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異世界小話~異世界の田舎でがんばる農協が、冒険者とかがウェイウェイしてる都会にガチギレする話~

なろうは異世界小説が英国紳士となり、世界を滅ぼす陰謀に対抗するスパイアクションと化した。マナーメイクスマン。だからTwitterでやるお!!
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帽子男 @alkali_acid

異世界の田舎でがんばってる農協が、冒険者とかのウェイウェイしてる都会にガチギレする話

2018-01-06 20:51:50
帽子男 @alkali_acid

農協は激怒した。かならず、かの 邪智暴虐の都会のクソどもを除かなければならぬと決意した。 農協には都会のことがよく分からぬ。農産物の栽培方針をまとめ、出荷を管理し、肥料とか耕作用の家畜とかを共同調達したりしてきた。 最近はブランド農産物づくりに力を入れている。

2018-01-06 20:54:44
帽子男 @alkali_acid

それだけに都会でブランド農産品のコピーが出回ることにはひと一倍敏感であった。 「まじありえない」 組合長は怒っていた。 「え?わしらがまじ土地作りからがんばってこんな…幾多の病害にも耐え、収穫がようやく上向いてきた作物をよ?複製とかどういうこと?」 「わかりません」 「ありえない…」

2018-01-06 20:58:23
帽子男 @alkali_acid

この農協が作り上げたブランド農産物は清気仙という。球根植物であり、花はぱっとしないが、部屋においておくと埃を吸いつけ、カビや瘴気を殺してかぐわしい山の大気のごとく変える。 村出身の若者がかつて冒険者となり、迷宮から持ち帰った株から育てたのである。

2018-01-06 21:03:55
帽子男 @alkali_acid

迷宮のある街の、特に清潔を好む色町で飛ぶように売れ、そこの客が気に入って、口コミで金持ちのあいだに広まり、今日では門閥や豪商のあいだで大流行である。 厠花や沐浴草と並んで、今日では三種の神器みたいな扱いであるが、なにぶん育てるのが難しく、また丹精しても数年で枯れるため希少品。

2018-01-06 21:06:09
帽子男 @alkali_acid

農協が周辺の土豪や僧院の荘園に抗して独立を保ち、荒地に版図を広げていけるのも、ひとえにこのブランド農産物の上げる莫大な収益があればこそである。 「東平の農協や、蹄丘の農協にだしぬかれたというならまあいい。分かる。互いの技を取引してるししょうがない…」

2018-01-06 21:08:36
帽子男 @alkali_acid

「だが土とかさわったこともねえような都会のクソどもにどうやってか複製されるのは絶対に許せん…」 「さっきから複製って言ってますが」 「わしらが売りに出した清気仙にひとかぶひとかぶ、根喰い虫を這わせて区別の印をつけているのは知っておるじゃろうが」 「はあ…」 「それがな」

2018-01-06 21:11:00
帽子男 @alkali_acid

「そいつを確かめて取引するようにしとるがのう…最近市場に出たやつは同じ区別の模様が入っとった。根喰い虫が草木の根に刻む模様は一つとして同じではないというのに」 「つまり?」 「迷宮じゃよ!!都会のクソどもが迷宮のこざかしい財宝いう訳の分からん何かの不思議な力で!やったんじゃ!」

2018-01-06 21:13:02
帽子男 @alkali_acid

「都会のやつらはのお!あの迷宮とかいうとんでもないヘンテコなところから冒険者とかいうヘンテコな連中が掘って来る、なんだかわけのわからん財宝とかいうものを使って、意味わかんねーことをやりまくっとるんじゃ!許せんのお!わしらが田舎で真面目に畑耕してるときに!」 「でも…」

2018-01-06 21:14:13
帽子男 @alkali_acid

「我々の清気仙ももともとは、冒険者だった初代農協組合長が、迷宮から持って帰ってきたものですし…そもそも農協ができたこと自体、組合長が迷宮から持ってきたよく分からない武器とかで一揆に勝ったおかげでは?」 「わーかっとるわ。わかっとる…わかっとるねんで?」

2018-01-06 21:16:04
帽子男 @alkali_acid

「わしら馬鹿な田舎の人間は、都会から生まれるなんだかわからんすごいもんのおかげで生活が成り立ってるから感謝しろっちゅうじゃろ。はいはいおっしゃる通り。農協の領土には掘っても財宝が出る穴なんぞないもんのー」

2018-01-06 21:17:51
帽子男 @alkali_acid

「若者がどんどん迷宮のある街に吸われても、街の方から意味の解らん新たな病害や虫害が広がっても、感謝しろっちゅーんじゃろ。都会のクソどもに!かーっぺっ、お断りじゃっちゅーの!!」 「はあ…」 「とにかく!わしらの命綱である清気仙を複製した下手人を見つけるんじゃ!」

2018-01-06 21:19:25
帽子男 @alkali_acid

「そんで農協の恐ろしさを思い知らせてやれ!!」 「農協の恐ろしさ…?逆らったやつの作物を市場に出させないとか、耕作用の家畜を借りさせないとか?都会の人には通じないかと…」 「ばかもん!わしらが土豪どもを追い出して領地を作ったときのように、鎌と鎚の威力を見せるんじゃよ!」 「はぁ…」

