備忘録:物々交換、経済の起源、貨幣に関して

KYさんとの意見交換まとめ
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

経済(交換経済)から貨幣が生まれたのか、貨幣の発生によって経済勃興の基礎が用意されたのか、この理解の差は極めて重要です。 最近の歴史研究から分かっていることは、少なくとも一般的な意味での経済は、貨幣(計算貨幣、貸借関係の数的整理手段)の発生の「後」に発生しているということです。

2018-02-06 16:28:51
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

俗説的理解では、経済(交換経済)発生→貨幣発生→貸借発生となっているわけですが、これは考古学的・歴史学的研究からは全く転倒した理解だという事です。 歴史上確認されている経済は、貸借発生→貨幣発生→経済発生という形で生まれているのです。「物々交換から発展した経済はない」のです。

2018-02-06 16:30:30
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru それは黒曜石流通など史前流通の形態が明らかにならないと言い過ぎという懸念はありますね

2018-02-06 16:35:33
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog 「物々交換から貨幣が生まれたという事例はもちろんのこと、純粋で単純な物々交換経済の事例さえ、どこにも記されていない。手に入れることができるすべての民族誌を見るかぎり、そうしたものはこれまでに一つもない」byキャロライン・ハンフリー  これくらいのことは言って良いのでは。

2018-02-06 16:40:32
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru 「物々交換から貨幣が生まれた証拠はない」はOK。「物々交換の事例さえ、どこにも記されていない」に対しては、まず文字記録が残らない時代に流通が存在していたしていた証拠は存在するので、その言では「お前が文字記録しか調べないから悪い」で終わってしまうのでNG。

2018-02-06 16:44:11
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog 物々交換と、物々交換経済は厳密に違います。 私の連ツイにも書いたんですが、物々交換は実際にあったわけですが、それが(少なくとも現代的な意味での)経済ないし経済活動として広範に採用されていたわけではありません。古代貨幣史・古代経済史の研究者の言い回しにはそういう意味合いがあるかと。

2018-02-06 16:48:40
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru そういう言い方をする場合、全生産に対する流通量・交易量が緩やかに増えてきた(分業化が徐々に進行した)という観点を入れたほうがいいでしょうね。税の物納から貨幣納入への移行とか、その切り方だと切りにくい問題が多くて永久に突っ込みどころを残す気がします。

2018-02-06 16:57:45
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog 申し訳ないですが ①「全生産に対する流通量・交易量が緩やかに増えてきた(分業化が徐々に進行した)という観点を入れたほうがいい」のが何故かわかりかねます。 ②「税の物納から貨幣納入への移行」が「切りにくい問題」である理由がわからないです。

2018-02-06 17:04:20
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru 「(少なくとも現代的な意味での)経済ないし経済活動」というものの定義が不明瞭だからですね。朝貢貿易(完全な物々交換)は該当するか?朝貢貿易に付随して行われた私貿易(多くの場合貨幣を挟む)は該当するか?私貿易の拡大した勘合貿易は該当するか?など定義が面倒だと感じましたんで。

2018-02-06 17:39:50
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog KYさんが奇しくも「貿易」を例示されたのは偶然ではないと思います。 それはtwitter.com/motidukinoyoru…で挙げたような理解と食い違うどころか、むしろ整合的と思われるからです。

2018-02-06 17:42:20
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

では、物々交換はどこで行われていたかというと、経済と経済の”間”で行われていました。バーターの語源が「騙す」であることかも察することが出来るように、物々交換は、共同体経済の「外」と行う、リスキーな取引であり、経済(共同体経済)に対して付属的に存在するものでした。

2018-02-06 16:32:45
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru 考古学的証拠から今でいう村が昔のクニであり、縄文・弥生の考古学的なクニ(今の村、ないし血縁共同体)間の流通の証拠を「貿易」と呼んでもいいけど今のサイズ感からならそれは日常経済に含まれてしまうので、なあなあにしておいたほうが無難と思いますよ。

2018-02-06 17:46:44
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog 異なる”経済”は、分断されているがゆえに(経済社会として統合されていないがゆえに)物々交換という特殊形式を必要とするわけですね。 これを物々交換抜きで接続するには、為替取引(為替市場)や基軸通貨の設定といった外部的なインフラが必要となります。

