超訳「ピンク・ノイズをリファレンスにしてミックスする方法」SoundOnSound 2014年12月号掲載

標題は少しミスリーディングなところがあって、どちらかというと「ミックス始めに大雑把なバランスを素早く組むテクニック」かな、と。 原文:Mixing To A Pink Noise Reference https://www.soundonsound.com/techniques/mixing-pink-noise-reference
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Mixing To A Pink Noise Reference ピンク・ノイズをリファレンスにしてミックスする方法 (SoundOnSound 2014年12月号掲載) soundonsound.com/techniques/mix…

2018-02-18 07:38:13
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ミックスバランスを組む順序の定番は、まずキック、スネア、ベースなどのレベルを決めてから、それを基準に他のトラックを合わせていくというもの。これには理由がいくつかある。1)リズムの根幹を成す 2)他のパートと比べてエネルギー(≒メータの動きへの影響)が大きい場合がほとんど、など。

2018-02-18 07:51:56
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なので、これらのレベルを先に決めると、あとで全体のレベルが大きくなりすぎる状況を回避できる。 あるいは歌モノでボーカルを主役として前面に出すなら、ボーカルのレベルを先に決めることもあるだろう。 これらはいずれも正当な手段ではあるが…

2018-02-18 07:51:56
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もうひとつ、手っ取り早く、簡単で、驚くほど効果的なやり方がある。ミックス中のパート同士の相関で各パートのレベルを決めるのではなく、ピンクノイズを炊き、それに照らして各トラックのレベルを順に決めていく方法だ。

2018-02-18 07:51:56
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トチ狂ったエセ科学のように聞こえるかもしれないが、これが案外有効なのだ。以下、この手法がなぜ効果的かを説明し、続いてそれを証明しよう

2018-02-18 07:51:56
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まず、なぜホワイト・ノイズではなくピンク・ノイズを使用するのか? 確かにホワイト・ノイズは全周波数を均等に含む。しかしヒトが近くする音量は、周波数が上がるにつれて直線的ではなく対数的に増加する。つまりホワイト・ノイズでは、オクターブごとに3dB大きく聞こえてしまうのだ。

2018-02-18 07:56:59
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他にも周波数バランスの異なる各種ノイズは存在するが、今回の用途ではピンク・ノイズで十分とする。 ※各種ノイズをもっとマニアックに追及したいなら、Wikipediaにて'Colors of noise'を参照されたし

2018-02-18 07:57:00
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ピンクノイズに対してミックスバランスを組むにはどうするか?基本的な考え方としては、まずノイズ・ジェネレータ(フリーのもの後述)を使用し、ミックス時の目標とするレベルに合わせる。次に、最初のトラックをソロでピンク・ノイズに重ね、耳でレベルを合わせる。

2018-02-18 10:57:03
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このときソロパートがノイズに埋もれない程度のレベルに合わせる。それを終えたら一旦そのパートをミュートし、次のトラックをソロにして同様にレベルを調整する。これをすべてのトラックに対して行えば基本のレベル設定は完了。ここまではあくまで概要。以降は、これらの手順について詳細に説明する

2018-02-18 10:57:03
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まず、ノイズ・ジェネレータが必要だ。フリーのMDA TestTone。これの便利なところは、入力信号をそのままスルーさせることができる。よってマスターバスにそのまま挿すことができ、DAW内で複雑なルーティングを組む必要がない。

2018-02-18 10:58:27
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これのもう一つのメリットは、このように配置することで、ミックスが進んだのちも簡単にオン・オフできる。たまにチェックして、ノイズよりも大きく飛び出るパートがあれば警告となる。ただ残念ながらこのプラグインはVSTフォーマットでのみ提供されているためVST非対応のDAWはラッパーが必要になる

2018-02-18 10:58:28
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(続き) 話を進める前に確認しておきたいのだが、読者は当然、ミックス時に十分なヘッドルームを残す重要性をよくご存じだろう。必要であればゲインは後段に稼ぐことは可能だが、今のところは良好なダイナミクスをもつミックスができるよう、ヘッドルームを確保する必要がある。

2018-02-18 20:28:05
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このため、まずノイズのレベルを調整する ここで考慮するべきはピークではなくRMS(平均)レベルである。ピークメータにも使い道はあるが、ピークのトランジエントがコンプレッサーを作動させる可能性などは、ここでは心配する必要はない。

2018-02-18 20:28:05
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一部のDAWはバスにRMSメータが付属する。なければ、メータ・プラグインを準備する必要があるかもしれない。今回の例ではMeterPlug社のK-Meterを使用する。※訳注:訳者個人はVoxengo SPANがオススメ

2018-02-18 20:28:06
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次に、プロジェクトの規準レベルを設定する必要がある。このとき、ノイズの再生音量が適度になるよう設定する必要がある。今回はメータをK-14に設定し、ピンク・ノイズが0VUに振れるようレベルを調整した。

2018-02-18 20:34:02
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最後に、インサートしたノイズ・ジェネレータを無効にした際にミックス・バランスのモニタ音量が変わらないよう、ルーティングを確認する。

2018-02-18 20:34:02
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※訳注:この辺は超意訳。要約すると、たとえばミックス中にマスターバスのフェーダで全体の音量を調整する必要が生じても、リファレンスとなるノイズの再生音量が変わらないようにしろ、ってこと。

2018-02-18 20:34:03
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さて、いよいよトラックの音量を調整する。この作業時にはチャンネルミキサーのフェーダは使用しない。フェーダはユニティ(0)に合わせ、レベルの調整はインプットゲインで行う。(インプットゲインがDAWの標準機能として備わっていない場合、たいてい専用のプラグインが付属する)

2018-02-18 20:48:52
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あるいは、Blue Cat "Gain Suite"といったフリープラグインや、クリップゲインで対処してもよい。 フェーダではなくこれらを使う方が、後の作業…特にオートメーションの書き込みがしやすくなる。 ※訳注:大抵のフェーダは、ユニティに近い位置ほど細かいレベル設定が可能

2018-02-18 20:48:53
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また、チャンネルのPANがおおよそ決まっているパートに関しては、この時点でPANを調整してもよい。

2018-02-18 20:48:53
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ここまで完了したら、各トラックをソロで聴きながら、ピンク・ノイズよりもほんの少し飛び出て聞こえる程度にトラックのインプット・ゲインを調整する。シンプルに聞こえるがやることはそれだけ。ノイズに比べて大きすぎれば下げ、まったく聴こえなければゲインを上げる

2018-02-18 20:48:53
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ひとつ注意しなければならない点として、一部の周波数やある種のサウンドは、他よりもピンク・ノイズに対してヌケてくることがある。たとえばキックの超低域などはノイズに埋もれがちなので、レベルを上げたい衝動を抑える必要がある。この辺の加減は少し経験を積めば要領がわかってくるはず

2018-02-18 21:05:30
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また、高域のハイハットの高域なども、若干の加減を必要とする。 ちなみにこの作業を行うときは、リバーブやディレイなどSENDを無効にする方が作業しやすい。

2018-02-18 21:05:31
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最後の注意点。このピンクノイズに対してバランスを組む作業の実践者が詰まりがちなが、ボーカル。問題は、ボーカルがどちらかというとダイナミック(音量差が大きい)点にある。コツは、音のアタックや子音などばかり聞くのではなく、ボーカルが常にノイズに埋もれずに聞こえるようにすることである

2018-02-18 21:05:31