それでもわたしは生きている-宇治十帖評

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KUNILABO @kunilabo2016

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2018-01-15 22:56:28
くろきさん @ya_krk

次のKUNILABOで個人的に受けたいのは、『源氏物語』の原典講読。なかなかない機会。しかも、宇治十帖なんて胸熱。アツすぎる。

2018-01-16 12:32:54
くろきさん @ya_krk

というわけで作りました。実はポスターもうひとパターンあるのですが、それは多分公式でお目見えするかと思うので、こちらを。華やかでドラマティックな光源氏時代もいいのですが、宇治十帖の静かで激しい人間の心模様を味わうとやみつきになります。(個人的感想) pic.twitter.com/OeMPOBkiq8

2018-02-02 09:16:03
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くろきさん @ya_krk

個人的には、すごく不躾な願望ですが、いつも興味深すぎる古典ツイートをされているたらればさん (@tarareba722)がどのように宇治十帖を読まれるのかが気になって仕方ないです。

2018-02-02 09:19:03
くろきさん @ya_krk

源氏物語って、若菜からが本当に面白いと思ってて、そしてその延長線上に続く宇治十帖は、若菜以降のテーマをうまく引き継ぎながらも、絶妙に変奏している。浮舟がその後どうなるのか分からないラストも良い。「開かれたラスト」と言えばそうだし、浮舟は結局漂い続ける舟なのだとも言えてしまう。

2018-02-02 09:30:15
たられば @tarareba722

宇治十帖に関しては、以前からいくつかリクエストがあったので、つらつらと少しだけ書いてみます。

2018-02-02 13:13:21
たられば @tarareba722

『源氏物語』の宇治十帖(最終パート)は、本編に比べてとっつきづらいと感じる人が多いと思うんですよね。それはやっぱり、前半部44帖と比べると華やかさだとかドラマチックさだとかが収まって、登場キャラも各シーンも、どちらかというと地味に見えることが大きいのだと思います。

2018-02-02 13:13:56
たられば @tarareba722

ただ、前述のように比較的地味で陰険なイメージが漂う世界観だからこそ、「あー、紫式部が本当に書きたかったのはこっちなんだろうな」とも思っています。 というのも、当時の紫式部の置かれた環境、特に彼女の「死にそびれた」という感覚を踏まえると、宇治十帖はより味わい深く読めるんですよね。

2018-02-02 13:14:34
たられば @tarareba722

以下、説明します。 何度か書いていますが、紫式部はおそらく幼い頃に母親を亡くしています。歳の近い姉も亡くし、その姉代わりとして親しくしていた同性の友人も亡くし、熱烈なアプローチを受けて結ばれた年上の夫を結婚後わずか3年で(幼い子を遺して)亡くしてのち、『源氏物語』を執筆しています。

2018-02-02 13:15:24
たられば @tarareba722

そうしてまた、宮中では(清少納言が仕えた)中宮定子が24歳で亡くなり、夫である一条天皇も31歳で亡くなった。『枕草子』以降、清少納言は何も言葉を発しない。それでもわたしは生きている。わたしの主人・藤原彰子様も生きねばならない。そういう状況で何を書き残すのか。彼女は自問したはずです。

2018-02-02 13:17:05
たられば @tarareba722

こうした紫式部(と主人である藤原彰子)の置かれた状況は、光源氏も紫の上も亡くなった、弘徽殿女御も桐壺帝も朱雀帝も藤壺も頭中将も朧月夜も玉鬘も柏木も花散里もいない、それでも「人の営み」は続いてゆくという、宇治十帖の世界観ととても似ていると思うのです。

2018-02-02 13:18:35
たられば @tarareba722

それらを踏まえて読むと、宇治十帖のあの、薫、匂宮、浮舟たちの生き方、どちらかというと地味で陰険で、見苦しくのたうつように見える生き様に、違った味わいが出てくるのではないでしょうか。

