蓬莱学園は現在に蘇りうるのか —— ARGとPBMを比較して

まだインターネットのない1990年に、数千人規模の参加者で1年がかりで行われたインタラクティブではちゃめちゃな物語「蓬莱学園の冒険!」 電ファミニコゲーマーさんの素晴らしい記事に触発されて、とりとめもなく書き綴った連ツイートのまとめです。
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電ファミニコゲーマー @denfaminicogame

【ゲームの企画書】リアルを舞台に数千人規模でゲーム…そんなのは約30年前に存在した! 「蓬萊学園」狂気の1年を今こそ語りあおう【新城カズマ×齊藤陽介×中津宗一郎 】 news.denfaminicogamer.jp/projectbook/17… #hourai2020 pic.twitter.com/842NKBLlWq

2017-12-30 12:29:23
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えぴくす @epi_x

蓬莱90の1年間をしっかり1頁にまとめているのも、記録的な意味でとても価値があります。これまで総集編を持っていないと後追いできなかった情報が、きちんとまとまっていて感激しました。

2017-12-30 13:26:52
えぴくす @epi_x

要所要所で述べられている論点もとても刺激的で、これをネタに誰かと語り合いたいですねー。Twitter座談会を勝手に開けばいいのかしらん。

2017-12-30 13:28:00
えぴくす @epi_x

蓬莱学園の記事の中で、新城カズマさん @SinjowKazma が、三宅さん @miyayou の「人工知能のための哲学塾」に刺激を受けていらっしゃるという下りがあるのですが、三宅さんも物語の自動生成には興味があるはずなので、お二人で対談する企画をどこか立ててくださらないものか……

2017-12-30 13:56:46
えぴくす @epi_x

私はPBMに参加できたのは蓬莱学園FC解散後の98〜00年の「蓬莱学園の黄昏」という後発組ですが、それでも蓬莱学園は私の原体験として、体験型娯楽への強い興味の源泉となっています。 ARG(代替現実ゲーム)は、大人数でのわちゃわちゃ感という点で、蓬莱と相通じるものがあるんですよね。

2017-12-30 15:57:40
えぴくす @epi_x

蓬莱90とARGが本質的に近しい物であるならば、蓬莱学園を現在に再現できるか、という話は、そのまま、ARGを現在の日本で実施できるか、という話に重なるわけで。その点でも、今回の記事はとても刺激的でした。 近年のARG事例も踏まえつつ、思ったことを書き殴っていこうかと思います。 #SIGARG

2017-12-30 16:11:41
えぴくす @epi_x

ARG(代替現実ゲーム)は定義が広いのですが、これから書く範囲では、「同じ物語世界を大人数で共有しながら探求していくインタクティブストーリーテリング」という側面を切り出して論じるつもりです。 #SIGARG

2017-12-30 16:19:51
えぴくす @epi_x

今回の記事は、新城さんが蓬莱を語るだけでも素晴らしいのに、さらにスクエニの齊藤さんを呼んでいるのが神がかっています。蓬莱学園の熱狂を理解した上で、ドラクエXという現役ど真ん中のMMORPGのプロデューサとしての視点での発言が、とても示唆に富んでいるわけです。 #SIGARG

2017-12-30 16:27:30
えぴくす @epi_x

齊藤さんが記事中で、蓬莱学園を今行う上での制約として挙げているポイントは大きく2つあります(詳細は記事を参照)。まずは、ユーザの規模の限界の問題。コミュニティの濃さの問題と、GMがきちんと手厚く観れるか、という観点で1000人〜2000人程度、という数字を挙げています。 #SIGARG

2017-12-30 16:48:45
えぴくす @epi_x

もう一つの指摘のポイントは、インターネットが全てを「ぶち壊し」にする、という点。PBMは、プレイヤー毎に断片化された情報を集めていく過程で混ざるノイズやダイナミズムを楽しむという側面が大きかったが、現在ではネットを使って1日で正解が出てしまう、という指摘です。 #SIGARG

2017-12-30 16:51:50
えぴくす @epi_x

まず、人数の問題。これは、どのように参加をデザインするのかに大きく依存します。例えば、初期のリアル脱出ゲームやオンタイム形式の推理イベントのように、リアルに同じ場所で密度の濃い体験をさせるならば、30人程度が上限。一方で、最大規模のARGでは参加者1000万人の事例もあります。 #SIGARG

