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アニメ「Re:CREATORS」小考察--クリエイターはn次創作の夢を見るか

現実と虚構を「くるりと裏返す」ことで、創作者の業を浮き彫りにするアニメ「Re:CREATORS」。終盤のクライマックスは名作レベルでした。初音ミクとの関連性も指摘されます。そう聞いて黙っていられる私ではありません。その見地からの考察骨子を。
Re:CREATORS 著作権 アニメ 初音ミク レクリエイターズ n次創作
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丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 終了。第20話、アルタイルが自らの力の源泉について語る部分(1~3枚目)、ここで彼女は「創造の力は誰かに受け取られ(中略)その思いを糧に再び生み出される」と語ります。完全に「Tell Your World」(4枚目)ですね。「いくつもの線は円になって 全て繋げてく どこにだって」。 pic.twitter.com/f3BUGx2gnG
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丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
このアルタイルの台詞、「創造の力は誰かに受け取られその思いを糧に再び生み出される」という仕組みですが、初音ミク現象に関する知識が多少でもあれば、誰でもそれが完全に一致しているとわかるでしょう。そして前ツイートの画像。これはパクリなどではもちろんなく、100%理解した上で作画している。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ この場面で個人的に気になったのは、アルタイルが自らのn次創作と作り手たちに関して、「欲望を無尽蔵に抽出し、感情をむきだしにさせる断片的な散文詩」とか「それは情動、荒れ狂う情熱だ」「小賢しい理知など、情動の前ではただのしもべに過ぎない」とか言っている点。え?
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
ここは正直引っかかりましたね。初音ミクとアルタイルの類似性は、先ほど引用した画像やアルタイル自身の台詞から、疑う余地はない。では、その創作は「欲望を無尽蔵に抽出し、感情をむきだしにさせる」「情動、荒れ狂う情熱」なのか? あるいは一次創作者にはそう見えるのかしら? #レクリエイターズ
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
実際、#レクリエイターズ 放送時、「Tell Your World」との類似性などは話題にならなかったのかしら? とはいえこの作品、アルタイルのn次創作の力を相当な脅威として描きながらも、掘り下げられているのは一次創作者とその創作物の関係の方です。それはもう圧倒的に。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
…猛烈に脱力することを言えば、n次創作という無尽蔵の力をアルタイルに与えている決定的源泉は、著作権法なんですね。セレジアもアリステリアも、あれほど人気があるなら、著作権制度がなければ、いくらでもn次創作の起点になり得た。つまりアルタイルに近い力を持ち得たわけです。#レクリエイターズ
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
このあたり、実は創作を巡る本質的な問いかけになり得る問題なんですが、今日はこのくらいで。いろいろな意味で問題作、意欲作であることは間違いなく、今後も様々に参照される作品になるのは確実だと思います。ただ実は、初音ミク現象方面への掘り下げを期待すると肩透かしを食う。#レクリエイターズ
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
一点追加。なので「政府の総力を挙げた」対アルタイル戦で、実は採り得た策がもう一つ。決戦の日まで、現界したキャラクターたちの作品の著作権を制限し、二次創作を自由化すること、コンテストなどを催して、二次創作を最大限に奨励すること。アニメ内の作戦と併用すれば効果大。#レクリエイターズ
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
むろん、ストーリーになるわけないので、これはアニメのお話としてはあり得ない。しかし「リアリティ」を重視するなら、十分に検討に値した方策ではあります。

