吉沢秀雄Pのミスタードリラー開発秘話まとめ

まとめました。
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

テクモで『マイティボンジャック』 『忍者龍剣伝』等のディレクター、ナムコで『風のクロノア』や『ミスタードリラー』等のプロデューサーを務める。2016年4月、バンダイナムコスタジオを退職、フリーに転進。現在東京工芸大学教授 著書に『ゲームプランナー集中講座』新刊は『「気持ちいい」から考えるゲームアイデア講座』好評発売中。

よしざわひでお @yoshi_clonoa

今日から「ミスタードリラー」の開発秘話を毎週水曜日を目途に発信しようと思ってます。 ゆる~りとお楽しみいただければ嬉しいです。 140文字で入らない分は返信でつなげていきますので開いて読んでください。 では、スタート! pic.twitter.com/s5z9BUb2co

2017-08-02 18:01:06
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

当時私は課長で、ナムコの内製開発部隊の総合プロデューサーだったので、いろいろな企画案が私の所に提案されてくるのです。 そんな中、「ミスタードリラー」を企画したNくんは、当時「R4」のサブ企画を担当していて、次こそは自らの企画でディレクターを!と企画を温めていました。

2017-08-02 18:01:36
よしざわひでお @yoshi_clonoa

「R4」が佳境を迎えていたある日、Nくんがアイデアに意見を聞かせてほしいと言って3枚の紙を持ってきました。 そこには主人公を操作して、六角形のブロックに潰されないように消して下に進んでいく「DIGDUG3」というアイデアが記されていました。 pic.twitter.com/YgiufP6GZ8

2017-08-02 18:02:43
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

ブロックを消して、支えを失った六角形は地すべりを起こして斜めにずれて、同じ色が4つ以上揃うと消えて雪崩が起こるので、それに潰されないように操作するゲームだというのです。 そう、初めは六角形のアイデアだったんですよ! (つづく)

2017-08-02 18:03:36
よしざわひでお @yoshi_clonoa

ドリラークロニクル第2回! 提案されたアイデアは六角形のブロックを掘るゲームでした。 pic.twitter.com/CBS7LghIUw

2017-08-09 09:27:55
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

でもそれはとても分かりにくいシステムでした。 次の状況が想像しにくい上に、六角形なので支えを失ったブロックが右下にずれるのか左下にずれるのかが分からず、聞くと2分の1の乱数で決まるというので、死んだ時の「納得性」が低いのが問題だと思いました。 pic.twitter.com/qoGeUGwwWL

2017-08-09 09:28:46
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

彼はこのアイデアを、砂場の棒倒しや将棋の駒を山積みにして、そっと一個ずつ取っていく将棋崩しの中に自分がいたら怖いだろうなという発想から考えたと言っていました。

2017-08-09 09:29:30
よしざわひでお @yoshi_clonoa

そして、そんな事があったのもすっかり忘れてしまった「R4」が終了したある日、Nくんの席の後ろを通りかかった私は 「ちょっと創ってみた物があるんですけどやってみてもらえませんか?」 と声を掛けられたのでした。 つづく

2017-08-09 09:30:45
よしざわひでお @yoshi_clonoa

ドリラークロニクル第3回! ある日声をかけられて見せられたゲームとは?! pic.twitter.com/PbkETG6XEF

2017-08-16 11:13:03
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

それは4色の四角いブロックが詰まった画面に「オールアバウトナムコ」という本に載っていた「DIGDUG」の主人公のドット絵を見ながらNくん本人が描いた自機キャラで掘っていくゲームでした。こっそりプログラマのMくんに創ってみてもらっていたのでした。

2017-08-16 11:13:31
よしざわひでお @yoshi_clonoa

その瞬間はコラムスの亜流みたいなパズルゲームかな?ぐらいに思いながら、ちょっとCD-ROMを借りて自分の席で遊び始めたのでした。 CD-ROMを席に持ち帰って、デバッキングステーションというPSの開発機で立ち上げて遊んでみました。

2017-08-16 11:14:03
よしざわひでお @yoshi_clonoa

そしてすぐハマッた。 あれ?おかしいな。おっと!くそ!おー!あぶっ!あ~~~!やったー! ハッと気が付くとあれから2時間も経ってるんです!!

