アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡を巡る旅、蒼天航路20話脚本:「男」から「龍」へ
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カイジが好きというだけで始めてしまった、カイジのシリ構、高屋敷英夫さんの歴史を追うシリーズの続きやります。 今回は、蒼天航路20話脚本。 前回は同作13話脚本。 ブログ: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/01/… 上記ブログ関連ツイートまとめ: togetter.com/li/1194061 他: togetter.com/id/makimogpfb
2018-02-04 14:10:27高屋敷氏脚本蒼天航路20a アニメ・蒼天航路は、曹操の生涯を描いた同名漫画のアニメ化作品。高屋敷氏はシリーズ構成も務める。 監督は学級王ヤマザキや頭文字D4期などを監督した冨永恒雄氏。 総監督は、バイファムやワタルなどのキャラクターデザインで有名な芦田豊雄氏。
2018-02-04 14:12:15高屋敷氏脚本蒼天航路20b 今回も配信終了が迫っていたため、詳細はブログにまとめました: 蒼天航路20話脚本:「男」から「龍」へ - カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡 makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/02/… #はてなブログ
2018-02-04 14:14:24高屋敷氏脚本蒼天航路20c 話は、 ・将として楽進(がくしん)が、軍師として荀攸(じゅんゆう・筆頭軍師、荀彧の甥)が曹操軍に加わる。 ・反乱を起こした張繍(ちょうしゅう)と、その軍師・賈ク(かく)と、曹操の知略合戦 ・呂布軍と劉備(現在、曹操陣営)軍との戦い ・劉備達が呂布に下る までが描かれる。
2018-02-04 14:23:13高屋敷氏脚本蒼天航路20d 新キャラの楽進は、高屋敷氏脚本参加の、忍者戦士飛影のダミアン(画像1)に雰囲気が似ている(高屋敷氏はダミアン初登場回の脚本を書いている)。 同じく新キャラの荀攸は、高屋敷氏が得意とする、頭が切れる可愛いおじさん枠(画像2・ルパン三世2ndとの比較)。 pic.twitter.com/arIavAUngF
2018-02-04 14:30:59高屋敷氏脚本蒼天航路20e このような、作品も年代もスタッフも違うのに、どこかシンクロを感じる感覚は、近年の作品になればなるほど強くなる。 それだけ、高屋敷氏の積み上げた経験が、新しい作品になればなるほど、多く反映されているからだと思う。
2018-02-04 14:34:47高屋敷氏脚本蒼天航路20f 前半は、張繍軍の軍師・賈クと曹操の知略合戦が繰り広げられるわけだが、賈クの、テンポ良く名調子の長モノローグは高屋敷氏の得意分野。長モノローグでも緊張感が持続する手腕は、近年の名脚本・カイジ2期7話を思わせる。 賈クは曹操に、班長はカイジに、知略戦にて敗北する pic.twitter.com/9klEpC8RIT
2018-02-04 14:41:24高屋敷氏脚本蒼天航路20g 後半は、徐州での曹操・劉備軍と呂布軍の戦いが描かれるが、劉備の無邪気さが強調されている。無邪気さを描写するのも、高屋敷氏の特徴。 同じく特徴である、食いしん坊描写も発揮されている。画像は、監督作忍者マン一平・新ど根性ガエル脚本(コンテ疑惑もあり)との比較。 pic.twitter.com/XevgVHmPZG
2018-02-04 14:48:11高屋敷氏脚本蒼天航路20h 完成映像が過去作・未来作とシンクロしてくる怪現象が今回も見られた。 画像は、元祖天才バカボン・ルパン三世2nd演出コンテとの比較。他の演出・脚本作でも、太陽を絡めたビジュアルは多数あり、太陽を重要キャラと捉えるこだわりが感じられる。 pic.twitter.com/fPzZw9Tdhw
2018-02-04 14:54:10高屋敷氏脚本蒼天航路20i また、劉備軍の関羽と、呂布軍の張遼(ちょうりょう)の一騎討ちも、ベルばらコンテ、忍者戦士飛影脚本などと雰囲気が似てくる。勝敗がつくも、止めを刺さない展開も同じ。今回は関羽が張遼に勝つ。 pic.twitter.com/Jy2ZIY3Da0
2018-02-04 14:59:58高屋敷氏脚本蒼天航路20j 終盤は、劉備が関羽・張飛と共に呂布に下る。 劉備は、今まで狂戦士だった呂布が「将」の顔になっていることに驚き、警戒する。 ラストでも曹操が、人を率いる「将」となった呂布に興味を示し、この目で彼を見たいと言い出す。 豹変や成長を描くのも、高屋敷氏の大きな特徴。 pic.twitter.com/XhIixnKjyA
2018-02-04 15:09:45高屋敷氏脚本蒼天航路20k 今回の見所は、名調子なモノローグで展開される、賈クとの知略戦と、呂布の、狂戦士から将への「成長」。特に「成長」に関しては、本作通しての構成の主なテーマの一つなのではないか?と思えてきた。
2018-02-04 15:15:43高屋敷氏脚本蒼天航路20l 高屋敷氏は、少年・青年が男になるまでを、多くの作品で描いてきた。 ・少年から男へ:家なき子最終回演出、はだしのゲン2脚本など ・青年から男へ:めぞん一刻脚本・最終シリ構、カイジ脚本・シリ構など 本作は、それに加えて、男が将に、将が龍になるまでを描いていると感じる
2018-02-04 15:21:11高屋敷氏脚本蒼天航路20m アカギ(脚本・シリーズ構成)でも、静かにアカギが「変わっていく」様を描いていると思える。生きることにも、死ぬことにも興味がなかったアカギが、色々な人間と麻雀を通して出会い、最終回では鷲巣の本質をつきとめたいと思うようになる様が、かなり強調されている。
2018-02-04 15:25:57高屋敷氏脚本蒼天航路20n 蒼天航路では、原作通りだが、天下にその名を轟かす者は「龍」に喩えられ、その者が死ぬと、魂が龍となり天に昇る。 呂布は「俺は龍になる」と宣言しており、そのために「成長」している。 それ以前では孫堅や董卓が、死した後に龍となり、昇天している。
2018-02-04 15:32:12高屋敷氏脚本蒼天航路20o これらの事から考えるに、高屋敷氏は、本作の構成の主軸の一つとして、「一人の男が、“龍”となるまで」を挙げているのではないだろうか。呂布が「龍になる」と宣言したのは、シリーズ丁度半分の13話(高屋敷氏脚本)である。この13話は、死した董卓が龍となり昇天した回でもある
2018-02-04 15:39:09高屋敷氏脚本蒼天航路20p 今回の前半では、兵から将となった楽進の、「成長の始まり」も描かれている。三国志の筋では、楽進はその後、曹操軍の猛将として大活躍することになる。 後半では、前述の通り呂布の成長・変化が描かれている。 これをまとめると、「成長」というテーマが見えて面白い。
2018-02-04 15:46:42高屋敷氏脚本蒼天航路20p めぞん一刻の脚本・最終シリーズ構成で、「青年から(誰かを支えることのできる)男への成長」が描かれていたことには驚かされたが、本作では、そこから更に踏み込んでの「成長」が描かれていることにも驚かされている。シリーズ構成の主軸の一つが見えた回だった。
2018-02-04 15:51:55