蝙蝠【@koumoli】の #ふぁぼの数だけ行ったことがあるように架空の町の魅力を紹介する まとめ其の二

空想街紀行第二弾 1~100の街はこちら https://togetter.com/li/982813 201〜270の街はこちら https://togetter.com/li/1502009
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いきなり誤字ったタグツイ

素敵な夢から始めましょう
101.星の海
102.雨枯れの土地
103.予言の国
104.紋様の国
105.玩具の町
106.夢現の世
107.御伽郵便
108.食葬の国
109.常識の国
110.静戦の夜

蝙蝠 @koumoli

晩秋の夜明け前、腰近くまで海に浸かって網を振り回している女性がいた。 「魚でもいるんですか?」 私が声をかけると、女性は一瞬だけきょとんとして、「星を掬ってるのよ」と笑い出した。 海に落ちた星明かりは彼女に吹かれて空に舞い戻り、太陽が昇る頃にはすっかりいつもの水面に戻っていた。

2017-11-07 15:17:56
蝙蝠 @koumoli

もう何年も雨が降っていないという土地だった。井戸は涸れ、川は消え、海は遥か遠く、人々は多大な労力をかけて水を買いに行くのだと言った。 水神様のお気に入りの娘を贄に差し出した時は、稀に見る豪雨だったのに。 不思議そうに語る住民たちにかける言葉は無く、私は黙って哀れな恋物語を偲んだ。

2017-11-07 15:33:14
蝙蝠 @koumoli

ある国で出会った予言者の言葉は、絶対に覆せないと評判だった。若干の不安とは裏腹に、好々爺が放ったのは「3日後にとても美味しいご馳走にありつける」という可愛らしい予言で、安心した私は笑顔で握手を交わした。 それから3日後、偶然大富豪を助ける事になるのは、また別のお話。

2017-11-08 12:44:52
蝙蝠 @koumoli

闇色の肌をした住民達の体には、額から爪先に至るまで真珠色の紋様で彩られていた。なんでも生まれつきらしく、化粧や刺青とは全くの別物らしい。まだ若かった私が由来や仕組みをしきりに訊ねてしまい、「全てに理屈を求めるなんて浪漫の無い人ね」と窘められたのは、今思い出しても赤面の至りである。

2017-11-08 18:04:40
蝙蝠 @koumoli

セルロイドやビニール製の住民が住む玩具の町では、涙を真似るのが流行っていた。目の縁に切れ目を作り、花びらを零す者、色砂を溢れさせる者、シーグラスの欠片を流す者など、技巧を凝らした感情が降り注いだ。 「僕らの涙で、人を笑顔にしたいんだ」 そう泣いた彼の目からは、金平糖が落ちてきた。

2017-11-08 18:53:10
蝙蝠 @koumoli

好きな夢を生成してくれる機械の体験が出来るというので、早速「楽しい夢」を注文したところ、店員さんに「ファンタジックな夢」の方が良いと強く勧められた。 結論として、やはり人の忠告はしっかり聞くものである。何故って、空を飛べない度に、この世界が夢ではないと確信出来るのだから。

2017-11-09 00:07:12
蝙蝠 @koumoli

どんな時間のどんな場所でも、確実に郵便を届けてくれる配達人の村があるという寝物語を聞いたことがあった。もう何年も前の話で、そんな村の存在など今の今まですっかり忘れていたのだが、旅人用の超割増料金で届いた父からの誕生祝いに、受領サインがほんの少しだけ滲んで溶けた。

2017-11-09 00:44:56
蝙蝠 @koumoli

その国では食葬が最もポピュラーだった。 ハムスターのフライ、文鳥の唐揚げ、犬のステーキ、人間の生ハム。老いも若きも人も畜生も、分け隔てなく胃袋の中に収まっていく。 「美味しくない、は最高の褒め言葉よ」 そう差し出された老人の薫製はやたらと堅く、遺族と共に1つの生を噛みしめた。

2017-11-11 02:19:36
蝙蝠 @koumoli

「常識的に考えて常識に則るのが常識」「旅人に常識がないのは常識だけど」「何が常識かって?人に訊く前に自分で考えるのが常識というものだ」「分からない事があるならすぐに訊くのが常識だよ」「君と僕の常識が違うのは常識じゃないか」 ……以上が、常識の国で会った1人の男の常識的な発言である。

2017-11-11 02:42:36
蝙蝠 @koumoli

人に化ける人外の話を聞いた。 奴らを殺さねばならぬと聞いた。 どうやって見分けるのです?と、私は訊いた。 人外の目は暗闇でも光って見えると、金の目を持つ女は言った。 「だからこの街の人々は、決して夜に出歩かないの」 静かな静かな夜の街は、光の為に戦っていた。 そこに種族は関係なかった。

