レヴィ=ストロースは認識的相対主義を否定している

デリダさんの飛行機の話ほどは面白く無いです。
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ロードランナー様 @shinkai35

レヴィ=ストロースは1956年の時点で、認識的相対主義をはっきり否定してる。以下、『構造人類学』、p100より引用。……は省略を表す。「……同一の事実を説明するのに二つの解釈が成り立つと考えることは、科学的研究のある種の段階では健全な態度である(つづく)」

2017-11-20 20:47:20
ロードランナー様 @shinkai35

「……誤りは、こうした状況が実在するときにそれを認めることではなく、それに満足してそれを乗りこえようとしないことである。ところで、構造的分析は、とくにヤコブソンが物理学から借用してつねに用いている唯一解の原理――『より少ないものでできることをより多くのことでするのは無駄である』」

2017-11-20 20:52:04
ロードランナー様 @shinkai35

「……――によって、この状況から逃れ出る方法を提供している。……多くの説明のうちでもっとも経済的なものこそ同時にもっとも真実に近いという考えかたは、結局のところ、世界の法則と思考の法則が同一だという公準にもとづいている……」

2017-11-20 20:56:33
ロードランナー様 @shinkai35

レヴィ=ストロースのこの発言は、他人からの「あんたは認識相対主義を主張してるでしょ」という嫌疑に対してなされたもの。裏を返せばそう解釈されかねない面は当時からあり、彼の考えを継承した者にはじっさい認識相対主義へと向かう人もいて、ポモ誕生にいたる、という感じかな。

2017-11-20 21:19:52
ロードランナー様 @shinkai35

ポストモダン系の議論では、ソシュールの言語は恣意的だという考えが拡張されて、言語が現実と無関係なバーチャルリアリティを形成してるかのような主張や、言語と認識が密着してるというウォーフ的主張がしばしばなされるけど、レヴィ=ストロースはこうした考えに批判的だった。

2017-11-20 21:31:30
ロードランナー様 @shinkai35

言語の恣意性を強調するソシュールの考えは、エミール・バンヴェニストにより批判されているけど、レヴィ=ストロースはこの点でバンヴェニストに賛同している。レヴィ=ストロースはまた、ウォーフ仮説も名指しで批判している。だから認識相対主義に陥らなかったんだな。

2017-11-20 21:37:37
ロードランナー様 @shinkai35

よってレヴィ=ストロースの考えでは、文化には一種のバーチャルリアリティーを形成する作用はあるけれど、それが脱出不可能な檻を形成してしまうので人間は客観的認識を得られないというような、ポストモダン的結論は出てこない。だから科学にたいしても素直に肯定的だった。

2017-11-20 22:25:31
ロードランナー様 @shinkai35

レヴィ=ストロースはボアズをめっちゃ尊敬してたし、ヤーコブソンから言語学を学んだ人でもある。認識と言語についての考えもガイ・ドイッチャーのいうボアズ=ヤーコブソンの原理にならってたとみてよさそうだ。

2017-11-20 22:31:59
ロードランナー様 @shinkai35

ボアズ=ヤーコブソンについてはここに書いた通りです twitter.com/shinkai35/stat… twitter.com/shinkai35/stat… twitter.com/shinkai35/stat…

2017-11-20 22:34:07
ロードランナー様 @shinkai35

ガイ・ドイッチャーは言語が思考に影響するという説をボアズ=ヤーコブソンとサピア=ウォーフに区別し、前者を肯定、後者を否定してる。前者は例えば、時制の区別が細かい言語の話者はそうでない言語の話者より物事の時系列に敏感になるというような影響があるだろうという考え。

2017-09-23 01:07:33
ロードランナー様 @shinkai35

サピア=ウォーフは言語が思考を限界づけるという考え。たとえばA語の話者には思考できるがB語の話者には思考できない事柄がある、というように。ボアズ=ヤーコブソンでは、時制の単純な言語の話者でも細かい時系列の区別はできるのだから、言語は思考を傾向づけてはいても限界づけてはいない。

2017-09-23 01:12:32
ロードランナー様 @shinkai35

レヴィ=ストロースの遠近の回想によるとボアズとヤーコブソンは言語についての議論を盛んにおこなっていたそうだから、ふたりの意見に共通性がみられるのは二人で練り上げた考えなのか、一方が他方に影響したのかもしれないな。

2017-09-23 01:18:32
ロードランナー様 @shinkai35

ボアズ=ヤーコブソンとウォーフ説の区別を知らないと、レヴィ=ストロースの、ボアズは「言語は話者の意識の外で話を構成しつづけ、客観的なカテゴリーと見なされるような概念的枠組をその思考に押しつけるものだということを明らかにした」といった発言がウォーフ的なものに思えてしまう。

2017-11-20 22:59:06
ロードランナー様 @shinkai35

ガイ・ドイッチャーの整理はめちゃくちゃ役に立つな。レヴィ=ストロースも、もっと漠然とした形ではあろうけれど両者のちがいを認識していたから、ボアズの言語論は受け入れつつウォーフの言語相対論は否定したわけだ。

2017-11-20 23:04:54

以下、ガイ・ドッチャーに文句がある人

まとめ ガイ・ドイッチャー『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』個人的まとめ ガイ・ドイッチャーに文句がある人 7902 pv 16 3 users