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帽子男 @alkali_acid
異世界ものでも「おねショタ」はやっぱ最高なんだよなって話
帽子男 @alkali_acid
みんなは「おねショタ」って知ってるかな「おねショタ」。 おねしょじゃないよ、お姉さんとショタ。年上の女性と年下の少年のカップル。 ドラゴンボールの最初の頃のブルマと悟空みたいな感じかな? 少女漫画の切ない恋愛から、成年漫画のムフフな展開まで、色んなジャンルにあるんだよね。最高。
帽子男 @alkali_acid
異世界転生・召喚ものもさあ、おねショタで爆人気のやつがもっと増えて欲しいんだよね。まあ転生したらお姉さんになってて、少年を導く役に…みたいのがちらほらあるけど。そういうのもっと増えないかな…もっともっと人気出ないかな、って思うんだよなあ。
帽子男 @alkali_acid
まあ転生・召喚じゃなくても、ファンタジーでおねショタ増えろ!増えろ!
帽子男 @alkali_acid
例えばそう、異世界に一人の少年がいるとする。名前はそうだな。 草採(くさとり)。 女の子みたいな容姿だけど、これで立派な冒険者。といっても毒親の命令でいやいや迷宮にもぐって、入り口近くで薬草採って売ってただけだけど。
帽子男 @alkali_acid
怖い魔物に追いかけられて、命からがら仕事をする、草採の癒しといえば、薬草をおろす先の薬種屋で、受付をやってる年上のお姉さん。絵を描くのがうまい。まだ未熟な少年に、必要な薬草や避けるべき魔物でも、図にして説明してくれる。名前はそうだな。 早筆(はやふで)。
帽子男 @alkali_acid
二人は意気投合して、すっかり友達になったんだけど、ちょっとした行き違いから別れ別れになってしまう。 すぐにケータイで連絡をとればいい、とも思うけど、残念ながらその異世界はケータイがない系の異世界だったんだなあ。 しかも滅びが迫っていた。
帽子男 @alkali_acid
二人が住んでる街を大きな地震が襲い、家屋敷は崩れ、道は瓦礫でふさがり、人々は死んだり怪我をしたり。まあそんなことは現実の世界でもよくある。毎日のようにどこかで、災害が理不尽な苦しみをもたらしている。 すべてを受け止めていたら、心がもたないから、意識の端に追いやってるだけ。
帽子男 @alkali_acid
しかし草採や早筆にとっては、そういう訳にもいかない。 お互いが心配だ。助けてあげたい。もちろんどっちも家族がいる。そちらも当然気になる。だったら動き出すしかない。 緊急事態で、例え周りからは認めてもらえなくても、まず大切な人を探す。 そういう選択だってある。
帽子男 @alkali_acid
だよね?そういうのが、おねショタってやつ、じゃないかな。 違う?まあいいや。
帽子男 @alkali_acid
◆◆◆◆ 草採は、所属していた冒険者集団、地獄の猟犬団の仲間からこっそり離れた。 まちがったことをしてると分かっていた。けれど、いてもたってもいられなかった。機会は今しかなかった。 一行の頭脳であるヤマダサンは魔法の王冠という不思議な財宝をかぶり、どこか遠いところと話をしていた。
帽子男 @alkali_acid
ヤマダサンの親友で、無双の強さを誇る勇者ヒロはそのそばにつきっきりで、心配でたまらないようすだった。 草採の兄貴分である嗅鼻は、二人のようすを確かめたあと、昼寝に入った。地震で街が崩れているのに、場違いな気がしたが、本人曰く、 「いつでも休めるときに休め」 だそうだ。
帽子男 @alkali_acid
嗅鼻が連れている犬、正体は飼い馴らした魔物である地獄の猟犬達も、主を囲むようにして眠っていた。 だから草採はこっそりと忍び足で抜け出したのだ。向かった先は、"呼び出しの大釜"。黒い石か何かでできた、表面に不思議な文字を刻んだ祭器で、人間や物を一瞬でほかの場所に移せる。
