専門家間のチェック(監視)システムに関する議論
全ての市民が行政・技術の専門家の全ての挙動を常時チェックすることは不可能であるし、すべきでもない。平常時は、異なる専門家が互いにチェックし合うようにシステムを設計・運用しておくこと。例外時には、市民が「検算」できるような情報公開を行っておくこと。こういった処置が「信頼」の基盤。
2011-04-03 10:23:31平常時、例外時共にチェックシステムが肝要。「ノーチェック・無根拠の信頼」を安心と呼ぶならば、安心は行政や専門家集団に望むべきでは無い。それでも人間には安心が必要ならば、提供しうるのは顔の見える共同体や家族のみ。必要だが、無根拠。その負担を最小限にするための、システムとしての信頼。
2011-04-03 10:32:40.@gnsi_ismr 遅ればせながら。平時・有事ともに専門家間のチェックシステムが必要というのは禿同なんですが、それは通常のピアレヴューとどう違うのか、ピアレヴュー以上のことであれば、どうやってそれを行うインセンティヴを作るのかが問題になるわけですが、どうなんでしょう?
2011-04-03 14:20:34つまり大多数の専門家は「我々はピアレヴューで相互にチェックしている。それ以上に何が必要なのか?」と思うだろうし、それ以上のことをするには、その分、常の研究・教育・学内行政仕事等の労力や余暇を削らなければならないわけで、何か強い誘因が必要になると思うわけです。@gnsi_ismr
2011-04-03 14:25:25通常のピアレヴューを超えて何らかの専門的チェックを行う形態としては例えばNGOによる監視機能があります。これは、有事化しやすいイシューに限ることですが、社会的に主流の専門家等に対する批判的姿勢、問題を改善したいという社会的・政治的意思がチェックを行う誘因になっています。
2011-04-03 14:33:01平時のみならピアレヴューだけでいいが、有事に備えるためのチェックシステムとしては、まさにイシューに対するそういう社会的・政治的な批判的関心と意思をもった知的活動を継続的・組織的に行えるようにすること、そのために社会は一定のリソースを配分すべきだと思うわけです。
2011-04-03 14:37:14ちなみにそうしたチェックのあり方を指して、高木仁三郎は「独立の専門的批判の組織化」と呼び、自身も原子力資料情報室を創設・運営しました。また「ポスト・ノーマルサイエンス」という、いわば有事化しやすい科学に対してJ.ラベッツは「拡大されたピアレヴュー」と呼んでいます。
2011-04-03 14:42:31.@hirakawah 具体的には、原子力安全保安院が、原子力発電の推進と規制の双方を担う経産省の下部組織であるような状況を解消して、例えばフランスの原子力安全局のように組織的にも独立して規制機関として機能しうるような形を取ることです。 http://ow.ly/4s0UV
2011-04-03 15:58:43.@hirakawah ピアレビューによるチェックは原則的にその学問領域の内的規範に関するものになるのでトランスディシプリナリーな問題は扱えないでしょう。「規制」専業の組織・専門家が社会から信託を受け、「推進」専業の組織・専門家との間に緊張関係を形成する状態を意味しています。
2011-04-03 16:04:40.@hirakawah 他方情報公開は、平常時のこのような専門家・専門組織の拮抗関係の妥当性を検証することが目的です。異なる立場の多数の非専業専門家・非専門家による分散的な検証を可能にし、個々人の負担を軽減する効果をもたらします。
2011-04-03 16:09:33.@hirakawah その際、細かいことですがたとえば文書データを画像としてスキャンしたpdfでの情報公開ではなく、加工可能な形でのデータやAPIの提供など、より低負担での検証を可能とする情報公開を、非専業専門家、非専門家、市民の側から要求することが肝要だと思います。
2011-04-03 16:11:29.@hirakawah いずれにしても確かに「コスト」のかかる話です。しかし市民にとって最も重要なリテラシーは、個々の科学技術の知識の理解もさることながら、このようなチェック&バランス、情報公開のメカニズムの必要性を理解し、要求し、維持するためのコストを払う、ということかと。
