結構です……」『駄目じゃないですー、急いでよ』その喉が声を発した。「ほら」

2017-11-15 13:04:19
Φ @ahiruchan_phi

のじるい島。のじるい製薬によって管理・運営される人工島である。一見平和そのものであるこの島の裏には、無数の名状しがたき怪物が潜んでいる。それは、人間女性に擬態し、女性ホルモンごと人間女性を捕食する陥没アヒルヘッドのバケモノ。その名を……百合ゾン。

2017-11-15 13:07:07
Φ @ahiruchan_phi

島に潜む百合ゾンを狩るため、のじるい製薬によって組織された『駆除班』。リーダーのはんちょ〜。狂戦士クロ。製麺のシア。機械担当のセン。そして、新人のサバ。彼女らは皆、腹に一物抱えたワケありたちだ。今、戦いは始まった。アヒルが嗤う、この島で。

2017-11-15 13:09:02
Φ @ahiruchan_phi

【YURIZONZ 後半へ続く】

2017-11-15 13:09:23
Φ @ahiruchan_phi

「急げ!電池が切れる!」木々生い茂る森の中を駆除班のバンが走り抜ける。運転はセン。助手席にはんちょ〜。その後ろには荷物やら武器やらクロやらシアやらサバやら何やらが所狭しと詰め込まれている。「ちゃんと充電ケーブル挿さってなかったなんてー!」「この駄目セン」「駄目じゃないですー!」

2017-11-15 16:46:35
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