2018-02-02 13:19:13
たられば @tarareba722

見苦しくても、みっともなくても、生きよう。 この感覚は、「人生が哀しみに満ちていても、それでも世界は美しい」というテーマを持って『枕草子』を執筆した(そして若くして亡くなった中宮定子に捧げた)清少納言とは対極にある考え方だと思っています。人生は哀しみに満ちている。そのとおりだ。

2018-02-02 13:20:05
たられば @tarareba722

そして、たとえ世界が美しくなくなったとしても人は生きるのだ。哀しみも苦しみも、愛しい人も優しい人も、味方も敵も消え去って、美しささえ失われたこの世界であっても、自分の足で立って生きてゆくのだ。 わたしは宇治十帖で、紫式部がそう叫んでいるように思えるのです。(了

2018-02-02 13:20:48
くろきさん @ya_krk

まさか自分の願望がこんなにすぐに叶うと思わず、呆然としておりますが…宇治十帖の魅力はこの最後のツイートに尽きると私も思います。そのテーマをゆらゆらと揺蕩う小舟のような浮舟に生きさせてみたところもポイントだと。たらればさん、ご丁寧にありがとうございました。 twitter.com/tarareba722/st…

2018-02-02 13:41:03
neofreudian@はてなブログ @neokleinian

@tarareba722 本当に今朝、角川の初心者向けを読了した所で、読み込んでもいない私が言うのも恐縮です。が、前半はおとぎ話的、後半の方が現実味を持って迫ってきました。式部自身が宮廷や、貴族のあり方に幻滅した。というにはあまりにも印象が異なり、別人が書いた説に一票。が今回の感想でした。

2018-02-02 15:06:03
うに @uCqZ8wXah601RTB

@tarareba722 @coral_1104 紫式部の記憶には美しいものがたくさんあふれていたと思います。誰にも奪えない、消せない記憶は、彼女を支えていたもののひとつかも知れませんね。わたしもいつか、美しいものが見れなくなるかもしれません。大切な人を失うかもしれません。だから、今、この日々を大事にいきます😊

2018-02-02 19:59:14
takako_1104 @coral_1104

@uCqZ8wXah601RTB @tarareba722 不確実なものだからこそ、美しいのかもね。儚さを謳う歌があって共感するのは意識しないところでそれを知ってるからかな。

2018-02-03 21:17:21
うに @uCqZ8wXah601RTB

@coral_1104 なるほど〜〜(`・∀・´)納得です‼️歌は読まないし、お話しも作らないけど、確かに誰もが知ってるのですね。

2018-02-04 00:38:05
うに @uCqZ8wXah601RTB

@coral_1104 しかも偉そうなこと言って、今日もわたしの生き方、ガサい‼️

2018-02-04 00:46:49
いづみ @izmi1013

@tarareba722 外からいきなり失礼します。宇治十帖は人間は悩みながらそれでも生きねばならない、ということを書ききったというご指摘、強く強く同感です。薫や浮舟の悩みは近代人の孤独にも通じると思ってます。その意味で宇治十帖は早すぎた近代小説なのかもしれません。

2018-02-03 16:31:20
まるこ @maruco_za

@tarareba722 たらればさんの考察、好きです。学生時代、源氏物語の世界にひたり、本と向き合っていた時間が当時の図書館の匂いとともによみがえってくる気がします。懐かしい。大人になった今だからこそ、再読したら楽しいだろうなあ。

2018-02-03 23:32:37
TheCatInTheMoonlight @minorihearts

@tarareba722 Twitter上でこれほど充実した宇治十帖考察が読めるとは。そうですね、突き抜けて爽快な枕草子に対し、源氏物語本編以上に重苦しい宇治十帖は異次元の世界観です。学生のころは理解し難かった浮舟も、この歳になってしみじみ『あはれ』と胸に迫ってきます。千年読み継がれる理由があるのですね。深謝。

2018-02-04 01:50:58