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帽子男 @alkali_acid
おしとやかだった幼馴染のあの娘が部族化して投げ槍で大型獣をしとめてるんだけどどうすれば。
帽子男 @alkali_acid
ある日異世界が転生してきた。
帽子男 @alkali_acid
異世界が転生してきた。 何が起こったかというと、異世界が丸ごと現代の世界に転生してきた。 むこうの世界の慈軸がこちらとずれていたり、惑星の質量がわずかに違ったり、そのほかもろもろで端的に言うと、まず衛星まわりが全部だめになった。 地上の送電、通信網とかもだいぶひどい。
帽子男 @alkali_acid
発電所はみんなあれした。 それからなんかでかいのが来た。動物。異世界の動物。多分動物。 とても大きい。重力とか明らかに無視している感じの大きさ。 海中でもそこまでは育たねえよ。みたいな。 一部は電波に引き寄せられた。一部は熱に。一部は二酸化炭素に。一部はただ密集した餌の群に。
帽子男 @alkali_acid
転生してくる異世界としては良い方だったのか悪い方だったのか分からない。 恐らく超低温のガス惑星などが転生してきたら文明どころか生態系がまるごと消滅していたので多分いい方かもしれない。 ただ転生してきた奴等の無双によって国家とか企業とか軍隊とかいったものはおおむね解体した。
帽子男 @alkali_acid
いや寸断した状態で小さな居住区はいくつか残っている。軍隊も師団ぐらいの規模なら孤立して維持できているのかもしれない。電波や熱をあまり出さないようにして。潜水艦などは無事だったかも。でも海に何がでてきたのかはよく分かっていない。
帽子男 @alkali_acid
今や居住区間の行き来はかなり難しかった。 新しい世界は文明人向きではなかった。 だが、そんな環境に順応した人間もいる。本当に人間なのかどうかは分からない。とても敏捷で、剛強で、残酷で、野蛮な”部族”。異世界が転生してくる前にあった伝統社会のパロディみたいな刺青をし槍や弓を使う。
帽子男 @alkali_acid
部族は厳密にはこちらの世界の法則には従っていないように見える。 人間の筋肉は、三階建てのビルの高さに跳躍したりできないし、槍で戦車砲を弾く装甲を持つ大型獣を貫いたりはできない。 あの無双ぶりはむこうの世界の法則に従っているとしか思えない。
帽子男 @alkali_acid
かつて百億いた人類がどのくらいまで減ったのかは不明だが、部族はそれを補うほど繁殖力旺盛だった。ただ科学に興味を示さず、むしろ使う武器や道具も見かけるたびに退化しているようだった。不確かな観測に従う限り弓を操る部族は減ってる。
帽子男 @alkali_acid
もし部族が人類の地を継ぐのだとすれば、それは少なくともかつてあった社会とは別のものになりそうだった。 そんな時代の始まりに少年は生まれた。少女も。
帽子男 @alkali_acid
少年はこれといった特徴はない。いや生きるのに不利な持病もなく、五体満足に育っただけで儲けものか。 少女は賢かった。数学や物理に閃きがあったほか、機械いじりが得意で今は動かなくなった古い車両などを直すこともできた。
帽子男 @alkali_acid
少年は少女が好きだった。もりもり勉強したり働いたりしているのを見ると、大人が言う下り坂の時代が嘘のように思えたからだ。 「モトキ君もちゃんとやって」 「うん」 「しっかりして」 「うんユミちゃん」
帽子男 @alkali_acid
ユミはでも、大人のうけは悪かった。大人が聴いてほしくない質問、忘れたいと思っている問題などを指摘するからだ。 「大型獣の出現はおおむね四周期に一度。なのに備えはぜんぜんない。大人は大丈夫のいってんばり。でも見て」 ユミちゃんが自分でまとめた居住区の備蓄表を見せてくる。
帽子男 @alkali_acid
数字の列。見ているだけで目がちかちかしてくる。 「なにこれ」 「これが砲弾。こっちが燃料。それはドローンのバッテリー」 「ふーん…」 「…ふーんじゃなくて前回の大型獣の出現時の備蓄がこれ、損害がこれ…ね?必要数に達してない。人員が足りないのももちろんだけど」 「ふーん…」 「モトキ君」
帽子男 @alkali_acid