2011-04-03 16:19:17.@gnsi_ismr なるほど。具体的存在として規制システムを念頭に置かれていたのですね。その点で、「『規制』専業の組織・専門家と『推進』専業の組織・専門家との間に緊張関係を形成する」という論点、まさにその通りだと思います。
2011-04-03 17:04:37.@gnsi_ismr しかし「規制専業」は、組織は作れても、肝心の「中の人」がなかなかいないという問題があるんですよね。化学や食品の規制分野だと、相対的に「推進」から独立した専門家が規制機関やその周囲にいると思いますが、原子力は推進派が規制を兼ねる度合いが相当に強い。
2011-04-03 17:08:27.@gnsi_ismr ただ、食品や化学の分野でも、国の規制機関の専門家が十分に各方面から信頼されているかというと、疑問をもつ人は多いですよね。その点で、政府における推進/規制の拮抗関係をチェックすると同時に、自らも拮抗するアクターになりうるNGOが必要だというのが僕の見解です。
2011-04-03 17:13:20.@gnsi_ismr 昨日もとある会合で話題になったのですが、科学技術に限らず日本社会では、「国」と「個人」の間にあるべき中間組織のレイヤが非常に貧弱で、個人が高度な専門性を要求する国家的イシューに丸裸で直面せざるをえなくなっています。そうした中間レイヤをどう作っていくか。
2011-04-03 17:17:37.@gnsi_ismr そういう中間レイヤーを構成するアクターの一つがNGOで、もう一つが特に政策提言機能をもったアカデミーです。米国なら全米研究評議会(NRC)。日本にも学術会議がありますが、組織としての能力はまだまだ貧弱で、アウトプットも質・量ともに低レベルなのが現状です。
2011-04-03 17:21:47で、何がいいたいかというと、@gnsi_ismrさんと全く同じで、個人が丸裸で社会的・国家的問題に直面しなくていいように、制度的・組織的なチェック&バランス機能を政府と中間レイヤーにおいて高めること、そして個人は、それを構築・維持するコストをちゃんと払おうよということですね。
2011-04-03 17:25:52.@gnsi_ismr ちなみに情報公開では科学的合意文書のまとめサイトであるGreenFactsとか、政府がもつ生データをAPI提供している英国政府の data.gov.uk の取り組みが面白いですね。後者に関しては日本の総務省統計局もやればいいのにと思います。
2011-04-03 17:34:54.@hirakawah ええ。もちろん拮抗する組織が行政組織である必要は全くなくて、社会システム全体に官公民問わずチェック&バランスを取るアクター群が布置されているような状況を実現することを目標とすべきだと思います。そこで問題となるのが運営資金と個々のアクターのインセンティブで。
2011-04-03 17:38:01.@hirakawah 海外の動向についての情報はすでにある程度日本でも知られていると思うのですが、そのままコピーしようとしても仏作って魂入れずになる懸念があるので、今個人的に興味があるのが、個々のプレイヤーがどのような信念、情熱、実利的理由でコミットしているのかということです。
2011-04-03 17:50:30.@hirakawah 確かに「国家依存」か「市場経済+自己決定」かという二者択一しかない(と考えてしまう)のは不幸な状況だと思います。
2011-04-03 17:52:50.@hirakawah さらに、そのためのコストを払うことは、必ずしも経済や生活を停滞させることにはならず、むしろ日本製品やサービスのブランドの維持や国際政治上の観点から、「投資」とさえ言えると考えています。今が適切なタイミングかどうかは分かりませんが、避けて通れない議論かと。
2011-04-03 17:57:13gnsi_ismr Times is out! http://bit.ly/hRQYFg ▸ Top stories today via @insidehighered @saulueda
2011-04-05 02:12:40gnsi_ismr Times is out! http://bit.ly/hRQYFg ▸ Top stories today via @insidehighered @saulueda
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