とししたのかれ（大倉）

うさぎ🐰ときどき妄想してました @eitars_h

1 ふう… やっと納品書の確認が終わった 我慢解禁 シガーケースを持って従業員通路に向かった あ…また 隣のショップの店長──背が高くて所謂イケメンの大倉くんが若くて可愛らしい店員さんと楽しそうに話していた #とししたのかれ

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2 ｢…お疲れ様です｣ 挨拶は社会の常識 会釈して隔離された喫煙ルームにはいると、タバコに火をつけ深く吸い込んだ 『お疲れ様〜す』 ｢……相変わらずモテモテねぇ｣ 『そーなんすよ。なんもしてへんのになあ』 ライダースのポケットを探る彼 #とししたのかれ

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3 なんもだって なんも？あんだけ愛想振りまいといて？ よく言う。苦笑 あ、わかってるのか。確信犯か。 『あの、タバコ切らしちゃって。1本くれへん？』 空き箱を両手で捻りゴミ箱へ捨てると、大倉くんがずいっと寄ってきた この子の距離感苦手 #とししたのかれ

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4 1歩下がるとタバコを箱ごと差し出すと、ふと目に入るガラスの向こうに彼を見つめる女の子… ほんと、罪作りな奴 『あざーす。……んで、そっちは最近どっすか？』 タバコを口に咥えながら器用に喋る そういうのもセクシーだなって気づいてるんだろうか #とししたのかれ

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5 ｢ぼちぼちでんな？｣ 『ぶっwそれを言うなら、もうかってまっか？ぼちぼちでんなぁ。やろ』 ｢……どうだっていいじゃない//｣ 『あー、つっかれたぁ』 ベンチにドサッと腰を落とすと足を投げ出した ｢忙しいそうだもんね｣ 女の子とお喋りするので #とししたのかれ

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6 『まあまあ忙しいで。あれよ、よく言う…貧乏暇なし？』 ｢ま、暇なよりはいいんじゃない？｣ 1本吸い終えて、換気扇の付いている灰皿に吸殻をねじ込んだ ｢さて、残りの作業やっつけてこなくちゃ｣ 私がそう言うと彼も立ち上がった #とししたのかれ

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7 ｢俺も戻ろっ｣ え、一緒に？ 立ち上がってポケットに手を突っ込んで、だるそうに踏み出して 『行かへんの？』 振り返るその顔に目眩がした 彼は私よりかなり歳下 好きになるなんてバカバカしい ｢行くわよ｣ 彼を追い越したつもりが隣に並ばれて #とししたのかれ

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8 『意識してるやろ』 ──は……今のどういう意味？ 『ミキさん俺のどストライクやねん』 え？ 思わず立ち止まり彼を睨みつけた そんな私に彼はズイっと顔を寄せる 『ずっと片想いしててん』 だ…だとしても！ 何で今それを言う？ #とししたのかれ

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9 ｢……大倉くん…顔近い。あと、人ををからかわないで｣ 押し返すために胸にあてた手を掴まれた 『…言われると思った』 ほら、やっぱりからかってるんじゃん。ナマイキな！ ｢離して｣ そう言うとすんなり離した彼に拍子抜け 少し身構えたのに #とししたのかれ

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10 期待した自分が嫌だった 『ええよ。苦笑。最初から伝わるなんて思ってへんしぃ？』 な…// 見下ろされると変な気持ちになる こんなおばさんのどこがいいんだろ。若くて可愛い子なら周りに沢山いるのに あ、あれか。箸休め的な？……ってやめよ、虚しいから #とししたのかれ

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11 『その気になったらいつでも言うてな』 ｢…ならないしいいません！｣ 『やけど、ほかのオトコで手を打つとかはやめてな』 ｢だからっ、｣ え…なに？ 唇に一瞬だけ… 『───約束』 触れた彼の唇は 次の瞬間には意地悪く歪んで 憎らしい笑を作った #とししたのかれ

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12 [店長、店長！隣の店長さんといい感じですね！] 途中まで大倉くんと2人で戻ると目ざとくお店のスタッフの子に見られて、早速尋問にあった いい感じってなに？ [もしかしてぇ…付き合ってるんですかぁ？] 羨むような目 …付き合ってる？ #とししたのかれ