「まじめに考えてよ。このままじゃ皆死んじゃうよ」 「防衛団の大人にまかせよう。専門家がいいよ」 「専門家。前回の出現で軍人としての正規訓練を受けた人の多くが死亡してるの。もう教育プログラムも残ってない。防衛団はほとんど素人が維持管理してるの」 「…そうなの?」 「人事表見て」
帽子男 @alkali_acid
「どうしたらいいの」 「…東七の居住区…一番近いよね。ここになら軍人がいると思う。私達助けを求めに行くべき」 「無理だよ。東七の居住区とは何周期も連絡とれてないし。それにどういう資格でいくの」 「特使」 「行政委員会が許可出さないよ」 「出す。出させる」 「えー…無理だと思うけどぉ」
帽子男 @alkali_acid
出た。ただしユミとモトキは随行員。というか雑用係。 「すごいねユミ。大人達がいうこと聞いてくれるなんて」 「モトキ君が親を説得してくれたおかげ」 「うん。僕、親が行政委員なぐらいしかとりえないからねえ」 「危険な任務なのによく行かせてくれたね」 「いいんだよ弟がいるし」
帽子男 @alkali_acid
踏破性の高い無限軌道の車両に乗っていく。 使節は総勢七人。防衛団の二人、行政委員会の委託を受けた代表とその補佐、医師と技師、あとは雑用係。といってもモトキは防衛団のしたっぱ、ユミは技師の助手。 「旧連邦道路に沿って進む。途中警戒すべきは中型獣と…部族」 「部族?奴等人を襲うのか?」
帽子男 @alkali_acid
「襲う」 「あいつらが我々のものを欲しがるとはな」 「欲しがるのはものじゃない…女だ」 「女?」 「ああ。あいつらと我々は交配可能らしくてな」 「じゃあユミ君は危険じゃないか」 「…女がいなければ皆殺しにするだけだ、奴等の縄張りに入った人間を」 「やれやれ」
帽子男 @alkali_acid
移動を開始して十日目。道が完全に崩落している。何か大きな生きものが踏み砕いたようだ。 「迂回路を探すか」 「ほかに方法はあるまい」 「密林地帯に入るが…部族の縄張りでは」 「奴等が気づかんことを祈ろう」
帽子男 @alkali_acid
異世界が転生してきてからというもの、生態系はぐちゃぐちゃになり、温帯だったこの地域にも熱帯のような植生がはびこっている。なんだかよく分からない飛行生物が滑空し、木の洞の池から飛び出す、なんだかよく分からない水棲生物を捕食する。ほとんどは記録にない。
帽子男 @alkali_acid
銃で撃てば殺せるが、音はもっと好ましからざるものを引き寄せる。 「…ここは車両が通れるとは思えんぞ」 「切り払って進む…最短距離で旧連邦道路に戻…」 地響きがする。濃霧がたちこめ、サイレンに似た音が響く。中型獣だ。 背中から蒸気を拭いて機関車のように進む。
帽子男 @alkali_acid
「隠れろ!やつを刺激するな!!」 防衛団員の命令で、一行は樹々のあいだにうずくまる。 「あれで"中型"だと…悪い冗談だ…」 最悪なことに機関車もどきは履帯つき車両を見つける。形がむかついたらしく、角だらけの鼻づらをぶつけようとする。 「くそ!車両を守…」
帽子男 @alkali_acid
照明弾が上がる。 「でっかいの!こっちに来なさい!」 ユミが銃を手に囮になっている。 「げ、ユミちゃんまじ?」 慌てるモトキ。 「お前は代表たちを乗せて車両を後退させろ。運転はできるな」 「え、隊長は」 「小娘ひとりに任せておけるか」 「僕も助けに」 「役割分担だ!」
帽子男 @alkali_acid
防衛団の二人が銃を手に中型獣と戦いにおもむく。 モトキは迷うが、命令に従って代表たちを乗せて車両を後退させる。 「いいのかね。君の幼馴染が」 「…えーとえーと。よくはないですが…うおおお!!」 中型獣の尾がおもっくそ車両をどつく。 「やっべやっべやっ…」 もう一発。
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コメント

にょんギツネ @nyol2novel 2018年2月13日
まとめを更新しました。
いしゅ @ishut6 2018年2月13日
「あ、不毛だからやめよ」っていうあたりが、うまく言い表せないけれども、とても好きです
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