仕事終わりの電車の中で、ふと何も考えなしに動いたら、なんだか申し訳なくなった話
女の子をよくみると、同じく大きなカバンと竹刀らしきものが入った大きな袋を二つ持っていた。 男の子は、重そうなカバンを地面に下ろして一席だけ空いている席に腰を下ろした。
2018-01-26 21:51:36女の子の席は無い。 男の子のことを剣道男子と呼ぼう。 扉横のシートは、同い年くらいの男の子男の子が座っており、その隣に剣道男子が座る。 同じく向かいの席の剣道男子の対面に自分が座っている状況だった。
2018-01-26 21:54:40女の子は重そうな荷物を下ろさずに肩に掛けたままだった。 それを見た自分はすぐに「あ、重そうだし、自分が変わったら対面になるなぁ」と思って、何か自然に体が動いて席を立った。
2018-01-26 21:58:40もう一度、「どうぞ」と言ってみると、「大丈夫です」という最終回答。 あらら?と思いながら、「あ、そう?」と元の席に戻ったら、思わぬことが起きた。
2018-01-26 22:03:17剣道男子のとなり席は空いて、少しの間の沈黙と戸惑いの空気が流れる。 そして、申し訳なさそうな、でも誰も居ないその席に、ゆっくりと座った。
2018-01-26 22:07:09並んで座る二人。 それを見て自分は気付いた。 そっか、対面じゃダメだったんだ… 隣じゃなきゃダメだったんだ…と。 そして、電車は走り出す。
2018-01-26 22:14:38剣道男子は椅子に浅く座って、両肘を両膝の上について、スマホを両手持ちで何かをしている。 女の子の方に顔を向ける訳でも無い。
2018-01-26 22:22:10しばらくすると女の子もスマホを取り出し始めて、何かし始めた。 えっと…目の前には、黙々とスマホを触る剣道男子と女の子がいます、よね…
2018-01-26 22:33:25自然と自分がやったことを振り返ってみたくなった。 回想してみる。 そして、今、二人はスマホを触る。 あ、同い年くらいの男の子、なんか…ゴメン、と思った。
2018-01-26 22:39:02そして、何駅か過ぎた頃、剣道男子の顔はスマホを向いたまま、女の子に短めの言葉を掛けた。 え?!何何?! めっちゃ聞き逃したし!! 女の子はそれに何か言い返して、また二人ともスマホに向かう。
2018-01-26 22:49:49それを見て、また自分は気付いた。 ある意味シンプルで、ある意味複雑なんだって… とにかく同い年くらいの男の子、ゴメン。 おわり
2018-01-26 22:53:55