【ここから本編】一晩おいて頭の中が整理できたので、以下のように骨子をまとめました。

丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子。基本的にこの作品は①一次創作者が主役である②受け手に承認されなければ、作家も作品も登場人物も存在しないに等しい。それが創作という修羅道③従って必然性があれば登場人物をいくらでも過酷に扱う④にも関わらず、いや、だからこそ登場人物は作者の血の結晶である。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑤二次ないしn次創作は、一次創作と交わらないものとして描かれている。n次創作を力の源泉とするアルタイルは「真の作者」が登場した時、世界との和解を果たす。セレジアやアリステリアら受け手に強く「承認」された登場人物の二次創作は、当然あるはずなのに触れられない。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑥n次創作の仕組みやエネルギーに関して、製作者サイドの理解が浅かったとは考えられない。再三引用している20話でのアルタイルの台詞「創造の力は誰かに受け取られ、その思いを糧に再び生み出される」は、n次創作の本質を突いている。その図解も誤ってはいない。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑦「想像の力は誰かに受け取られ」という前段は、一次創作においてもそのまま当てはまる。後段の「その思いを糧に再び生み出される」も、許諾を受けた二次創作(映画化、アニメ化、メディアミックス)だって同様だろう。要するに無許諾二次創作との区別でしかない。

「想像の力」ではなく「創造の力」でした。お恥ずかしい。

丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑧従ってテーマの一端は、身も蓋もないことに、著作権法と それに対する姿勢に帰着する。二次創作に対して法に沿った対応を求めざるを得ないコンテンツ産業系の作品と、概して大幅にゆるやかな姿勢を取るネット発作品との違い。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑨作中のキーワード「承認力」は、拙論文「本の滅び方」で使った「作品の生命」に近い。つまり「作品は作者によって生まれ、利用者によって生き延びる。作品は『残る』のではなく、無数の利用者がそれを支持することによって『残す』のである」。thinkcopyright.org/tanji-book.pdf
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑨(続き)この論文「本の滅び方」では、約3万8千冊の書籍の出版状況を確認することによって、その1冊1冊の「作品の生命」を追った。その裏付けの上で断言すると、長い生命を持つ書籍の大きな特徴の一つは「絶えず二次創作されていること」だ。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑨(続き2)この論文で採り上げた作者のうち、出版点数最多の3人、江戸川乱歩、吉川英治、谷崎潤一郎の作品は、しばしば映像化、漫画化、劇化され、パロディも含めて翻案されている。特に物語系の作品では、作品の生命と二次創作は、切っても切れない関係にある。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子⑩従って この作品は、あくまでも一次創作者の物語。作者と作中人物との抜き差しならない関係を軸に、神であるはずの作者ですら受け手の「承認」という尺度に支配され、自らの創作動機とのぎりぎりのせめぎ合いの中で執筆している、その姿を描いたとみるのが適切かな。

改めて読み直すと⑨→⑩のつながりがわかりにくいですね。

これは、上の方で触れたアルタイルの台詞
「欲望を無尽蔵に抽出し、感情をむきだしにさせる断片的な散文詩」
「それは情動、荒れ狂う情熱だ」
「小賢しい理知など、情動の前ではただのしもべに過ぎない」
及び
骨子⑦
「『その思いを糧に再び生み出される』も、許諾を受けた二次創作(映画化、アニメ化、メディアミックス)だって同様だろう。要するに無許諾二次創作との区別でしかない」
を受けています。

二次創作ないしn次創作は、一次作品の作品としての生命(≒承認力)を増すためにきわめて重要なものです。例え無許諾n次創作であっても、優れたものであれば作品の認知度は向上し、承認力も当然上がる。にもかかわらずアルタイルがここで語っているのは、許諾されたn次創作と無許諾n次創作の違いです。そもそも許諾を受けたn次創作であっても「情動」「荒れ狂う情熱」は普通にあるはずなのですが。

ここには製作者サイドの考え方が反映されているとみるのが自然でしょう。意識してか無意識にか、許諾を受けたn次創作と、無許諾のn次創作とを、製作者は分けて考えているわけです。そしてその区分は事実上「旧来のコンテンツ産業サイドによる創作か、ネット系クリエイターの創作か」にたいへん近いものになります。

丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子(番外)なので、これは「初音ミクを描いた作品」じゃないのですよ。残念ながら。初音ミクの特徴をよく捉えたキャラクターが重要な役割を果たすけれど、それはあくまでも本当の主題を際立たせるための舞台装置にすぎない。本当の主役は旧来のコンテンツ産業側にいる。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子(番外2)この作品世界の根源的タブーが、実は「著作権法」。人類の命運をかけた政府の作戦履行においてすら それは変わらない。実は、セツナの著作権継承者からアルタイルの著作権を政府が買い上げ、二次創作を全面的に禁止し、厳重に取り締まれば終わる話ではあった。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
#レクリエイターズ 考察骨子(番外3)あるいは同様に、アルタイルの二次創作元になった「悠久大戦メガロスフィア」の権利者に強力に働きかけ、アルタイルの二次創作公開を徹底的に禁じるという手もある。もうお話ぶちこわしだけれど。私が菊地原なら迷うことなくこの手を取る。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y
…もうやだね、自分の著作権スレっぷりが。
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コメント

ねーぴあ@カクヨム @Napier_pi 2017年11月28日
個人的には、淫夢ネタやゆっくり虐待みたいな二次創作を煽って、アルタイルをゴミデータの塊にするのが一番良かったと思ったり。
ねーぴあ@カクヨム @Napier_pi 2017年11月28日
二次創作の最大の強みであり弱みは、そのキャラクター性すらも「そのときメジャーな人達」に合わせて変化することだと思いますし。
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月28日
アルタイルには元になるキャラがいてその二次創作キャラであり、二次創作キャラに名前が与えられたことで一次から独立しているという点が重要。
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月28日
だからセレジアが二次創作OKの扱いにしても、二次創作はセレジアの属性では無くなってしまう。承認されない。 初音ミクはソフトと僅かな設定とキャラ絵だけで一次側に物語が無いので、二次創作で生まれた物語が本体になりえた。
転倒小心 @tentousho 2017年11月28日
この流れでいうと、実は初音ミクではなく重音テトが近いんだろうと放映中ずっと考えていましたよ。初音ミクはおおむね「そのクリエイターの初音ミク」の大群体であって実は中身別存在だらけですし、起点となる物語を持っていたのはUTAUでさまざまに作られたいろんな子達だなあなどと考えていました。少なくとも人格を得るほどの集約された厚みを持つ存在というならばそっちだろうなあと
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月28日
初音ミクは一次創作側に物語が殆ど無い。重音テトは初音ミクのパロディ的なキャラだけど、その出自にリアルの物語、歴史がある。
丹治吉順 a.k.a. 朝P @tanji_y 2017年11月28日
まあいずれにしても、普通に著作権ぶん回せば潰せてしまうんですよね。夢も希望もないけれど。あと、二次創作で高い承認値を得たものは公式にうまく取り込んでいくという方策もありますし。
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月28日
初音ミクのスタートダッシュに公式デモ曲である01_balladeのイメージが貢献している部分があるので、一次側に物語が0だったとは言えないのだけれど、初音ミクの物語の本体は二次側にあり、クリプトンが一次創作として何かをやっても、二次側の物語に反すると承認されない。 そんな特殊な状態に近似するためにアルタイルの設定はややこしくなっていると思います。
yuki🌾4さい⚔ @yuki_obana 2017年11月28日
最大のタブーはOTONAによる承認力パワーじゃろ?(´・ω・`)とりあえずアルタイルさん総攻めからのリバな!ルイきゅんマジ天使だから総受けハーレムでおkじゃろ?承認力が足りないならさっさとルイきゅんだしまくって温泉街紀行番組シリーズで毎日やればよかったのよ!ハァハァ その点ではとてつもなくアニメ化するには都合の悪い設定を取りこまないという圧倒的ご都合主義があったのは間違いないわけで…。n次創作で新武器作ってるクラスタよりどうかんがえても脱がしてエッチなことさせてるほうが大きいじゃろ?
ねーぴあ@カクヨム @Napier_pi 2017年11月28日
