陥没アヒルチャンのフォロワー百合小説 EP2
- ahiruchan_phi
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駆除班には生活拠点として、のじるい製薬の所有する小施設が与えられている。小さいとはいえ元研究所であるこの場所は、5人が生活するには充分すぎるほどの広さがある。そのため、光熱費その他諸々の観点から、基本的に全員が同じ大部屋一室に集まっていることが多い。今日もそれは例外ではなかった。
2017-11-17 12:06:59「シアさん、今日は焼うどんでお願いしますね」炬燵に肩まで入ったセンが、キッチンに声を飛ばす。「はいはい」シアが軽く応答し、喉の製麺機を起動すると『UDON ENERGY』の電子音とともにうどんが排出されてくる。横に控えたクロが、延々と排出されるうどんを適当な長さにカットしていく。
2017-11-17 12:09:54「あれどういう仕組みなんですか……」炬燵に申し訳なさげに足先だけ突っ込んでいたサバが問う。「あ、聞いちゃいます?まずはシアさんの身体改造状況からお話ししますよ」「しなくていい」はんちょ〜が炬燵の上にタブレット端末を投げ置き、炬燵に潜り込んだ。「セン、脚邪魔」「それ腕です」
2017-11-17 12:13:20サバはタブレットを覗き込む。そこには、この間狩った百合の死体の解析情報などが表示されていた。「うっ……」あの状況を思い出してサバはえずいた。「ご飯前に見るんじゃなかった……」「ご飯前に見せるつもりで持ってきた」はんちょ〜がにやけながら言う。サバは弱々しく彼女を睨んだ。
2017-11-17 12:17:13「飛行タイプとはいえランクDだったからな、報酬もそこそこしか出てねえ」「駆除班卒業はまだまだ先ですねー」センが炬燵から這い出してくる。「あの、皆さんはなんでこんな仕事を……」「金」「お金ですね」「お金」「お金です」サバの質問に被せるように全員が同じ答えを返した。「ええ……」
2017-11-17 12:19:24「出来ましたよー焼うどん」シアとクロが湯気の立つ皿を運んでくる。「それと納豆」続けて冷蔵庫いっぱいに詰め込まれたパックの納豆が人数分取り出されて並べられる。「よーし食べるか」「いただいてます」見ればセンは既に箸をつけている。他の面々も各々手を合わせ、昼食を摂り始めた。
2017-11-17 12:21:57食事中は基本無言。全員食べることに夢中だ。サバもそれに倣って一人、無言で納豆をかき混ぜる。「シアさん」「はい」シアがセンにキムチの瓶を手渡す。センはそれを納豆に投入し、おもむろにサバを見た。「いります?」「あの、辛いのダメです」「そ」短く言うと、センは瓶をシアに返した。
2017-11-17 12:24:51冷蔵庫いっぱいに詰められた納豆のパック サバちゃん転職した方がいいのでは? こいつら多分納豆と麺で頭やられてる #のじるい島民放送局
2017-11-17 12:25:10再び箸の音と咀嚼音だけの空間に戻る。だがそれは1分も経たないうちに、炬燵の真ん中に置かれたタブレット端末の着信音によって崩壊した。はんちょ〜が受話ボタンをタップする。「駆除班」『調査班です。実験体を発見しましたので駆除お願いします。場所は送信しておきました』「了解、行くぞ」
2017-11-17 12:28:32