「経済学的な家族ツイート」まとめ　その３９

本の虫（本体） @honnomusi

経済学的な醜いアヒルの子(part3)1:警官に連れられ、交番で保護されるブス子。小太りの警察官が温かいお茶とタオルをブス子に渡す。 警察官「・・・大丈夫かい？服を乾かさないとね。今ストーブをつけるよ。」 いそいそとストーブのスイッチを押す警察官。 ブス子「・・・すいません」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)2:警察官「でも、どうしたんだい？あんな雨の中、傘も差さずに一人で立ち尽くして。」 ブス子「・・・」 警察官「・・・あ、話したくないなら別に無理にとは言わないけどね。」 警察官は自分のお茶を飲む。二人の間に沈黙が流れる。

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)3:ポロポロと涙をこぼすブス子。狼狽える警察官。 警察官「あっ、あれ？ごめん、お茶嫌いだった？だったらコーヒー入れるよ。まだコーヒー豆が残ってた筈だから・・・」 ブス子「・・・いえ、違うんです・・・」 これまでの経緯を話すブス子。

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)4:警察官「そうか、それは・・・辛かったね・・・」 ブス子「どんなに頑張ろうと思っても、見た目のせいで同じ土俵にすら立てない。そう思ったら、凄く虚しくなって・・・」 警察官は下を向き、しばしの沈黙の後、口を開く。

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)5:警察官「・・・分かるよ。その気持ち。」 顔を上げるブス子。 警察官「僕もね、見ての通りこんな体型だから、昔からクラスメイトにバカにされてたんだ。デブだ、油の塊だ、近寄るなってね。小さい頃はそれが悔しくて、陰で何度も泣いてたよ。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)6:警察官「そんな生活が変わったのは、一冊の本に出会ったからなんだ。」 警察官は手元から本を取り出す。 警察官「『五体不満足』生まれつき両手・両足がない、乙武さんの人生を綴った本だ。テレビでこの人見たことはある？」 ブス子「ええ、少しだけ・・・」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)7:警察官「この人が凄いのはさ、両手両足がないことを自分でネタにしちゃうことなんだよね。しかも底抜けにポジティブなんだ。一時期はスキャンダルで世間を騒がせたこともあったけど、結婚もしてたし子供もいる。」 ブス子「・・・」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)8:警察官「その様子を見て気づいたんだよね。他の人から欠点と見られるようなことでも、前向きに明るく笑い飛ばしてやれば、意外と周りもそのことをバカにできないんだなって。」 警察官「そこからは頑張って身体を鍛えて、『動けるデブ』を目指すようになったよ。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)9:警察官「今では、鍛えた身体のお陰で、警察官としてみんなの生活を守ることができている。この身体に産んでくれた親に感謝してるよ。」 警察官「面接に落ち続けるのは、確かに辛い。自分の全てを否定されたような気になる。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)10:警察官「でも、そこを乗り越えたらいつかその気持ちは感謝に変わるよ。だから、自分を憎まないで。挫けそうになったら、一休みすればいいんだよ。それに・・・」 警察官は笑顔でブス子を見る。 警察官「君は自分のことをブスだと言うけど、僕はそうは思わないな」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)11:ブス子は顔を真っ赤にする。 ブス子「あっ、あっ、ありがとうございます・・・」 慌てふためくブス子。微笑む警察官。ブス子も微笑みを返す。 ブス子「そうですよね。これぐらいで、へこたれてる場合じゃないですよね。私、また頑張ってみます。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)12:警察官「ああ、また辛くなったら、いつでもおいで。」 就活を再開したブス子。面接、筆記試験、OB・OG訪問を目まぐるしく繰り返してゆく日々が続く。そして・・・ 採用担当者「おめでとう！君に、うちの内定を与えます。」 ガッチリと握手を交わすブス子。

