競争原理より「報徳」原理

日本人は競争がどうも嫌いだし苦手なようだ。ならば二宮尊徳が唱えた「報徳」原理の方が合っているかもしれない。
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shinshinohara @ShinShinohara

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shinshinohara @ShinShinohara

アップルのジョブズ氏やFacebookのザッカーバーグ氏を引き合いに出して「日本も競争社会に、そして天才の力で社会を豊かに」という論があるけれど、どうやら日本人は競争が苦手だし嫌い。競争に一度も負けたことがない、あるいはそれなりに勝負づよい一部の人以外は競争が嫌いだし苦手なようだ。

2018-01-27 16:27:18
shinshinohara @ShinShinohara

また、日本とアメリカでは社会のダイナミズムが異なる。アメリカは移民を積極的に受け入れ、異能を採用することで社会を活性化している。日本は移民をほぼ受け入れず、外国人労働者には単純労働しか許さず、外部から異才を取り入れるというダイナミズムを持っていない。

2018-01-27 16:29:46
shinshinohara @ShinShinohara

日本の場合は、二宮尊徳(金次郎)が示した「報徳」の方があっているのではないか。報徳とは、リーダーが努力して得られた成果をみんなと分かち合い、みんなも全体のために自分にできることを努力する。全員がそれぞれに持ち味を生かして皆が豊かに暮らせるようにしよう、というもの。

2018-01-27 16:33:50
shinshinohara @ShinShinohara

これだけ競争社会という言葉が普及していながら、企業のトップに立つ人間で「俺は才能と努力で社長になった」と公言する人は(新興・中小企業以外は)いない。もしそんな発言をしたら社員のモチベーションを下げ、独りよがりな社長だと株を下げることになるのをよく承知しているからだ。

2018-01-27 16:36:35
shinshinohara @ShinShinohara

日本では、リーダーは全体幸福のために日夜努力しているというポーズを崩してはリーダーシップを張ることはできない。二宮尊徳をモデルとして発掘したのは明治政府だが、それに強く感応した国民が多かったのは、日本人がそのモデルを好む国民性を持つためだろう。

2018-01-27 16:38:51
shinshinohara @ShinShinohara

江戸時代の本に「日暮硯」というものがある。庶民の苦しみを理解し、皆が幸せに暮らすことを心から願う為政者を描いた作品。架空の物語なのだが、江戸時代の庶民の心をわしづかみにし、当時の支配者である武士もかくありたしと願ったという「事実」に目を向けるべきだろう。

2018-01-27 16:41:23
shinshinohara @ShinShinohara

二宮尊徳は努力を重ね富豪になったにも関わらず、貧しい地域の建て直しを依頼されたときに財産をなげうってその事業に全身全霊で取り組み、見事成功した。住民に生活のゆとりを取り戻しつつ、生産性をあげ、結果的に藩の財政も改善するという手腕は、現代においても刮目すべきものがある。

2018-01-27 16:43:42
shinshinohara @ShinShinohara

日本は、戦後の成功を「世界一成功した社会主義」と表されるが、「社会主義」と一種の揶揄をもって表されるほどの成功をおさめた背景には、「リーダーは全体幸福のために努力するものである」という、日本人の大好きなスタイルを全国民的に共有できたからだと思われる。

2018-01-27 16:46:02
shinshinohara @ShinShinohara

「社会主義」と呼ばれるだけあって、経済的に大成功したバブル経済の絶頂期の頃には、経済的に豊かなのに気分が鬱屈しているという「人間を幸福にしない日本というシステム」になっていた面がある。しかし世界を先導するほどのイノベーションを次々に産み出すダイナミズムも備えていた。

2018-01-27 16:49:38
shinshinohara @ShinShinohara

二宮尊徳の「報徳」を改良し、バブル経済の頃の窮屈さがなく、イノベーティブでもあり、皆が生き生きと豊かに暮らすことを模索してはどうか、と思う。たぶんその方が日本人には合っている。必ずしも「社会主義」でなくても、全体幸福を増進し一人一人も幸せになる、いいとこ取りを狙ってはどうか。

2018-01-27 16:52:39
shinshinohara @ShinShinohara

二宮尊徳は、各人の自主性と創造性を重んじたことで知られる。倹約を勧めたのだが、たとえば飯炊きの薪の量を減らせたらその工夫をしたものの賃金を厚めにした。各人の創意工夫を促し、生産性をあげれば自分達が豊かになれるという仕組みを巧みに設計した。