帽子男 @alkali_acid
そばには歩哨のように大きな甲冑が立っている。 "生きた鎧"または“命なき兵(つわもの)”といって、意思の力で自在に操ることのできるがらんどうの戦士だ。今は、はるか遠くの迷宮にいる妖精が魔法の王冠の力で制御している。 よく分からない話だが、とにかくそういうことなのだ。
帽子男 @alkali_acid
近づくと兜を外して渡してくれる。かぶると妖精と話ができる。 “あら、草採君💛どうしました?” “あの…ちょっと…いきたくて…街に” “地獄の猟犬団出撃ですか?賢者様…ヤマダサンからは何も…” “あ、あの…お、俺ひとりで…” “ひとり?…ははーん…いいですよ♪秘密にしておいてあげます”
帽子男 @alkali_acid
老いを知らぬ尖り耳の乙女が、はるか遠くで目配せした、かのようだった。 "そのかわり、草採君、あとでお姉さんの持ってる服を着てほしいんですけど?" "え…えっ" 長命種族のひらひらした肌の透ける衣装は、常命の少年にはやや恥ずかしかった。 "わかり、ました" “ふふ!素直ですね草採君は…では”
帽子男 @alkali_acid
“場所はどちらへ?もうほぼ街の全域を網羅してますよ” “あの、も、門前東町” “門前東町…えーと…はいはい…さっき取り込んだ人間の地図と一致させますね…ん、ここはちょっと、魔物が陣取ってるところに近い…けどま、いいですね💛危なかったらすぐ最寄りの大釜から帰還して下さいね” “は、はい”
帽子男 @alkali_acid
大釜が虚空をゆがめ、震わせる。 「…ごめんなさい」 草採が仲間に謝ったところで、いきなり二つの小さな黒い靄が飛び込んできた。 「ひゃっ!?」 兄貴分の嗅鼻が連れている地獄の猟犬、の仔犬二匹。胸にしがみついて 「どこいくの?」 「散歩?」 といった目で見上げてくる。 「えぇ!?」
帽子男 @alkali_acid
次の瞬間、大釜が一人と二匹を別の場所へ転送していた。
帽子男 @alkali_acid
最初は、住んでいる家のそばだと分からなかった。 よく遊んでいた小路も、迷宮とゆきかえりに通った径も、炭を買う店も、水汲み場も、洗濯屋も、青物屋も、干物屋もなにもかもぺしゃんこになっていた。 めちゃくちゃになっていた。
帽子男 @alkali_acid
暮らしをかたちづくっていた確かなものが、すべてごみになっていた。 何度も見まわして、心臓が早鐘を打つのを拳でおさえて、やっと納得する。 「帰ってきたんだ…」 こんな風に帰ってくるとは想像もしていなかった。 重い足取りで歩き始める。家のある方へ。進んでいるうちに気づく。おかしい。
帽子男 @alkali_acid
人がひとりもいない。道の瓦礫がどけてある。 そこかしこの崩れた長屋の戸口に穴が空いて、何かを運び出したあとがある。 火事を消し止めた痕跡もあった。 三叉路にたどりつくと看板が立っていた。石畳のあいだに無理やり柱を押し込んである。魔物のように怪力の人物が乱暴にやったようだった。
帽子男 @alkali_acid
「ここ は じごく の りょうけんだん が たすけた いきてるやつ は にがした まもの の す が ちかい から あぶない ぞ」 とても下手な字だった。草採も字が得意ではないが、かくも下手な字は初めて読んだ。“青き海の墨”という街で最も広まっている文字だが、書いたのは遠い異国の人かもしれない。
帽子男 @alkali_acid
「でも…」 地獄の猟犬団は、さっき別れてきたところだ。ヒロやヤマダサンや嗅鼻は、ここに来てはいないはずだ。どういうことなのだろう。二匹の仔犬が黒い靄になって飛び出し、くんくんと看板の匂いをかぎまわる。 「なにか…分かる…?」 仔犬達は馬鹿にしたように吠えた。
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