yuki_obana 受け手側に悪意がないんですよね。面白がる力を感じない。
悪魔憑き @demonomania666 2017年11月28日
ミクとは関係ないんだけど、小林泰三の「本」という短編で、絶対的な芸術とは、鑑賞者もまた創作に駆られるものである筈だ、みたいな事が書いてあったなあ(作者の芸術論では無いと思うけど)
Vocal of FREE @vocalofree 2017年11月28日
アニメ見てないんだけど、ツイートとコメント読んだ上で勘で言わせてもらえば、アルタイルのありようは「艦これ」とか「刀剣乱舞」とか「アズールレーン」辺りの、歴史上の存在を題材にしたゲーム群の方が近いんでないかと思った。史実を「一次」とすれば、これらのゲーム群自体が「二次創作」的な存在として解釈できるから。
tubu8kiya @tubu8kiya 2017年11月28日
いわゆる「創作の連鎖が力を与える」という事で制作側は「アルタイル=初音ミク」を意識したのかもしれないけれど、アルタイルの成り立ちは「シロツメクサの二次創作キャラ」ということで、こちらの世界で言えば亞北ネル、弱音ハク、重音テトと言える存在なので「初音ミクよりネルハクテトが人気者になっている」という世界観がイマイチ理解出来ない。
yuki🌾4さい⚔ @yuki_obana 2017年11月28日
悪意というかエゴですかね。非常に多くの人が任意の男性に対してパートナー候補に女性を紹介するように私は私の常識的な目でルイきゅんをとりあえず腐らせなければ気がすまないでしょう。運営が情報統制しようが彼のNLを最初に承認できませんね。結局結末はシンプル&チープで、むしろ全ての創造主の言葉を代弁したかのような感情むき出しのアルタイルさんが観れます。"顧客が本当に必要だったもの"などと形容されますがそんなもんですよ。って嘲笑したい(´・ω・`)
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月29日
レクリエイターズの物語の軸として、セツナも主人公も一次創作に一直線に進めるタイプではなくファンから二次創作とジワジワと「何か作りたい」となっていくキャラでなければならなかったのでアルタイルは二次創作である必要があった。 でもって、アルタイルは初音ミク的な化け物でなければならなかった。
ありえない @tkr_nkn 2017年11月29日
アニメオススメされて頑張って見たけどチープさが合わずに半分くらいで切りました
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月29日
レクリエイターズに出てくるヒーロー達が「どこかで見たようなキャラ」であるのは、それぞれのヒーローの活躍する世界を描く時間が無かったというのもあるだろうけれども、物語の主軸は現世なので、そこからブレないためでもあると思う。
たかにそ @takaniso 2017年11月29日
コメント欄で持論を語るのは良いけど、それが皆に承認されなかったからこのアニメは流行らなかったんだよなぁ...
ねーぴあ@カクヨム @Napier_pi 2017年11月29日
mikumiku_aloha テーマからしてみればそうなるしかなかったのは分かっています。しかしだからこそ、このアニメはクリエイターの内輪受け狙いになってしまったのだと思います。特に、"コンテンツはおもちゃ"という二次創作における大きな派閥を切り捨てたのが受け手側のリアリティを大きく削っている。
catspeeder @catspeeder 2017年11月29日
Napier_pi 【クリエイターの内輪受け狙い】これな。残酷なくらいしっくりくる評価だわ。
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月29日
Napier_pi 「自分も創ってみたい」と感じたころのある層向けで、そういった意味では内輪ウケ狙いになっているかもしれないです。ワナビーも含めた弱いクリエイターと、プロとして成功する強いクリエイターの関係を描いているという点で今時っぽく、ワナビーや二次創作者の集まるニコニコ動画での放映があったら、もう少し話題になったかもと思うのです。
mikumiku_aloha @mikumiku_aloha 2017年11月29日
そこに応えは無い作品なのかもしれないですが、あの世界でおそらく一番のベテランクリエイターである松原は、職業としての技術はありながら特別な才能を感じさせないワナビーから手の届きそうな作家として描かれていますが、高良田や駿河は、一般人とは違う覚悟や才能のある人物に描かれていて、 プロのクリエイターをワナビーから手の届く存在として描いているのかそうでないのかが難しい。
闇鍋はにわ @livewire891 2017年11月30日
>手の届く存在としてして描いているのかそうでないのか プロのクリエイターも色々いるというだけでは?
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