【昭和37年生まれ。】1日10円あれば、駄菓子屋でクジ付きの味付ヨーグルトや甘納豆が買えたし、貸本漫画(1日10円)も借りることができた。5円引き怪獣ブロマイドなら二枚買えた。
私は昭和37年生まれ。 小学校低学年の頃の小遣いは1日30円だった。これは多い方で、周囲では1日10円という子供が多かった。 1日10円あれば、駄菓子屋でクジ付きの味付ヨーグルトや甘納豆が買えたし、貸本漫画(1日10円)も借りることができた。5円引き怪獣ブロマイドなら二枚買えた。
2018-02-26 10:02:49同級生のYは母子家庭で、お母さんの仕事は「妾」だと言った。 私はメカケの意味がわからなかったので、親に尋ねると、困った顔をして 「メカケっていうのは、眼鏡の耳にかける部分のゴムを作る仕事だ」 と嘘をついた。 Yの小遣いは「一ヶ月に10円」だった。これは極めて少ないが、そういう子供のため
2018-02-26 10:02:51の駄菓子もあり、例えばパットライス(ポン菓子)を固めたものは一個一円だったから、一月十円でも3日に一個は食べられた。 また五円引きブロマイドは、同じ怪獣が出たら、買えない子供に「めぐんでやる!」と言って無代で譲渡する慣習があった。 「めぐんでやる」などというと今では人権問題になりそう
2018-02-26 10:02:52だが、子供の世界ではそんな大層なものではなく、譲る方はちょっとした優越感に浸れるし、貰う方もその好意に過剰に反応することなくブロマイドを集められるという、昔ながらな気楽な友達関係の表れだった。 中には「あっ!またガマクジラが出た!」と、めぐんでもらいたい子供の目の前でブロマイドを
2018-02-26 10:02:53ビリビリに引き裂いてしまうような奴もいたが、そういうやつは、「ドケチ虫」と昆虫呼ばわりされた上で、友達の輪から外されてしまうのだった(これも、今ではイジメとして非難されるのだろうが、私は子供の世界の正しい正義が行使されていたように思える)。
2018-02-26 10:02:53(続き)五円引きブロマイドの頃は子供の社会は平和だった。しかしカルビーの仮面ライダースナック付属のカードが流行しはじめると、殺伐としたものになっていった。ライダーカードには子供の収集癖を刺激する仕掛けとして、ナンバーが付けられていた。またカードを収納するアルバムもあり、これは当たり
2018-02-26 10:11:12が出ると貰えるようになっていた。 番号順にカードを集めようとすれば、交換を行わねばならず、そのためには、同じカードが出てもトレード用にとりあえず持っておくようになる。 つまり貧しい子供に「めぐんでやる」という美しい慣習は、ここで絶たれたのである。 仮面ライダースナックは20円ぐらい
2018-02-26 10:11:13したので、五円引きブロマイドに比べれば遥かに高価であった。 しかしブームは恐ろしいもので、皆、親の金を抜いてまで買いまくるようになる。欲しいのは菓子ではなく、オマケのカードである為、袋も開けずに菓子を道端に捨てる子供が増え始めた。この打ち捨てられた菓子を野良犬や乞食が漁りに来る。
2018-02-26 10:11:14私の近所では早朝、菓子屋の親父が、捨てられたライダースナックを密かに回収していたことが判明し、新聞沙汰になった。「カードなし」と記して、道端から回収したスナックを再度店に並べ、安く販売していたのだ。私の友人など、誕生日、クリスマスなどのプレゼントとしてライダースナックを1カートン
2018-02-26 10:11:15買ってもらったと自慢していたし、カード欲しさに刃傷沙汰という事件まであった。ついに事態を重く見た学校から「スナック禁止令」が出たのであった。 私の担任は、ライダースナックだけでなく、その大元である仮面ライダー自体を禁止とし「見るのはダメ。考えるのもダメ」と厳しいことを言い出した。
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