2018-02-06 17:50:29
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru 境界線を引いてこれとこれは異なると明示できる「経済集団」を定義づけようとするのは困難だからやめておいたほうがいい、ということです。江戸期はコメをどう扱うかとか、アイヌとの間で交換比率を定めた物々交換をやってたとか(文字記録あり)、

2018-02-06 17:54:45
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru かといってシャクシャインの戦いの原因になった刀鍛冶のやり取りのように普通の経済活動も混在してたとか、物々交換と貨幣経済の線引きをしようとするとめちゃめちゃ面倒です。

2018-02-06 17:55:39
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog アイヌが絡んでくる時点で、やはり「外部との取引」問題に集約されてしまいそうに見えてしまうのですが、ひょっとしてハンフリーやグレーバーに対する学術的なオルタナティブ・ビューがあって、それをKYさんは参照しているということですかね? もしそうなら、「元ネタ」の方を教授していただけると。

2018-02-06 17:58:51
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru 間違えた、コシャマインの戦い→個人間の取引の諍いが発端、シャクシャインの戦い→公的・大規模な物々交換の交換レートをめぐる諍いなので、「外部」なのか「個人間の取引」なのか境界線を引くのが非常に面倒。

2018-02-06 17:59:48
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru 江戸期のアイヌとの交易は大規模な物々交換(そちらの定義で言う外部との取引)と、相互のメンバーによる貨幣経由を含む個人的経済活動が混在してます。これは歴代中国王朝と北方遊牧民の朝貢貿易・私貿易でも同じようなことが言えますし、世界中探したらきりがないです

2018-02-06 18:02:35
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog 物々交換だと、まさしくレートの問題で争いに発展しがちなので、日常的な経済取引の基本手段として物々交換が用いられるということはなかった(経済の勃興と発展は、物々交換以外に基礎づけられざるを得なかった)という意味で、fknews-2ch.net/archives/20170…で引用した理解をむしろ補強しそうな話ですね。

2018-02-06 18:03:40
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru 貨幣を込みにしても交換レート・貿易不均衡の解消を目的に戦争を起こした例はアヘン戦争やらナポレオン時代の大陸vs英国の戦争などもあり、その定義だとどう位置付けるのが困難になるでしょう。

2018-02-06 18:06:12
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog それは(KYさんが期待するのとは逆の意味で)面白い問題提起です。 同じ貨幣経済に包摂するのではなく、何らかのレートを設定する時点で、既に物々交換に類比できる問題が発生してくると……変動為替レートは、うまく活用できれば、それを緩和する枠組みとなってくるのかも。

2018-02-06 18:10:11
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog あと、KYさん好みの文言を持ってきましたがいかがでしょう? 「われわれが信頼できる情報を持っている過去の、あるいは現在の経済制度で、貨幣を使わない市場交換という厳密な意味での物々交換が、量的に重要な方法であったり、最も有力な方法であったりしたことは一度もない。」byジョージ・ドルトン

2018-02-06 18:11:03
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru その場合、流通や公務員の給料のほとんどを貨幣を経由しない物納が占めていた租庸調をどう理解するか、というのがまた面倒ですね。もっとも、その時代から種もみをやり取りする貸借契約はあったわけですが。ただ、債権の流通は限られていた。

2018-02-06 18:14:47
ショーンKY @kyslog

@motidukinoyoru とりあえず境界線を設定せずに濃淡で表現したほうが破綻が少なくなるのは確実と思います。そのうえで濃度を議論されたほうがよろしいかと

2018-02-06 18:16:38
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog むしろ租庸調は好例かもしれません。 というのは、政府が租庸調を通じて米や布を租税手段として定義することを通じて、当時の市場経済は米と布を通貨として取引が行われていたからです。(例のごとく、こうした米と布を純粋な物品貨幣とみる向きもありますが、浅薄と思います。)

2018-02-06 18:35:17
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@kyslog 話が逸れますが、当時発行していた和同開珎は、うまく(租税etcの)最終需要を設定することが出来ず、あまり広範に流通せず終わったという話がありますね。

2018-02-06 18:36:31