2017-12-30 17:35:50
えぴくす @epi_x

添付の画像はARG制作の老舗42Entertainmentの資料から持ってきたものですが、大規模ARGを設計する場合は、ユーザの参加のレベルを複数に分けて考えます。より熱心に参加するユーザが生み出す熱を、ただ見ているだけでも楽しめる、という設計です。 #SIGARG pic.twitter.com/5JM9ARTPWp

2017-12-30 17:35:50
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えぴくす @epi_x

この参加者ピラミッドは、実はPBMでも近しいことはあったはずです。今回の記事にも、フリーアクションの成功率は1〜2割で、蓬莱タイムズに名前が載るレベルの物は1%程度だった、と書かれていますが、そもそもFAを送らずにアクティブに変化していく物語世界を楽しんでいた層も居たはずです。 #SIGARG

2017-12-30 17:35:50
えぴくす @epi_x

全員が物語世界に深いインタラクションができる/しなければならないゲーム構成では、ハンドリングできる人数に上限が来ますし、参加側の敷居も上がってしまいますので、いかにこうしたピラミッドを設計できるかが、規模を考える上ではキモとなるでしょう。 #SIGARG

2017-12-30 17:35:51
えぴくす @epi_x

ただ、前提の違いとして、一般的なARGでは個々の参加者の物語にはあまり重点を置かないのに対して、PBMは個々の参加者の物語を丁寧にフォローした上で、個人の物語を束ねたところに世界の物語がある、という差異はあります。ここは深掘りする価値のあるポイントかもしれません。 #SIGARG

2017-12-30 17:35:51
えぴくす @epi_x

次に、インターネットによって情報がすぐに集まるようになってしまう、という指摘ですが、これは確かに重要な問題です。ただ、実は情報設計次第でなんとでもなるポイントでもあります。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:23
えぴくす @epi_x

ARGの特徴の一つに「考古学的ストーリーテリング」があります。物語世界の情報を断片的に世界にばらまき、その断片を集めることで、ストーリーの全体像が分かっていく、という構成のことです。ARGはインターネットを前提とした娯楽ですが、情報集約される前提でこうした設計を行います。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:24
えぴくす @epi_x

ただ、これをやり過ぎると、情報集約先のまとめWikiを熱心に追わないと物語の現状が分からないことになり、人を選ぶ遊びになってしまいます。そうして、前述のユーザ規模の問題にぶち当たることになりますので、バランスが難しいですね。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:24
えぴくす @epi_x

ARGについての言及も豊富な『のめりこませる技術——誰が物語を操るのか』では、表層だけを楽しむこともできるが、深掘りするといくらでも深く掘れていく、という世界構築について語られていますが、こうしたライトにもディープにも楽しめる、というバランス感覚が重要となります。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:24
えぴくす @epi_x

なお、インターネットはネガティブな効果だけではありません。逆に、その1日で情報が集まってしまう、という力を使って、プレイヤーに強い盛り上がりを作ることが可能になります。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:25
えぴくす @epi_x

例えば、3D小説「bell」という参加型のWeb小説では、ある週末に全国5箇所の現地探索のミッションが出て、最後の現地では実際にマンションの一室を参加者たちが探索する様子が生放送で共有されましたが、そのリアルタイムの進展に大いに盛り上がりました。これはネットならではの同時性です。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:25
えぴくす @epi_x

インターネットにより情報の消尽が早くなっていることは間違いないですが、それを折り込んだ上での情報設計を適切に行うことが重要です。ただ、大きなイベントが無い時間をどう参加者に過ごしてもらうかはとても難しい問題で、正解は無い状況かと思います。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:25
えぴくす @epi_x

参考までに、イベントの間を持たせる一つの方法として、UGC(ユーザ生成コンテンツ)で参加者内で盛り上がりを維持するという方向性はあり、実際にそちらに振った「メカクシ団ウォッチャーズ」という国内ARG事例もあります。 #SIGARG

2017-12-30 18:30:26
えぴくす @epi_x

このインタビュー内で、新城さんと齊藤さんの意見が食い違っているポイントで、AIでプレイヤーに返すリアクション(行動結果を示す小説)を作れるか、という論点が面白いですね。できると主張する新城さんと、それでは面白くないと主張する齊藤さん。 #SIGARG

2017-12-30 18:59:14
えぴくす @epi_x

従来のPBMのリアクションのようなきちんとした小説を想定するとだいぶん難しそうに感じますが、新城さんは「物語」をAIが作る、としか言及していないんですよね。「物語」のフォーマットを小説に限定しなければ、もしかすると何か出来ることがあるのかも?などと考え始めるとわくわくします。 #SIGARG

2017-12-30 18:59:14