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帽子男 @alkali_acid
ファンタジーで決戦前の準備とかやたらフラグだらけの会話が好きだからそれだけやる話。
帽子男 @alkali_acid
「いよいよ明日はやつとの最後の勝負だな…」 「おれ、この戦いが終わったら結婚するんだ…」 「この冒険が終わったら…お前に伝えたいことがあるんだ…」 そういう雰囲気。あれな。あれ。好きやろ。皆割と。うん。 お、こいつ死ぬんやな…とか思いながらもなんかちょっとぐっとくるやん。
帽子男 @alkali_acid
なんかエルフの奥方から玻璃の瓶をもらったりさ、ストーカー気味の王女から二人の距離が歩数単位で分かる重い愛を受け取ったりさ。 そういうレアアイテムが大盤振る舞いになるのもええよな。
帽子男 @alkali_acid
急に聖騎士に叙されたり、なんかすごい二つ名をもらったりさ。 最終決戦にのぞむメンバーが持ち上げられれば持ち上げられるほど、傍観している方は半笑いになってくやつね。 好き。みんなも好きやろ。好き。分かってる。伝わってるから。
帽子男 @alkali_acid
◆◆◆◆ 「迷宮王国の執政の名において、なんじ、ヤマダサンを王国の大軍師に任ずる」 燃えるような赤髪をした妖精の娘が、ひざまずく人間の乙女の首に、白金の紋章をかけ、うすく朱に染まった豊頬に祝福の接吻を与えた。 「王国の栄光は常にともにあらん」
帽子男 @alkali_acid
不老の姫は、続いてそばに立つ姉妹から黄金の紋章を受け取り、もう一人、ひざまずく小柄な青年を振り返り、やはり同じように述べた。 「迷宮王国の執政の名において、なんじ、嗅鼻を王国の将軍に任ずる」 同様に首にかけたが、口づけは省略する。 「王国の栄光は常にともにあらん」
帽子男 @alkali_acid
儀式が済むと、尖り耳のたおやめが手に手に果物や木の実を山盛りにした駕籠をもってあらわれ、気取らない昼餉が始まる。 一つとってかじりながら、嗅鼻氏は胸にさげた護符を手にとってしげしげと眺める。 「しかしいいのかね。妖精にはどうか知らないが、こいつは地上じゃ冒険者の印だぜ」
帽子男 @alkali_acid
「それも黄金紋章といえば、上から二番目の位階だ。本来なら、冒険者の酒場の連中があっと驚くような財宝を持ち帰らなきゃもらえない代物だ」 「いいんですよ💛」 包帯を巻いた妖精の娘が、人間を手に杯を押し込みながら答える。 「もともとは迷宮の王国で私達のご先祖様が使っていた身分の証です」
帽子男 @alkali_acid
「それを人間の皆さんがぁ、勝手に迷宮から掘り出して持って行って、違う意味をもたせて再利用しているんだけなんですから」 「まあそうか」 「ちゃんと王国の役職と一緒に授かったんですから、むしろ正統な受け取り方をしたと誇って下さいね♪」 「お、おう」
帽子男 @alkali_acid
相変わらず、肌も露な薄絹をまとった姫は、木の杯から一口蜜酒を飲んで語句を継ぐ。 「それに紋章は上位になるほど、魔法を防ぐ力が高まりますよ💛流石に恐ろしい龍の呪文に抗うのは厳しいけど、例えば"呼び出しの大釜"とか"帰還の魔法陣"を使って間違いが起きるのは避けやすくなりますしぃ…」
帽子男 @alkali_acid
小難しい言葉の連発に、嗅鼻氏はへきえきといった表情で杯をあおる。 「俺ぁよ。そのごちゃごちゃした魔法の話はあんまりよく分かんねえ…そういうのはヤマダサンかヒロにしてくれよ…お、草採!見違えたじゃねえか」 いきなり呼びかけると、やや離れたところから少年がとことこと歩いてくる。
帽子男 @alkali_acid
動きやすい胴着と一体になった太腿の半ばまでを覆う腰布。膝上まである長靴。わずかに覗く太腿はしなやかな白い布地でおおっている。腰には小ぶりな棍棒と薬草袋を下げていた。 「あ、兄貴、どう?へんかな?おれ」 「ん?似合ってるぜ。なんか、女みてえだけど」
帽子男 @alkali_acid
耳まで赤くなってうつむく草採君を、左右から黒い巨犬が挟む。 「きゃぅっ」 正体は飼いならされた魔物である二頭は、それぞれ耳の間に幼い仔を載せている。いずれも丁寧な毛並みの手入れを受け、おいしい餌をたっぷり平らげ、ほれぼれするような色艶だ。
