美的観点による福島第一原発の印象

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

新しい技術に対して設計者が、心からその未来を信じて工夫を重ねた機械装置は、例外なく美しいものだ。今、あらためて福島第１原発の諸設備の図面や写真をながめて見ている。残念ながらやはり、美しさの感じられない装置である。

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

圧力容器や格納容器の円筒の上下を球殻で閉じたシンメトリカルな構造が、基本に忠実な設計である事はわかる。これに対し、格納容器を支えるコンクリートの構造と周辺設備の配置はいかにも場当たり的に見える。特に使用済み核燃料のプールの位置は構造上も、美的にも理解しがたい。

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

設計者がその基本原理を愛すれば、装置の美しさはまず構造にあらわれる。それを素直に形にすれば構造は外観も優美なものへと導く。しかし、この原発の構造には「隠す」「覆う」以外のアイデアが見当たらない。その思想は皮肉にも吹き飛んでしまった外壁に最も良くあらわれていた。

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

この施設の外壁を覆う水色と白のまだらがグラデーションは、建物の外観を海に紛れ込ませるためのものだ。景観を守るという名分のもとにデザインされたこの色彩からは、ともかく目立たなくするという消極的な意思ばかりが見え透いて、残念ながら施設に対する誇りも愛情も感じられない。

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

原発という施設が美しい外観を持ち得なかったのは必ずしも，設計者やデザイナーの責任とは言えないと思う。巨大なスペースを使いながら、仮設設備のような消極的な外観を与えざるを得ないところに、健全なコンセンサスを形成してこなかった原子力政策のゆがみが見える気がする。

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

以上、福島第１原発を美的観点からつぶやいてみました。設計者からは異論があるかもしれませんが、印象で話をしているだけなのであしからず。不遜不謹慎ご容赦。未来のエネルギープラントが、美しいものでありますように。

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

その感じよくわかります。 RT @narapress: 福島第一原発にいちばん似ている建築は、オウムの「サティアン」だと思いました。 RT 福島第一原発について、@Yam_eyeさんによる美的観点からの論評…http://togetter.com/li/119391

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

まさにそれです。 RT @petanushi: ★気が付きませんでした！　確かにコルビュジェが言う「従わざるを得ないプログラムの厳密な要求」や坂口安吾が言う「やむべからざる実質」等の美学がここには無い http://bit.ly/dK7EJL

山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

見たいなあ、それ。RT @ani_ane: 私がアイスランド行きたいのは、実はソトコトで見た地熱発電所の美しさが動機だったりもする。 RT @narapress 福島第一原発について美的観点からの論評＞http://togetter.com/li/119391