- yorishirosama
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▼ 暗い部屋、揺れる蝋燭の火。 床に描かれた幾何学模様の円陣。 その傍らには、黒衣の少女。 片目に当て物をし、何やら熱心に声を上げている。
2018-01-22 02:10:28「三柱合一たるエロヒムよ、 群れたるエッサイムよ、 我は求め、そして訴える」 そこで言葉を切り、目を見開くと。 一際大きい声で、最後の一節を詠唱する。 「我が呼び声を聞け――!」
2018-01-22 02:10:52一陣の風。激しく揺れる蝋燭。 ぼんやりとした光が部屋中に満ち、 円陣の中から蠢く大きな影が現れ―― ――ない。
2018-01-22 02:11:12そんなものが現れる筈もない。 そんな非科学的な現象が起こりうる世界ではない。 ここは旧校舎の片隅、使われていないはずの廃部室。 制服の上に黒衣を纏った少女は、言うならば―― ――ただの、厨二病だ。
2018-01-22 02:11:37……やれやれ、この先輩。 厨二病だとは思っていたが、ここまでやっていたとはね……。 俺は彼女を見下ろしながら、誰にも聞こえぬため息をつく。
2018-01-22 02:12:01まあ、だからといって特に支障があるわけでもない。 ――今日の"ターゲット"はお前だ、先輩。 俺はするりと宙を滑空し、彼女の背後に迫った――
2018-01-22 02:12:14幽体離脱薬。 それを手に入れてから、俺の人生は変わった。 いや、表面的には何も変わっちゃいない。 傍から見れば、ちょっと昼寝の時間が増えたぐらいにしか思えないだろう。
2018-01-22 02:13:11だが、実際はそうではない。 幽体離脱。 文字通り、身体から霊体を切り離すこと。 まるで幽霊のように自由になった俺の霊体は、 他人の身体に入り込むことすら自由自在だ。
2018-01-22 02:14:45そして、その身体を乗っ取り、奪い取り。 本人以外には決して感じ得ない秘めやかな快楽を、 他人である俺が、楽しませてもらっている――という訳さ。
2018-01-22 02:15:02お堅い眼鏡の風紀委員をオナニー漬けにしてやったり―― 新米の女教師を露出趣味に目覚めさせたり―― 陸上部の女子の身体で体力に任せた耐久オナニーをしたり―― ――遊んでそうで実は処女だった同級生で筆おろしをしてもらった事も、あった。
2018-01-22 02:15:50――さて。 そんなわけで、今日のターゲットだ。 名前は黒嶋 魅咲。三年の先輩だ。 部活動や委員会には所属していないようで、結果としてリサーチが遅れた形だ。
2018-01-22 02:16:25綺麗な黒髪を短く切りそろえたクール系の美人だが、 指ぬきの長手袋、夏場でも分厚い黒タイツ、たまに左右逆につけた眼帯と、 如何にもと言うか、どこか痛々しい雰囲気を漂わせた危ない女だ。
2018-01-22 02:16:46だが、それでもスタイル抜群の美女には違いない。 せいぜい楽しませてもらおう。 俺はいつもの隠し場所に自分の体を横たえると、 甘苦く、形容し難い色合いをした奇妙な水薬を飲み干した――
2018-01-22 02:16:59「……失敗。また、上手くいかなかった……」 黒衣の少女はどこか消沈した様子で、 片手に持った過剰装飾の冊子を開く。 なにやらペンを走らせているところを見ると、 ノートか何かを綴り直したものなのだろうか。
2018-01-22 02:18:34「……呪文は完璧のはず。供物の不足? 魔法円に問題はない。何か見落としが……?」 口元にペンの尻を当てながら、 ブツブツと独り言を漏らす少女。
2018-01-22 02:18:54……ああ、全く。 そんな心配は、直ぐにどうでも良くしてやるよ。 俺は薄揺らいだ口端を歪め釣り上げると、 彼女の白く光るうなじに手を伸ばし――
2018-01-22 02:19:06「!? ??? !!!?」 何が起こったのか分からない。 そんな表情をしているだろうな。 ああ、背後からだと顔が見れないのが少し残念だ。
2018-01-22 02:19:58まずは腕を先輩の身体に押し込み、 右手のコントロールを奪う。 とはいえ脳を掌握しなければ、 せいぜい動きを止める程度の意味しかない。
2018-01-22 02:20:13「……身体が、動かない――!!」 さあて、次だ。 まだ足は動かせるからな。 もしそれに気づかれたら、逃げられてしまう。 その前に、足のコントロールも奪ってしまわねば。
2018-01-22 02:20:29俺はジャンプするように足を浮かせ、 ズボンを履く要領で、腰から足先へと霊体を滑り込ませた。 「ひぁぁっ! なっ……なに、これぇ……」 口調が崩れてきたな……いいね、そういうのは堪らない。 "普段の態度"という仮面、これを引き剥がすのは大変な快感だ。
2018-01-22 02:20:44「やだっ、誰か、助けて……!! ……おねがい、誰か――」 だが助けは現れない。 ――現れるものか。 好き好んで、こんな人気のない場所で。 たった一人で"何"をしてたか、考えてみるといいぜ。
2018-01-22 02:21:04「……ぁ……あぁ……う……」 抵抗が弱まってきた。もう少しだな。 俺は霊体の頭を、彼女の後頭部にねじり込む。 「――ぁッ!!!」 ビクンッと、彼女の身体が大きく跳ねる。 カッと目を見開いたのが"分かる"。
2018-01-22 02:21:32