Erotic Love ~ side S ~ 小夜子・中学三年/前半

【R18】 透と付き合うことになった小夜子。 夏休みになって家に透を小夜子は、別の意味でも透を誘う・・・ 続きを読む
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まとめ Erotic Love 〜 side S 〜 小夜子・中学二年 【R18】 手芸部に初めて入った男子部員。周囲の人たちに囃し立てられて、小夜子はその新入生が徐々に気になってゆく。 男主人公、透 視点の side T はこちら→ https://togetter.com/li/1100130 5024 pv 33

 

S-12. フェアリス

夢乃 @iamdreamers

透君に告白されて付き合うようになってから何度目のデートかな。まだ一ヶ月と少しだから、数えるほどだけれど。今日は少し遠出して県立の博物館と美術館、それに、それらのある公園を散策する予定。生憎の曇り空なのがちょっと残念。 #twnovels

2017-05-18 12:18:35
夢乃 @iamdreamers

天気予報では、雨もぱらつくと言っている。降らないといいけれど。今からそれを心配しても仕方がない。 シャワーを浴びた私は髪を乾かして後ろで一纏めにすると、顔にUVカットの乳液を叩き込んだ。そういえば、紫外線を気にするようになったのはいつからだろう。 #twnovels

2017-05-18 12:19:25
夢乃 @iamdreamers

去年の夏頃? 透君を意識し始めてから、かもしれない。 髪を留めたゴムを外してブラシをかけ、おさげに纏めようとして、ふと手を止める。たまには気分を変えてみるのもいいかな。縛らずに背中に流して左右を少しだけ纏めるツーサイドアップ。これにしよう。 #twnovels

2017-05-18 12:19:54
夢乃 @iamdreamers

脱衣所で下着を、二階の自分の部屋で予め選んでおいたブラウスとスカート、ソックスを身に付けて、透君から貰った髪留めで前髪を留める。大き目のショルダーバッグに折り畳み傘とスマートフォンとお財布を入れて、準備OK。あ、そうだ。どうせなら、眼鏡も外して行こうかな。 #twnovels

2017-05-18 12:20:20
夢乃 @iamdreamers

うーん、駅まではかけていた方がいいかも。眼鏡ケースも荷物に追加。 支度を終えて、九時十分に家を出た。この辺り、自動車の免許を持っている大人にはいいのだけれど、そうでないと交通の便が悪いのよね。近くまでバスが来てくれるといいのだけれど。 #twnovels

2017-05-18 12:20:52
夢乃 @iamdreamers

どの家庭もみんな車を持っているから、バス停は近くにはない。バス停まで歩くなら、そのまま駅まで歩いても少ししか変わらない。スカートで自転車も気がひけるし。どっちにしろ、今日は雨の心配もあるから自転車では行けないけれど。 #twnovels

2017-05-18 12:21:33

夢乃 @iamdreamers

待ち合わせ場所の駅には九時五十分に着いた。時間通り。眼鏡を外してバッグにしまう。透君、この格好でも気付いてくれるかな。などと考えると笑みがこぼれてしまう。 「お嬢さん、一人?」 幸せな気分に浸っていたから、それが自分にかけられた声とは気付かなかった。 #twnovels

2017-05-18 12:22:32
夢乃 @iamdreamers

いつの間にか、高校生くらいの男の人が二人、私の前に立っている。 「ねえ、一人なら、俺たちとお茶しない?」 え、これ、ナンパって奴? ちょっと怖い・・・ 「待ち合わせしてますから」 「すっぽかされたんじゃないの? 放っておいて俺たちと行こうよ」 #twnovels

2017-05-18 12:23:12
夢乃 @iamdreamers

「約束の時間までまだありますから」 断固として言っているつもりだけれど、声が震えてしまう。怖い。透君、助けてっ 「いいじゃん、俺たち、暇なんだよ。付き合ってよ」 その時、別の声がした。 「遅くなってごめん。この人たち、知り合い?」 透君! #twnovels

2017-05-18 12:23:39
夢乃 @iamdreamers

声のした方を向くと、そこには透君。眼鏡がなくてもはっきり判る。 「すみません、彼女、僕の連れなので。急ぐので失礼します」 そう言うと、透君は私の手首を掴んで急ぎ足に駅の中へ歩いて行った。私も引かれるままついて行く。あの人たちは追っては来ないみたい。良かった。 #twnovels