帽子男 @alkali_acid
みんな、嗅鼻氏とともに半死半生で妖精の村へたどりついた際の無惨なようすからは見違えるほどだった。 「兄貴も、あの、かっこいい、と思う」 「ん?おお?」 嗅鼻氏も、丈夫な魔物の革を妖精の技でなめした軽甲に、不老の乙女等が織る不思議な布で作った鎧下をまとって、精悍だった。
帽子男 @alkali_acid
「お、そうだ草採。こいつやるよ」 気をよくしたようすの兄貴分は、かくしから鎖につなった簡素な飾りを取り出した。白銀の紋章。 「え!?これ兄貴の…だ、だめだよ。おれ、だって…ほんとうは青銅紋章だって…おとうさんの借りてるだけ…」 「いんだよ。俺がやるっつってんだから」
帽子男 @alkali_acid
「そいつはな…おほん、ただはったりを利かせるおもちゃじゃねえ。魔法を防ぐ力もあるんだ。白銀紋章ぐらいもってねえと。これからしんどいぜ」 「う、うん…ありがとう…おれ、この紋章にふ、ふさわしい冒険者になります」 「お前ってやつはまじめだなあ。俺のガキのころとは偉いちがいだぜ」
帽子男 @alkali_acid
嗅鼻氏がいつものくせで草採君の髪をくしゃくしゃにする。 いつのまにか遠巻きに妖精達が集まって、ひそひそと話をしている。 「ねえ、どっち?」 「え、普通に草採君が剣でしょ」 「逆だと思う。草採君は仔猫」 「えーどっちも仔猫だよ」
帽子男 @alkali_acid
新たに黄金紋章を得たばかりの冒険者は不審げにささやきかわす長命種族をうかがう。 「妖精ってのはほんとよく分からねえ…」
帽子男 @alkali_acid
冒険者集団「地獄の猟犬団」の男二人が謎の品定めを受ける一方で、女二人も盛んに粉を放つとがり耳の群から囲みに遇っていた。 「あの、お二人は恋仲なんですかぁ?」 「は?」 「名高い女二人組の冒険者、双剣は内祝言まであげていたといいますけど💛」 「はっ?」 「やっぱり勇者様が導く方で…」
帽子男 @alkali_acid
やかましくさえずる妖精の乙女等に、小さな咳払いが応じる。 冒険者として最高位、あるいは迷宮の王国では王族や大元帥、大軍師に相当する白金紋章の持主、佐藤ひろみことヒロは、不気味なほど優しく答えた。 「あたし達の来た世界では、そういうことぶしつけに聞くのは死に値する罪なんだ」
帽子男 @alkali_acid
ヒロのはなつ静かな殺気に、不老の娘等はそろってわずかに退き、輪を広げた。 「山田さんはあんた達を許したけど、あたしはそうじゃない。いい?龍の血から蘇生液を作って、あたしを生き返らせてくれたことは感謝してもしきれないくらいだけど、それと山田さんを危険にさらしたのは話が別」
帽子男 @alkali_acid
「魔法の王冠。迷宮でも一番偉大な財宝とされてきただけのことはあるけど、妖精がかぶると発狂し、この世界の人間がつけても、どんな影響を及ぼすか分からない。そんな品を、異世界から来た人間に、魔法が通じにくいからって理由で試させるなんて」
帽子男 @alkali_acid
「あ、でも結果として、あの、とても有益でしたし」 もう一人の白金紋章、といっても冒険者としては駆け出しにすぎない山田花子ことヤマダサンがとりなす。王冠を腰帯から外して指でなぞる。 「これ、かぶっていると…どんどん色んなことが分かります…」
帽子男 @alkali_acid
「まるで本を読んでるみたいな…ううん…ケータイとかで調べものをしてるみたいな…」 「あんまり、のめりこんじゃだめだよ…安全の保証なんか何もないんだから」 珍しくヒロがヤマダサンたしなめるのへ、横から炎の髪をした妖精が歩み寄った。ほかは全員、金髪碧眼白膚なのにひとり毛色が違う。
帽子男 @alkali_acid
「賢者様…ヤマダサン、どうかいまいちど王冠をお試しください」 「いい加減に…」 保護者役の細身の女が気色ばむのに、肉置き豊かな連れの女は神妙にうなずくと、止める間もなく額輪をかぶる。 「これで、いいですか」
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