2017-11-11 03:56:19

生きていたのだ、確かに
111.食材の森
112.看板街
113.なきごえの村
114.怪物岬
115.透明人間の国
116.石花の畑
117.命の国
118.無痛の街
119.取り替え子
120.失われる国

蝙蝠 @koumoli

つい先程、これまでに見たことのない二足歩行の獣と出会ってしまった。120cm程度の毛むくじゃらは、白目のない瞳で私を睨みつけ、予想を遙かに上回る身体能力で飛びかかってきたのだ。 そのせいで彼女(睾丸が無かった)は現在鍋の具材になっているのだが、人間とは異なる味がして一安心である。

2017-11-13 00:53:38
蝙蝠 @koumoli

どこを見渡しても看板看板、看板の山。ビルの壁を全面使った超大型から、数センチのミニ看板まで色も形も千差万別。なんと全て手作りで、一つとして同じ物は存在しないらしい。 昼に寄った喫茶店では、メニュー代わりに壁や天井に看板が掲げられ、私は悩んだ末に猫が描かれたコピ・ルアクを指さした。

2017-11-13 01:23:04
蝙蝠 @koumoli

村の中心部で奇妙な生物が殺処分を待っていた。訳を聞くと、その生物の鳴き声に人の動きを止める力があるからだと説明された。 刃が振り上がる瞬間、それは「パパ」と鳴いた。 刃が首を薙ぐ直前、それは「ママ」と泣いた。 こう鳴けば人が怯むと学習していたのだろう。あまりに哀れな威嚇の声だった。

2017-11-13 07:16:11
蝙蝠 @koumoli

一度だけ、食事でも戦闘でもなく命を奪った事がある。 やけに親切だった海辺の町を出る日、岬の怪物を殺さないと朝食に盛った毒でお前は死ぬと脅されたのだ。 この話を聞いた怪物は「わたしの死を悼む人がこの世にいたなんて」と私を優しく抱きしめた。涙越しに見た彼女の顔は、ただ穏やかに笑っていた

2017-11-13 07:55:08
蝙蝠 @koumoli

寂れて滅びるのみと思った透明人間の国が、話題騒然らしい。 起死回生をかけ、スタイルに自信のある十数名が新進気鋭のデザイナーにかけあい、ファッションショーを行ったのがきっかけだという。 かつて見向きもされなかった小国は、今や世界中のクリエイターの心を掴んで離さない。

2017-11-13 17:00:47
蝙蝠 @koumoli

石の花咲く土地だった。灰色をした植物たちは死んだように動くのをやめ、どんな強風でも倒れなかった。 蛇の頭をした少女は、花が好きだと泣いていた。ブーケがほしいと私に言った。けれども固い石化の茎は、私の力では手折れなかった。

2017-11-13 23:47:15
蝙蝠 @koumoli

生命力が溢れ出す奇病に悩まされている国があった。この病に罹った者が歩くだけで土には草木が生え、触れれば花が咲き、凡ゆるものに活力が満ちた。 何をしてもしてなくとも、眩い命は大地に流れ、国だけが無限に潤っていく。 絶望的に美しい国で出会った友は、私に命を預けた後、静かに眠りに就いた。

2017-11-14 23:33:04
蝙蝠 @koumoli

あの街で事故に巻き込まれたのは、不運か幸運か。 麻酔の無い街では、催眠術によって痛みを消すのが通例だった。 大破した三輪タクシーから引っ張り出された私は、すごい臭いのお香と音程の無い呪文の中でそのまま治療を受ける。青い空を眺めながら、どうか催眠術の効果が途切れないよう必死に祈った。

2017-11-14 23:47:17
蝙蝠 @koumoli

レストランで昼食をとっていると、突如子供の大泣き声が響き渡った。思わず振り返って様子を見るが、母親は慌てもせず電話を取り出し「新しい子供を連れてきてちょうだい」と注文する。 数分後、スーツ姿の男達が同じ年頃の子供と泣いてる子を取り替えると、何も無かったかのように平穏が再開された。

2017-11-15 00:15:47
蝙蝠 @koumoli

記憶から消える国の情報を探しています。 確かに訪れたはずなのです。蒼穹の海と御伽郵便の間に、日記が残っていますから。 楽しかった、嬉しかった、もう一度行きたいと、何度も書いているのに、記憶が欠けているのです。 右側が消えたこの写真に、一体誰が写っていたのか、何も思い出せないのです。

2017-11-16 00:36:58

歴史を眺めて
121.強欲の国
122.竜の崖
123.鳥の国
124.引き潮の島
125.上限の国
126.秘密の友人
127.睡眠都市
128.平凡な街
129.レッテルの国
130.非道国家

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