2018-01-06 21:22:06
帽子男 @alkali_acid

農協の雇人、顔に青痣があるので、青痣と呼ぶとして、青痣氏は組合長のガチギレにより仕方なく田舎から都会へ向かうことになった。 郵便馬車に相乗りしてえっちらおっちら。途中の駅で寝泊まりして、十日の工程である。 めざすは街にある農協の出店である。

2018-01-06 21:25:33
帽子男 @alkali_acid

出店では金の出入りと、市場での農産物の取引のさばきなどを担っており、人が詰めている。 「だけど出店からの手紙じゃ、街はいま魔物が出るとかでぶっそうだそうじゃないか…いやだなあ」 青痣氏。農協の主力農産物である青気仙ではなく、主に芝麦を作る農家の三男坊で、図体はでかいが気は小さい。

2018-01-06 21:28:34
帽子男 @alkali_acid

先祖は一揆で、土豪の手勢を相手におおたちまわりをした勇猛な男だったそうだが 農協での仕事は事務である。 「じゃけどほら、やわらはできるじゃろ」 初代農協組合長が冒険者だったので、読み書き、算数、やわらの技はできれば学び、都会のクソ金持ちにしてやられないようにしようというのが方針。

2018-01-06 21:31:24
帽子男 @alkali_acid

しかし青痣氏は別にすごくやわらがうまい訳ではなく、単に体がでかくて重かったために投げたりしめたりが難しかっただけである。 「いけるいけるって。農協の恐ろしさ見せてやれって」 「今年は肥料代の借金をさせないとかそういう…?」 「ちがくて!」

2018-01-06 21:32:53
帽子男 @alkali_acid

都会はとにかく広い、そしてくさい。よく分からん異郷の言葉が飛び交い、肌や髪、瞳の色も異なれば、しぐさやみなりも違うさまざまな連中でごったがえしている。 市門にたどりつく前から、そこらじゅうに天幕だの掘立小屋だのができて、特に北側の用水湖の側などは不潔でうるさく、荒っぽい。

2018-01-06 21:35:49
帽子男 @alkali_acid

「もう無理…帰りたい…」 「百姓の旦那。このあたりは盗賊も出る。図体がでかいんだから、郵便が盗まれないよう見張っててくれよ」 御者がわめく。 「え、自分は乗客ですが?」 「同じ馬車に乗った命っていうだろうが」 「ええええ…」

2018-01-06 21:37:43
帽子男 @alkali_acid

農協の組合長がガチギレしたところで、ヤバ味の塊のような都会に通じるはずもない。すでに青痣氏の気持ちは完全に絶望だった。 「何の成果も…あげられませんでした!」 とうつむきながら報告する自分が想像できる。 「帰りたい…帰ろう…出店に顔を出したら、明日一番の郵便馬車に乗って帰ろう…」

2018-01-06 21:39:25
帽子男 @alkali_acid

もちろん青痣氏だってちょっと都会に夢は見ていた。ほかの青年のように冒険者になって一山当てるとかそういうのではないが。ただ素敵な女性と知り合い、恋に落ちるとかそういう。 そう。農協事務の青痣氏は独身。絶賛交際相手募集中である。

2018-01-06 21:42:32
帽子男 @alkali_acid

両親はすでに疫病で亡くなっているが、年の離れた長兄が親代わりで 「せっかくお前は頭がよくて農協の事務になったんだし、いい嫁さんを見つけろよ」 とはげましてくれてはいた。だが意訳すると、土地持ちでないやつに見合いの口はないから自力で頑張れということである。

2018-01-06 21:43:43
帽子男 @alkali_acid

「でも無理。都会は自分が想像してたのとぜんぜん違う。収穫祭の乱痴気さわぎをこじらせて戻れなくなった感じだし恐い…帰りたい…」 青痣氏がおちこんでいると御者がまた告げる。 「やれやれ衛士隊の連中だ…」 「あ、おまわりさんですか?じゃあ安全ですね」 「やつらに賄賂を払えばな」

2018-01-06 21:45:59
帽子男 @alkali_acid

「賄賂!?」 「はー…あんたは農協のひとだったな。あそこはそういうのがねえんだってな。たいしたもんだ…」 「まあ色々と表に出せない取引はありますがあからさまなのは…」 「ここはよお。堂々と衛士の連中が金をせびってくるからな。まあ郵便馬車にはめったにからまねえが…小金は用意しとけ」

2018-01-06 21:47:38
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コメント

安庭やよい⋈ @yayoy_amber 2018年1月8日
名前だけで人物が解るテクニックを使うのは短文ならではの楽しみ方ですね。
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いしゅ @ishut6 2018年1月8日
面白い。応援します。
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catspeeder @catspeeder 2018年1月8日
ネタの使い方上手いなあ。まとめて読みたい。
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仰凝亭源蔵@Genzouおじさん a.k.a. クソ署長 @gogot_man 2018年1月8日
雅茶でだいぶやられたところに剛零をブチ込まれてもう耐えられなかった。
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