和文英訳の思考過程をことばにしてみよう

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uroak_miku @Uroak_Miku

1)「この服だと寒いかな」を「Will this warm enough?」(これは必要なぶんは暖かいかな)と瞬時に通訳するには日ごろから脳神経をこつこつ開発していないとできない。「enough」は中一、「will」は中二で習う基本英単語だけれどこの同時通訳ができるのは最上級者です。

2017-12-18 06:43:35

訂正・「Will this be warm enough?」でした。

uroak_miku @Uroak_Miku

2)「This is a pen.」から始まって「This is enough.」に進んで「This will be fine.」に進む…中学英語はこんな風に積み重ねでできている。けれども「この服だと寒いかな」を「Will this warm enough?」とさっといえるようにはならない。この謎を解くにはどうしたらいいか。

2017-12-18 06:46:08
uroak_miku @Uroak_Miku

3)「この服だと寒いかな」→「これは要るぶんは暖かくなるかな」と骨格改造するのは瞬時には無理。少なくとも学校英語の積み重ね式教授法ではこの飛躍が効かない。とするとどう教えたらいいのか。

2017-12-18 06:48:15
uroak_miku @Uroak_Miku

4)「いつもより早い電車に乗っちゃった」という、電車通学している子がいいそうなセリフをさっと英語でいえるかな?「I got an early train!」(早い電車のひとつに乗った)でいいんですよ。

2017-12-18 06:50:28
uroak_miku @Uroak_Miku

5)「スイカ切れかかってるからチャージしないと」とか「今日は晩御飯いらないから」とか、本当にごくありふれた会話でできた英語教科書を作れたら…現実にはお手上げ。「will」は中二だし「would」は高校で習うからカリキュラム上これらを同時にはデビューさせられないのです。

2017-12-18 06:53:00
uroak_miku @Uroak_Miku

6)「はしごは使い終わったら捨てねばならない」でしたっけラテン語にそういうことわざがあるとかなんとか…『薔薇の名前』でウィリアムスがそんなこといってた。教科書の英語はそういうものなのです。

2017-12-18 06:56:54
uroak_miku @Uroak_Miku

7)例の掛け算順序問題ですよ。中学にあがれば交換法則を教えるのOKになって、もはや掛け算順序のお作法なんてものはナンセンスとなる。とっとと忘れてしまいなさいな話になるの。 pic.twitter.com/1dCTTD844W

2017-12-18 07:04:38
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uroak_miku @Uroak_Miku

8)「When will you finish?」なら「いつ頃片付きそう?」だけれど「When are you going to finish?」だと「いつになったら片付くの?」と聞こえてしまう。この違いを学校英語ではうまく教えられない。

2017-12-18 07:21:07
uroak_miku @Uroak_Miku

9)「finish」は「片づける」ではなく「片付く」のニュアンスです。そこに「will」が重なるわけで、この「will」は主語の意欲のこともあれば話者による予言のこともあって、で「片付く」だからこの場合は話者目線になって「いつ頃片付きそう?」になります。

2017-12-18 07:23:51
uroak_miku @Uroak_Miku

10)「When are you going to finish?」だと「片付く」方向に向かってあんたちゃんとゴーイングしてるわけ?いつ片付くねと問い詰めているみたいに聞こえる。

2017-12-18 07:25:44
uroak_miku @Uroak_Miku

11)似たような文に「When are we going to leave here?」なんてのがあります。観光ツアーでガイドさんにこんな風に尋ねると「こんなとこさっさと出発したいよいつ出るの」と受けられるので「When will we be leaveing here?」(ここはいつ出ることになってますか)と訊くのがコツです。

2017-12-18 07:28:58
uroak_miku @Uroak_Miku

12)「will」と「be going to」と「will be ~ing」の使い分けとニュアンスの違いを教えるのは大変です。「We're going to die!」なら「この飛行機墜落してる俺らもうあかん!」ですが「We're dying.」だと「ああもう体が動かない目もうつろだこのまま死ぬんやな」になる。この違いは教えにくい。

