サイバーパンク短編

紅月れいじ/らげまん @5_purupuru

#サイバーパンク短編 学校の徒競走で突然おなかが痛くなって倒れた私は、目覚めた時には病院にいた。ママは泣いていて、パパはただじっと私を見ていた。ああ、これはもしかしてあれかな、と思った。私はたぶん、あの世に行く。

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#サイバーパンク短編 予兆はあった。友達に腕をつままれただけで痣になったし、鼻血が出たらなかなか止まらなかった。そもそも体が重いと感じていた。何かがおかしいと、なんとなく感じてはいたのだ。だからどうしろって話なのだが。

紅月れいじ/らげまん @5_purupuru

#サイバーパンク短編 そこからは、学校の教材で学んだ、恐怖を受け入れる過程のはじまりだった。倫理に関する教育は、歴史的には三周ほど議論されて今や煮詰まってる、らしい。要するに、命は尊いし、失われるのは恐ろしい。それをうんと教えられる。おかげで、今とても恐ろしい。

紅月れいじ/らげまん @5_purupuru

#サイバーパンク短編 転機は、意外と早くやってきた。倒れた日からたった半年。体重60％減、毛髪100％減した頃だ。医師も私ももうなにもする気力がなくなった時、病室に、私がやってきた。

紅月れいじ/らげまん @5_purupuru

#サイバーパンク短編 義体化。今や流行の過ぎ去った奇跡。けれど今は、私を救う奇跡。かつての全身義体化は、とてもお高くて、実行するまでにいろいろな壁があったらしい。でも今は、ほとんどの問題が解消されている。一番大きな経済的な壁がかなり低くなり、あとは本人の意志という絶壁。

紅月れいじ/らげまん @5_purupuru

#サイバーパンク短編 話自体は、倒れた日からあったんだ。だけど私が、受け入れられなかった。私に会うまでは。元気な体の私。筋力のない体で、倒れ込むように、私は私の義体を抱きしめた。私は、まだ生きていたい。生きていられる。