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13 さっき告白のようなものはされたけど… っは… ｢ないないない！そんなことあるわけない！見てたらわかるじゃん！大倉くんは若くて可愛い子が好きなんだよ｣ ほら、店の入口でもうお客の女の子捕まえて愛想振りまいてるじゃん #とししたのかれ

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14 無意識に睨んでたのかもしれない ふいに彼がこちらを見て、視線を捉えられた …なんなのよ 睨みながらついつい さっき触れた唇に手が動く 人差し指を握りこんで咳を堪えるみたいに誤魔化した 大倉くんはそれを見て、目を丸くして肩を竦めた #とししたのかれ

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15 認めたくはない 傷つきたくないし うまくいくわけがない だから 見てるだけでいい そうだよ ───わたしは 大倉忠義が好き… “でも だけど…” 昔からの口癖 自分が傷つかない安全なラインの内側で今まで生きてきた これからもそれでいい #とししたのかれ

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16 彼から視線を逸らしてバックルームへ戻る なんとなくLINEを確認すると 《未來さん明日の予定は？》 と変なオッサンのスタンプ 一瞬笑いそうになるんだけど同時にため息 悪い人ではないんだけどなあ… 〈明日は17時上がりです〉 そう返信した #とししたのかれ

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17 すぐに既読にならなかったところをみると仕事の合間か… ふ〜む… ガツガツはしてないし 適度に大人のオトコだし（まだよく知らないけど） 大倉くんは私がフリーだと思ってるようだけど実は… ｢いるんだよねぇ…｣ 呟きと同時にため息が出た #とししたのかれ

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18 親のゴリ押しで仕方なくしたお見合いだった 初めて会った彼は写真のクールさに相反してガッチガチに緊張してて ｢ふ…ふふ。笑｣ 思い出し笑いにハッとして周りを見渡した よかった誰もいない 私と同い年の彼は初めましての時俯いた顔を気力であげて。笑 #とししたのかれ

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19 目が合うとすぐまた逸らして…でも顔は必死にあげたまま 私はといえば 彼のその想像以上の美貌にもったいないなって考えてて 聞いちゃったもんね つい ｢本当にお付き合いされてる人はいないんですか？｣ って もしくはあっち系の人？← なんて思ったり #とししたのかれ

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20 介添人がいた時はまだよかったけど 2人きりにされると彼はシュガーポットとお見合いでもしてるの？ってくらいテーブルの上のそれを見つめて、ようやく口を開いたかと思ったら 《コーヒーに砂糖はいれますか？》 って ｢あ、はい…｣ と言うしかなかった私 #とししたのかれ

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21 《…どのくらいいれます？》 ？…いれてくれようとしてくれてるのかな？ さっき給仕されたばかりの湯気のたつコーヒーカップ… ｢…2杯…ですかね、あ、場合によっては3いく時も…｣ 《そんなに？》 驚きつつ小さなスプーンで砂糖を掬う #とししたのかれ

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23 指長いな…爪も綺麗… つい見蕩れていると 《ボクは甘いのはあんまり…》 ん？ ｢え？｣ 《あ”！》 甘いのが苦手と言うそのそばで彼は自分のカップに砂糖を2杯… あーあ…苦笑 《ぁ…きょ、今日は甘いもん飲みたい気分でっ》 #とししたのかれ

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24 ｢そんな日もありますよね。でも、よかったら取り替えましょうか？｣ 私はまだ口をつけていない自分のカップをさして言った 《あ、や…》 彼は自分のカップと私のを交互に見比べて、結局砂糖の入った方に口をつけた その時の顔。笑 #とししたのかれ

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25 その一連の状況を思い出すと何度も笑える気がする 素敵な人だと思ったんだ うん…思いがけす先方もよければ友達からと（その言い方の彼らしさ。笑）申し出があって だからまずは友達からとたまにご飯を食べに行ったりしてて… ───でも #とししたのかれ

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26 なんでだろう こうやってここにくるとアイツの姿探しちゃうのは… フロアに出ようした時LINEが鳴った 《よかった。旨い酒飲めるとこみつけたのでよかったらどうですか？》 そしてまた変なオッサンのスタンプ …流行りなのかな？ #とししたのかれ