2017-08-16 11:14:38
よしざわひでお @yoshi_clonoa

私は興奮も冷めやらぬうちに、Nくんの所に走っていって 「あれ、おもしろいよ~。何であれがいいかって言うとさぁ~…」 と、発案者に対していかにこの企画が素晴らしいか、どこが秀逸なのかについて語りまくってしまいました。

2017-08-16 11:15:13
よしざわひでお @yoshi_clonoa

それ程、その時心に響いたんです。 いいゲームは頭で理解するんじゃなくて、心に響くものなんですね。 つづく

2017-08-16 11:15:57
よしざわひでお @yoshi_clonoa

ドリラークロニクル第4回! Nくんに呼び止められて見せられた試作ゲームに、見事にハマったわたし。 pic.twitter.com/5X2RQg46J0

2017-08-23 08:50:07
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

そして、このCD-ROMを本部長の所に持って行って、 「すごく面白いゲームができたので、ぜひやってみてください!」 と強くお勧めしたんですが、とりあえずCD-ROM貸しといてという事でお渡ししました。

2017-08-23 08:50:53
よしざわひでお @yoshi_clonoa

それから事ある毎に本部長に 「あれ、遊んでもらえましたか?」 と聞く毎日でしたが、ある日部課長で飲み会があった時に、本部長のまん前の席になったので、 「あれ、創らせてほしい! 絵は篠﨑(通称マッキー)を抜擢すれば、大喜びでやると思うので少人数で早くできるから」 と説得しました。

2017-08-23 08:52:00
よしざわひでお @yoshi_clonoa

すると、 「わかったよ、そんなに言うならやっていいよ」 と言ってもらえました。これで晴れてプログラマをアサインしてもらえます。

2017-08-23 08:52:33
よしざわひでお @yoshi_clonoa

もちろん、こっそり試作していた時のプログラマMくんで!  と思っていたのですが、彼は何とアメリカに出向で行ってしまうという事で試作中しかできないとの事でした。

2017-08-23 08:53:23
よしざわひでお @yoshi_clonoa

ちなみにNくんとMくんで六角形バージョンも試作したらしいですが、周りの反応はやっぱりわかりにくい、やられた時納得性が低いという意見だったそうです。 つづく

2017-08-23 08:54:09
よしざわひでお @yoshi_clonoa

ドリラークロニクル第5回! ようやく本部長のOKが出て、晴れてプロジェクト始動! pic.twitter.com/296fqq2O8s

2017-08-30 09:45:21
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よしざわひでお @yoshi_clonoa

スタッフの目処も立って、試作できる流れにはなったものの、ナムコはこういう新規のタイトルに力を入れて本気で売っていく雰囲気が薄いので、このままでは佳作で終わってしまう気がしてなりませんでした。

2017-08-30 09:45:50
よしざわひでお @yoshi_clonoa

そこでCS開発部から業務用を開発するVS開発部に移籍していたOさんに電話をしました。 ちなみにOさんは私がナムコに転職した時同じ部署で、ふたりで企画リーダーを任された仲でした。後に太鼓の達人の初代プロデューサーになる人です。

2017-08-30 09:46:41
よしざわひでお @yoshi_clonoa

「そっちってアーケードゲームのタマ(製品)ほしくない?」 「ほしい、ほしい」 「いいのがあるんだけど見てみない?」 「見る、見る!」 ということで、Oさんに見せ、遊ばせてハメました。 その上司のN課長にも見せ、即製品化! って事になり、まずは業務用で開発する事にしました。

2017-08-30 09:47:38
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