2018-01-27 16:56:12
shinshinohara @ShinShinohara

しかしどうも今の日本の「生産性上げろ」論は、従業員を死ぬほど働かせて売り上げを維持しつつ給料下げ、首を切り、投資家に利益を分配するという方向にしか聞こえない。これでは江戸時代初期の苛斂誅求(自分達の利益のために厳しく税を取り立てること)と同じではないか。

2018-01-27 16:59:49
shinshinohara @ShinShinohara

二宮尊徳の「報徳」はそれとは全く異なる。一人一人が倹約に努め、生産性も上げるのだが、その成果はみんなで分かち合う。その余裕を確保するために、尊徳は為政者に面と向かって税の減免を願い、それによって住民の働く意欲と生活のゆとりを取り戻し、結果的に藩の財政の建て直しも実現した。

2018-01-27 17:02:21
shinshinohara @ShinShinohara

イメージとしては「フランダースの犬」に近い。パトラッシュという犬は前の主人にこき使われ、疲弊しきって死にそうになった。「役立たず!」とムチ打たれてももう動けなくなるほどに。その姿を憐れんだネロ少年が必死に介抱し、パトラッシュは一命をとりとめ、元気を回復した。その後が面白い。

2018-01-27 17:04:58
shinshinohara @ShinShinohara

パトラッシュはなんと、「役立たず!」と罵られ、死にそうになった荷車引きの仕事を自ら進んで引き受けたのだ。ネロはそんなことをしなくてよいと言ったのに。しかしパトラッシュはネロのために何かしたかった。自主的にミルクを運ぶのを手伝いたくなったのだ。

2018-01-27 17:07:15
shinshinohara @ShinShinohara

「荷物を運ぶ」という点は、前の主人もネロでも同じ仕事だ。しかし前の主人の時は疲れきり、死にかけることとなった。しかしネロのためなら喜んで重いミルク壺を運ぼうとした。この決定的な違いは何か。

2018-01-27 17:09:25
shinshinohara @ShinShinohara

「節約する、もっと働く」事を求めるという点では、苛斂誅求も二宮尊徳の「報徳」も同じだ。しかし前者では庶民が疲れきり、労働意欲を失い、庶民も支配者である武士も貧しくなる。「報徳」は庶民が働くことを喜び、庶民も武士も生活にゆとりを持つことができた。この決定的な違いは何か?

2018-01-27 17:11:42
shinshinohara @ShinShinohara

苛斂誅求は、支配者の自分の利益のことしか考えておらず、働くものへの配慮が一切ない。しかし「報徳」はまさに「one for all, all for one」。努力すれば各人が報われるが、その努力の成果は全体幸福にも繋がるように設計した。二宮尊徳は希代のコミュニティ・デザイナーだった。

2018-01-27 17:16:10
shinshinohara @ShinShinohara

江戸時代は資源を海外から輸出入できず、限られた国内資源だけで社会を切り盛りする必要に迫られた時代。経済成長を望めない中で、各人がいかに生を楽しめるようにするのかが求められた。その条件は、現代の日本にも通じるのではないか。

2018-01-27 17:18:26
shinshinohara @ShinShinohara

無論、昔と現代とでは社会状況が異なるから、「報徳」をそのまま適用できない部分もある。しかし、現在クラウドファンディングと呼ばれるものは、尊徳がデザインした「五常講」と似ている。二宮尊徳のアイディアは、かなり現代にも生かせる。

2018-01-27 17:21:04
shinshinohara @ShinShinohara

各人一人一人のパフォーマンスを向上させ、各人の創意工夫を促し、限られた資源の中でもゆとりをもって楽しみながら生きていける社会の設計をするのに、二宮尊徳の「報徳」は非常に示唆的だ。日本人によく合うであろうこのデザインを、現代に生かしてみてはどうだろうか。

2018-01-27 17:23:04
shinshinohara @ShinShinohara

トヨタでは、業務改善の提案を積極的に推奨し、見事採用されれば報酬がもらえる制度になっている。これ、まさに二宮尊徳が行った「報徳」そのもの。自主的能動的なカイゼンを促し、生産性を向上させ、その努力にきちんと報いるし、その努力は全体幸福にもつながるのは、「報徳」そのもの。

2018-01-27 21:58:28
shinshinohara @ShinShinohara

トヨタグループの創始者、豊田佐吉も、二宮尊徳の「報徳」に大きな影響を受けたという。海外にもそのままで通じる「カイゼン」は、「報徳」そのもの。カイゼンという改良やイノベーションをグループとして実現するというのは、いかにも日本人らしい。

2018-01-27 22:13:11