尾行癖あり、注意されたし。

よつげ @Eight_os

尾行癖あり、注意されたし。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/nupGQ7nyyL

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１ 「お疲れ様でしたー」 いつものようにちょっとだけ残業して退社。 LINEを見るといつもの通りの連絡。 『終わったー？』 『お疲れ様♡』 『いつものところで待ってる♡』 ハート乱用のこのLINEの相手は 一応、私の彼氏です。 付き合って…まだ、３ヶ月になるかならないか。 #エイトで妄想

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２ でも既に同棲中。 というか付き合い始めて１週間くらいで同棲が始まった。 まあ周りからすれば異常だろう。 だから絶対他人には言えない。 見た目だけならかっこいいし、自慢したいのは山々だけどね。 いつもの通り、その姿が会社のフロントの辺りに見える。 #エイトで妄想

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３ 私を見つけると真顔は一気にぱあぁ…っ！と明るくなりとことこと駆けてきた。 「さーりちゃんっ♡」 からの熱烈なハグ。 （※会社のフロント） 「ちょ、ここ会社！他の人に見られる！」 「ええやん見られてもー、見せびらかしたろうや♪」 そう言って楽しそうに笑う。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/cHjRHQtUED

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４ 彼と知り合ったのは１年くらい前だろうか。 彼の会社と私の会社の取引でだった。 まず彼の奇妙だったことは 『あのっ、よかったらこの後…いやっ、今度でもええですけど…お食事とか！どうですか？ あっ、今日は無理…あ、じゃあ、連絡先だけでも！』 #エイトで妄想

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５ 仕事が終わって秒の猛アピール。 勢いに押されてLINEを教えてしまったのが運の尽き。 それから先しつこく食事のお誘いが来て。 《今日どうですか？》 《ええ店あるんですよー！》 《今日は！？((o(｡>ω<｡)o))》 『無理だわ！』 何度携帯を投げたくなったことか。← #エイトで妄想

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６ 流石にずっと誤魔化し続けるわけにもいかないのである程度のタイミングで食事をオッケーすると あろうことかその１回目の食事で『付き合ってください！』といきなり告白。 いや、まあ、私が先延ばしにしたせいでもあるが。 とりあえず即断った。 けど彼はそこで終わらなかった。 #エイトで妄想

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７ 何かと理由をつけては会社に来るようになり 食事の誘いも全く止むことがなかった（もちろんもう受けなかったけど）。 ある日仕事が終わったら会社前にいたのだ、あれは怖かった。 たまーにプレゼントも持ってきた。 それはまるで私の私生活を見たかのように私の好きな品だった。 #エイトで妄想

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８ 概算して９ヶ月、私は彼のアプローチを避け続けたが、 流石に根負けした。 元々彼は見た目だけ見れば女性に人気のある甘い顔立ち。 いや、塩顔と言った方がいいのか。 性格も優しいと定評がある。 そんな人に告白されて困ってるとか言ってみろ 世間様からひんしゅくの嵐だ。 #エイトで妄想

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９ まあそういう訳で、私は彼の告白をついにOKした。 あの時の彼の嬉しさに蕩けそうな泣きそうな顔は忘れられない。 付き合い始めてからは彼のしつこさは『過保護』という方面に動き始めたのか まだ１ヶ月も経ってないというのに同棲を持ちかけてきた。 #エイトで妄想

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１０ その頃にはだいぶ彼の言動にも慣れてはいたので、まあしょうがないかという気持ちで渋々OKした。（それにもだいぶ時間はかかったけど） …でも。たぶん。 あの時から 予感はしていたんだ。 #エイトで妄想

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１１ ある日のことだった。 私がお風呂から出てきて 彼は入れ違いにお風呂に入ったんだけど 『…あ』 パソコンがつけっぱなし。 『もう、隆ちゃん…』 電源を切ろうと何気なく画面を見た。 その画面にあったのは 『…何これ』 私たちの住んでる部屋。 靴を揃えた玄関。 #エイトで妄想

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１１ 二本並んだ歯ブラシ。 台所に立つ私。 くもりガラスのドア越しに見えるお風呂。 部屋の隅で仕事をしている私。 私の寝顔。 『って、私の写真多いな…』 いつの間に撮ってたんだろ。 それだけならまだ『微笑ましいなぁ』で済んだかもしれない。 #エイトで妄想

