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先日紹介した、カナダ在住のマスタリングエンジニアChristopher A. Dion氏によるブログ「VCA,Opto, Vari-mu,FETコンプ、それぞれどのように使い分けるべきか?」 quantum-music.ca/wordpress/inde… ぽつぽつ抜粋意訳します。エミュレーションのユーザも判断に役立つかも
2017-12-15 10:25:29・VCA:概要 基本的にRMSではなくピークに反応する。動作は速く、細かいダイナミックスの変化やトランジエントに反応する。特定の用途には適しているが、ハマらないときはからっきし。通常ハードKNEEだが、中にはバスコンプとしても使えるよう、よりソフトなニーになるよう設計されているモデルもある。
2017-12-15 10:27:03・VCA:使うべきでない場面 曲の平均レベルを均したいとき。VCA式はマクロ・ダイナミクスを調整する能力は微塵もない。VCA式は瞬間的なピークを抑えるのに優れているが、それだけ。平均レベルの調整は、Vari-Mu式やOpto式などに委ねるが吉。
2017-12-15 10:28:56・VCA:制約 大抵音が痩せる。これで音をWARMにするのは困難。あと音をスムーズにするのには向かない。これを実現するにはリリースタイムを長めに設定する必要があるが、そうするとスピーカにシーツを被せたような音になる。
2017-12-15 10:29:31・VCA:一例 SSL, Neve, APIのバスコンプ。Focusrite RED, DBX 60, Alan Smart C1 (VCAの解説はここまで)
2017-12-15 10:29:58・Opto概要 最近、ヘンな解説を目にした。曰く「光以上に速いものはないので、Opto式のコンプレッサーもとても反応が早い」これは間違い。Optoはむしろ、コンプの中でも最も反応が遅い部類。
2017-12-15 11:36:33・Optoコンプの動作原理 ざっくり意訳すると、Opto(光学)式コンプは文字どおり内部に電球とフォトセル(光に反応する素子)を持っている。入力信号で電球をドライヴして、それを受けたフォトセルがゲインリダクションの量を決定する。
2017-12-15 11:36:58電球やLEDを想像すればわかるが、灯るまで、あるいは信号断してから光が消えるまで少し時間を要する。瞬間的なピークには一切反応しないかもしれない。よって必然的にOpto式のコンプは比較的、入力信号の平均レベルに反応することになる。これは一発のピークも逃さない前述のVCA式とは対照的。
2017-12-15 11:37:50このため、他の方式のコンプに比べて、高めのレシオ設定でも破綻なく運用可能。プラグインのコンプなどでは、RMSに反応するタイプの製品が、Opto式と同じように使用できる。
2017-12-15 11:38:00・Opto:使用すべき場面 マクロダイナミクスに作用するためRMSを均すのに適している。たとえば曲の前半は静かで後半がラウドな場合、VCA式だと前半はなにもせず、後半を破綻させることになる。このような場合にOpto式を使用すれば、わりと自然に全体のレベルを均一化してくれる。
2017-12-15 11:38:26Opto:使うべきでない場面 使うべきでないというか向かないのは、ピークやスパイクが多い場合。一時は通過させるかもしれないが、その後特徴的なポンピングを起こす。低域が多いコンテンツも同様にポンピングが生じる元になる。(これは検知器にハイパスフィルタを備えたモデルでは問題にならない)
2017-12-21 22:33:27Opto:利点 とても透明。ほとんど副作用なくミックスをタイトにしてくれる。トランジエントを全部均してしまわない
2017-12-21 22:34:42Opto:制約 とにかく低域が多いソースに対して発生するポンピングに注意。2ミックスに使うときはサイドチェインにHPFが入っていることを確認せよ
2017-12-21 22:36:30Opto式コンプの一例 LA-3A, JLM Mac Opto Comp, LA-2A, TubeTech CL1B
2017-12-21 22:36:56Variable Mu式(真空管式) 概要:コンプレッサーの方式としては最も歴史があるにも関わらず、現在もハイエンド用途で使われて続けている。Manley Variable Muは数えきれないプラチナムレコードに使われた。マスタリング用コンプで 業界標準になったモデルというのは他にはあまりない。
2017-12-21 22:43:00誤解がないように言っておくと、出力段に真空管のあるOptoコンプは真空管式とは言わない。VariMu式の設計では、実際のコンプレッションに真空管が使用される。
2017-12-21 22:45:05VariMuは非常にスムーズなコンプレッションを行う。伝達曲線(transfer curve)は直線的とはほど遠い。実際のレシオは、ゲインリダクションの量に応じて増加する。つまり、トランジエントが大きいほど、よりハードコンプレッションがかかる。
2017-12-21 22:48:54この方式のもう一つの特徴は、時定数。VCAやFET式のように、ただちに信号に反応しない。真空管式のコンプは作動に時間を要し、効きすぎるということが決してない。この特徴により、他方式のコンプでは到底成しえないような、ミックスをまとめる(glue a mix together)能力がある。
2017-12-21 22:52:04真空管式:使うべき場面 ミックス内のダイナミクスがある程度まとまったら、そのまま真空管式コンプに通してみよ。ミックスをタイトでソフトでスムーズにまとめ上げてくれる。例えばアグレッシブながら痩せたギターなどはvariable muコンプによりスムーズかつWarmにできる
2017-12-21 22:55:51真空管式:使うべきでない場面 ダイナミクスに関する問題対処、あるいはパンチを得る目的には向かない。 これらの用途で使用するには、時定数が遅すぎるため、アグレッシブさは微塵もない。また、細かなダイナミクスを扱うにも遅すぎる。
2017-12-21 22:58:29真空管式:利点 プラグインでは得られないような、Warmかつリッチなサウンドを持つ。これにより奥行き、質感と明瞭さがもたらされる。スムーズさを求めているなら、おそらく必要としているのはコレ
2017-12-21 23:00:31真空管式コンプの例: Fairchild 670, Altec 436C, Manley Variable Mu. 個人的には Manley と Altec 使ってる(追記: 最近入手したHCL Varis, まじすげーよ!
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