- ahiruchan_phi
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駆除班バンからはんちょ〜とシアが降り立つ。「セン、クロに連絡取れたか」「ダメです。これ、多分拠点にいませんね」「シアと二人か、死ねるな」「ピガッ!?」ノイズを発するシアを無視しながら、はんちょ〜は起き上がるアヒルゴミに散弾銃を向ける。「俺様が前、シアは後ろだ。行くぞ」
2017-12-09 19:37:22二人が交戦を開始する。久々の市街地での百合狩りだ。ビルの上層階から物珍しげに見つめる島民たち。「もういい加減、隠せないんじゃないですかねー。百合の存在」センが車窓から顔を出して呟く。「で、ボロボロのところ申し訳ありませんが、お姉さん?車の運転ってできます?」「……できますが」
2017-12-09 19:41:56「お姉さん、百合集める体質なんですよね?ここにワラワラ来られたら流石に捌き切れないので」「……わかりました、では私の隠れ家に向かいましょう。あの場所は比較的百合が現れにくいので」にょーふやは運転席に乗り込む。一瞬怪我の痛みに顔をしかめる。その顔はバックミラー越しにセンに届いた。
2017-12-09 19:45:37車が動き出す。「クスリ要ります?ちょっと……待って……ください、ね!」センは手首や肘を駆使して冷蔵庫を開き、注射器を一本取り出すと運転席に投げ込んだ。にょーふやはそれを片手で掴み取る。「中身は?麻薬の類ですか」「納豆パスタです」にょーふやは窓から注射器を投げ捨てた。「あー!?」
2017-12-09 19:48:57「頑張って取り出したのにー!」センが憤慨する。「効くわけないでしょう、むしろ何に効くんですかあれ」「万病に効くんですよー!私の手の痛みもだいぶ引いてきたんですからね!」にょーふやが溜息をつく。「隠れ家に着けば簡単な処置ならできますので、お構いなく」「うーん、隠れ家ねー」
2017-12-09 19:53:03センは包帯の巻かれた手を口元に寄せる。「聞かせてもらえたりしません?お姉さんが、のじるいに敵対する理由とか」にょーふやの眉が微かに動いた。「……聞いてどうするのですか」「取引ができるかもしれない、と思ったので」センは一転して、真剣な声色になった。「取引……どういう意味です」
2017-12-09 19:57:04エンジンの音がいやに大きく聞こえ始めた。「私が欲しいのは、貴女の力……いや、あのベルトの力です。データさえあれば、私はあれを複製できる」「私が得られるものは」「駆除班はのじるい製薬とコンタクトが取れます。内部情報も盗み取れないわけではない。……悪い提案ではありませんよね?」
2017-12-09 20:01:08バンは道無き山奥へと入る。「……ドクター・ウールという女を知っていますか」にょーふやの言葉にセンは口元を歪めた。「駆除班の直属の上司です。連絡が取れます」にょーふやも笑った。やや自虐的に。「私の人生は、彼女に歪まされました。私の目的は、彼女と、彼女の子供を全て殺すことです」
2017-12-09 20:05:09やがて車は止まった。草木で巧妙にカモフラージュされているが、よく見るとその奥には、何やら人口の施設があることがわかる。「……これって」「のじるいの廃棄した研究施設の一つです」にょーふやが車から降り、後部のドアを開いた。「そう、かつて、ここで生み出されたのです……第一の百合が」
2017-12-09 20:11:03のじるい製薬会議室。「ドクター・ウール……まるで話が違う!」ドクは重役の一人に詰め寄られていた。だが当の本人は面倒げに頭を掻いている。「ドク、でお願いできませんかねえ」「以前、貴女は例の感染性の細胞について言った!感染者からも理想個体が生まれうると!」「言いましたね、それが?」
2017-12-09 20:15:45「感染性細胞から理想の百合が生まれる確率など、ほぼゼロだと報告が上がっているが!」「そうらしいですね、残念です」「これだと駆除班のペースでは……ヒッ」ドクが片手を上げると重役は後ずさった。「まったく……データの一側面しか見ないのですね?無駄にお忙しいようで結構なことです」
2017-12-09 20:19:10