2017-05-18 12:24:24
夢乃 @iamdreamers

「遅くなってすみません。小夜子さん、大丈夫でした?」 「うん。でも驚いた。突然話しかけられて。はぁ、まだドキドキしてる。良かった。透君が来てくれて」 本当、良かった。透君、私が困っているところに来てくれるなんて、本当に頼りになる。私はやっと、笑顔を作れた。 #twnovels

2017-05-18 12:24:51
夢乃 @iamdreamers

「眼鏡、かけていなくて見えます?」 「ええ。裸眼でも0.6くらいはあるから、普通に生活する分には大丈夫。透君はかけてるのといないの、どっちが好き?」 「えっと、かけてない方が好みです。あと、髪も今日みたいな方が。どんな格好でも、小夜子さんは素敵ですけど」 #twnovels

2017-05-18 12:25:18
夢乃 @iamdreamers

「うふ。ありがと。すぐに判った?」 「勿論。小夜子さんなら、どんな格好してても、判りますよ」 「ありがと」 そう言って貰えるの、嬉しいなぁ。恥ずかしいけれど。私、今鏡を見たら真っ赤だろうな。透君の頬も、ちょっと赤い。 #twnovels

2017-05-18 12:25:43
夢乃 @iamdreamers

「もう、ホームに行きましょうか。電車の時間まで十分はあるけど」 「ええ」 私たちは切符を買って、ホームへ移動した。これからは髪型変えようかな、コンタクトレンズにもしようかな、なんてことを考えながら。 #twnovels

2017-05-18 12:26:13

夢乃 @iamdreamers

午前中に博物館の展示を見て回り、今はファミリーレストランでお昼御飯。ここは、広い公園の中に博物館や美術館があるから、盛況。広い芝生もあるから子供を遊ばせたり、犬を連れて来たりしている人もいる。 「小夜子さん、高校はもう決めたんですか?」 #twnovels

2017-05-18 12:26:58
夢乃 @iamdreamers

お昼御飯を食べながら、透君が聞いてきた。 「うん。フェアリス女学院」 お母さんとお姉ちゃんの通った学校。それを聞いた透君の顔が、ちょっと曇ったように見える。 「共学の学校にした方がいいかな・・・それなら透君も一緒のところに行けるし・・・」 #twnovels

2017-05-18 12:27:34
夢乃 @iamdreamers

私の言い方が不安そうに聞こえたのか、透君は慌てて手を振った。 「ううん、構わない。小夜子さんの行きたいところに行くのが一番いいと思う。それに、フェアリスなら学校で男に言い寄られる心配はないし」 良かった。笑顔に戻ってくれた。でも。 #twnovels

2017-05-18 12:28:09
夢乃 @iamdreamers

「私に言い寄る人なんていないと思うよ。そんなに綺麗じゃないもの」 「そんなこと言って。今朝のこともう忘れました?」 「あ、そんなこともあったね」 そういえば、今朝、私ってばナンパされていたんだっけ。透君といると他の人のことなんてどうでも良くなっちゃう。 #twnovels

2017-05-18 12:28:38
夢乃 @iamdreamers

「・・・あの時、透君が来てくれなかったら、どうなるかと思った」 「うん。僕ももっと早くに行けばよかった。遅れてごめん」 「ううん、私が早すぎたんだし。それに、透君、来てくれたもの」 本当、良かった。透君が来てくれて。ありがとう。 #twnovels

2017-05-18 12:28:58
夢乃 @iamdreamers

透君の顔が赤くなる。少しの沈黙。 「・・・そろそろ行こっか」 透君が言った。 「・・・うん」 私も、透君に合わせて席を立った。ファミリーレストランを出て、手を繋ぐ。幸せ。 #twnovels

2017-05-18 12:30:29

夢乃 @iamdreamers

結局、雨は降らなかった。透君は、今日も家まで送ってくれた。告白されて以来、ううん、去年の文化祭の前日に送ってくれて以来、デートの後は家まで送ってくれる。私も、一度透君に送って貰ったら不安も消えて、透君に甘えている。と言うより、できるだけ一緒にいたい。 #twnovels

2017-05-18 12:31:25
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