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)13:建物を出た瞬間、飛び上がって喜ぶブス子。 声「あら？ブス子じゃない」 ブス子「あれ？お姉ちゃん！ねぇねぇ、聞いて、私ね・・・やっと内定が貰えたの！」 姉「えっ、本当に？！おめでとう！」 ブス子は姉の横に目をやる。 ブス子「・・・そちらの方は？」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)14:姉「ああ、そういえば言ってなかったわね。紹介するわ、今お付き合いをしている、〇〇さんよ。」 彼氏「はじめまして。」 会釈するブス子。 彼氏「ごめん、注文してたスーツを取りに行ってくるよ。ちょっと待っててくれるかな？」 姉「ええ、いいわ。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)15:ブス子と姉はベンチに並んで座る。 ブス子「姉さん、あの人って、こないだの不倫してるっていう・・・」 姉「ああ、彼とはね、別れたの・・・」 ブス子「え？！」 姉「ずっと2番でもいい、と自分に言い聞かせてたんだけどね。耐えきれなくなっちゃった。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)16:姉「しばらくは何も手につかないほど落ち込んでたけど、中学からの同級生だった彼と出会ってね。猛アタックを受けて、最後は根負けしちゃった。」 姉「『七年間ずっと、好きでした』だってさ。信じられる？青春真っ盛りのときに私のことばかり想ってたんだって」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)17:ブス子(女性のパートナー選びの基準について、ある興味深い実験がある。女性たちにイケメンの金持ちとイケメンの貧乏人の写真を選ばせるというものだ。結果は、イケメンの貧乏人のほうがより多くの支持を獲得した。)

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)18:ブス子(意外にも思えるこの結果だが、経済学的にはちゃんと説明ができる。彼女たちは経済的な豊かさよりも、「浮気をされる恐れが少ないこと」を重視したのだ。)

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)19:ブス子(人の価値観は日々変わってゆく。姉は、過去の辛い経験から、「自分だけを見てくれる人」により重きを置くようになったのだろう) ブス子「・・・お姉ちゃん、今、幸せ？」 姉はニッコリと微笑む。 姉「ええ、幸せよ。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)20:姉「ブス子にも、この気持ち味わってほしいわ。」 彼氏が戻ってくる。二人で寄り添いながら帰るのを、ブス子は手を振りながら見送る。 ブス子は目を閉じる。脳裏に、小太りな警察官の顔が浮かんだ。目を開け、ブス子は決意を秘めた目で歩き始める。

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)21:警察官「おや？君は確かこないだの・・・」 ブス子「お陰で、内定をいただくことができました。あの時のお礼をと思いまして。」 ケーキの入った箱を手渡すブス子。 警察官「すいませんねぇ、ご丁寧に。おお、美味しそうだ。こりゃまますます太っちゃうなあ。」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)22:ブス子(人と人を繋ぐのは、小さな貸し借りの積み重ねだ。ある時には物を、またある時には労働力を提供し合いながら、人類は今日に至るまで経済を発展させてきた) ブス子「これ、試しに作ってみたクッキーです。作り過ぎて余っちゃったので、もし良ければ ・・・」

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)23:ブス子「旅行先で買ったお守りです。」 警察官「いやぁ、いつもいつも貰ってばかりで悪いね。そうだ、今度町内でお祭りがあるんだ。自分も見張り役として行く予定なんだけど、もし良ければ行かないかい？」 祭りで楽しげに談笑する二人。

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)24:交番で話をし、周りから冷やかされる二人。手を繋ぎながら、街を歩く二人。夜遅くにカフェで語り合いながら、笑い合う二人。 協会の前、花吹雪が舞う中、笑顔で寄り添いながら歩むブス子と警察官。ウェディングドレスに身を包んだブス子は花束を放り投げた。

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経済学的な醜いアヒルの子(part3)25:ブス子と警察官は、旅館で手を取り合いながら外で夜空を見上げていた。 警察官「後悔してないかい？こんな僕と一生添い遂げることになって」 首を横に振るブス子。 ブス子「あなたと出会わなかったら、私はずっと自分の容姿を憎みながら生きてたわ。」