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１２ 次の写真を見て、笑顔が消えた。 表札、だった。 私が、前に住んでた家の。 『…なんで？』 家の周りの建物や、道路の写真もたくさん。 でも。 ━━私は、彼に家を教えてもいないし、連れていったこともない。 どうして彼が、この写真を。 更にスクロールしていくと #エイトで妄想

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１３ もっと決定的な物が映っていた。 私が、会社を出る時の写真。 いや、それ自体はまあ良しとしよう。 この写真の私の髪型が…今と違う。 この髪型してたのって、確か… 震える手で写真をクリック。 …やっぱり。 この写真が撮られたのは、 私たちが出会う、半年前だ。 #エイトで妄想

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１４ 『お風呂上がったでー』 風呂から戻ってきた彼に写真のことを聞かないのは無理だった。 『…ねぇ、隆ちゃん？』 彼は私と、その背後に開かれているパソコンを見て 『…あぁ』 それまで聞いたことのない低い声で答えた。 『写真のこと？』 それはむしろ開き直ったようで。 #エイトで妄想

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１５ いや、というよりはむしろ予期してかかったかのように平然としていて。 その態度に私は一瞬戸惑う。 重ねるように彼は 『別にええやん？ 紗莉のことずっと見守ってたいって思うねんもん』 『だからって…』 それに、そうだ。 『私と初めて会う前から…』 #エイトで妄想

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１６ すると彼は初めてそこで俯き 『それについては…申し訳ないと思ってるけど、撮ったのは俺ちゃうよ』 でも、じゃあ何で 『それを撮ったのは… 俺が頼んだ人。』 もしかして… 『探偵？』 『やってぇ、一目惚れしてもうてんもん笑』 …この人は。 一気に彼が恐ろしくなる。 #エイトで妄想

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１７ 『…別れたい？』 彼が私の心を読んだようにそう聞いた。 『ええよ、別れても』 意外にあっさりした返事に顔を上げた 次の言葉に戦慄する。 『その代わり もうこの部屋からは出せへんけど』 #エイトで妄想 pic.twitter.com/KaS9RM4Hih

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１８ それから彼は私を部屋から出さず 昼夜問わず抱き続けた。 そんな風に好き勝手にするくせに 私を抱く時は必ず避妊を忘れない。 その優しさのようなものが、どうしようもなく切なかった。 まあその日々も私がちゃんと謝って別れないと言ったことで三日くらいで終わったけど。 #エイトで妄想

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１９ 謝ってなかったらたぶん今も続いていた。 でもそれに対して、怖いとかいうより、彼にそんな思いをさせてしまったのが申し訳ないと思ってしまうあたり 私も相当彼に惚れてるんだと思う。 そして監禁は解けたものの彼は毎日私を迎えに来るようになった。 本人曰く男避け。 #エイトで妄想

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２０ ちょっとうざったいけど、毎度のこと私を見つけた途端変化するあの表情を毎日見れるのは楽しい。 人前でのハグはやめて欲しいけど。← さて。 その迎えの後一緒に買い物に行くのも恒例行事。 「今日晩御飯何ー？」 「んー、トンカツ？」 「へー、明日なんかあるん？」 #エイトで妄想

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２１ 「へ？」 「紗莉がトンカツ作るのって大抵大きな行事の前やん？」 …彼は何でも知っている。私のことなら。 「あたり。 明日大きい取引の話し合いなんだ」 「おっ、頑張れー♡」 そう言い、カートを押す私の後ろからカートを一緒に押すふりをしてさり気なく抱きつこうとする。 #エイトで妄想

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２２ その手を私はパシッと叩く。 「人前ではやめなさいって言ってるでしょ」 「はーい…」 束縛やら監禁やら尾行やらをしてくるくせにこういう時は意外にしゅんとなるので可愛らしい。 大きな取引でトンカツを作るのもちょっと理由がある。 一緒に取引に応じるパートナー。 #エイトで妄想

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２３ それが私の上司、兼元カレの村上さんなのだ。 村上さんとは順風満帆にいっていたが、他ならぬ隆ちゃんのせいで別れた。 隆ちゃんも彼の存在くらいは知ってる。正直煙たがってた。 だから 一日の出来事逐一報告と言われても 彼がパートナーだとは絶対言えない。 絶対に…。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/5j4eYzr8pp

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