2017-12-18 07:31:56
uroak_miku @Uroak_Miku

13)それで教科書でも試験問題でもそういう微妙なところには触れないよう英文が工夫される。機械的に和訳すれば済んでしまうようなインチキ英文が「親心」から用意される。

2017-12-18 07:33:48
uroak_miku @Uroak_Miku

14)「will be ~ing」は高校で習う。そのため「will」や「be going to」と比較してそれぞれの役割の違いを教えようがない。やっかいです実に。

2017-12-18 07:35:34
uroak_miku @Uroak_Miku

15)先ほど「親心」と述べましたが、本当は教える側もわかんないんですよ。それで「親心」と称して避けるわけですこのあたりのニュアンスの違いについては。

2017-12-18 07:37:00
uroak_miku @Uroak_Miku

16)和文英訳するときの自分の頭のなかをメタ観察するに、たぶんこんな風になってる。①和文を眺める、②そのまま英語に置きかえる、③英語の頭でそれを再読する、④なんだか不自然だなーと思う、⑤和文に戻る、⑥ああそうかここは和文と違う風にことばにすればいいんだと気づく、以下数回リフレイン

2017-12-18 08:00:30
uroak_miku @Uroak_Miku

17)例えばこれ。「この部屋にはなかったし、一番可能性が高いのは…」 彼女は日記帳を探している。記憶をなくす前の自分のことが知りたくて日記がどこかにあるはずだと考え、書斎ならあるんじゃないかと思う。 pic.twitter.com/wAOtlO8tEa

2017-12-18 08:06:24
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uroak_miku @Uroak_Miku

18)「一番可能性が高いのは…」を「The most possble place for my diary to be found is...」と一度英訳して、原文は棚に置いてこの英文オンリーで眺めると不自然に感じるわけです。「The most likely place ~」でもなんかおかしいし。

2017-12-18 08:10:34
uroak_miku @Uroak_Miku

19)「The most likely place ~」がどうして却下かというと、これは「何かが起きてくれそうな場所」だから「日記が隠されている可能性が高い場所」とはいえないわけです。

2017-12-18 08:12:19
uroak_miku @Uroak_Miku

20)そこで「可能性が高い」を大胆にアレンジして「他は探したし残る場所は」と読みかえて「The last unsearched place is...」(捜索されていない最後の場所としては)と英訳。

2017-12-18 08:14:45
uroak_miku @Uroak_Miku

21)「ミニ図書館並みの蔵書を誇る書斎!」 これは「my study! It must be somewhere in the huge private library.」で十分。これなら英文としてもごく自然。「私の書斎!この巨大な個人用図書室のどこかにあるに違いない」 pic.twitter.com/BWjwvHI2xR

2017-12-18 08:22:10
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uroak_miku @Uroak_Miku

22)「ミニ図書館並みの蔵書を誇る」を「It has as many books as little libraries.」と英語におきかえて再読すると「小さな図書館と同じくらい本がある」になって何か変。「小さな図書館」とはそもそも何か?ここでもうつまずいてしまう。

2017-12-18 08:25:03
uroak_miku @Uroak_Miku

23)そこで「巨大な個人用図書館」と読みかえて「the huge private library」とする。それから「書斎にあるはず」ではなく「この巨大な個人用図書室のどこかにあるはず」と読みかえて「It must be somewhere in the huge private library.」と英訳を改めて…

2017-12-18 08:27:47
uroak_miku @Uroak_Miku

24)「My diary was not found in my bedroom. But I hadn't searched my study. It must be somewhere in the huge private library.」(日記は寝室にはなかった。ただ書斎はまだ調べてなかった。この巨大な個人用図書室のどこかにきっとある) pic.twitter.com/BJGPQ3FS0d

2017-12-18 08:36:09
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