アオキ果実とその虫こぶ形成者アオキミタマバエの敵対的共進化

現存し確認可能な植物と稙食者のせめぎ合い(相互作用)は食われる者と食う者の共進化の結果と考えられる。アオキとアオキミタマバエ(果実に虫こぶを形成)の相互作用がyoutubeで発信されたので、紹介した。
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今井長兵衛 @medanjin

アオキ果実とゴールメーカーの相互作用のほんのさわり youtube.com/watch?v=TIcGC_…

2018-02-16 17:16:30
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今井長兵衛 @medanjin

アオキは常緑の灌木で、斑入りの品種などが庭や公園に植栽されることも多い。秋に赤い実を付け、熟果は落下したり鳥に啄まれて運ばれたりする。早春に花を付けハエ類などの蜜源となる。

2018-02-17 19:00:37
今井長兵衛 @medanjin

アオキミタマバエはアオキの幼果に産卵し、ゴール(虫こぶ)を形成する。ゴール化された幼果はいびつな形になり、秋に落下することもなく、翌年6月頃にゴール内でタマバエが蛹化し、やがて羽化する。

2018-02-20 18:36:00
今井長兵衛 @medanjin

アオキミタマバエの成虫は、摂食できず、2日間ほどしか生存できない。その間に交尾・産卵して次代を残す。

2018-02-21 18:47:52
今井長兵衛 @medanjin

アオキミタマバエはアオキ幼果の内果皮の内側に卵を産み付ける。しかし、アオキの内果皮は堅く、初期のアオキ幼果は内果皮に完全に包まれているので、タマバエは産卵管を挿入しても内果皮を貫通することができず、産卵に失敗する。

2018-02-22 20:32:38
今井長兵衛 @medanjin

かくして、アオキは、幼果の内果皮を堅くすることで、アオキミタマバエの産卵(→ゴール形成)から果実を物理的に防衛する。しかし、アオキは堅い内果皮に包まれたままでは、幼果の成長が阻害されるというジレンマを抱えている。

2018-02-23 19:46:37
今井長兵衛 @medanjin

アオキ幼果は、内果皮をひび割れさせることで、肥大成長を始め、成長につれてひび割れが拡大する。アオキミタマバエは、アオキ幼果の内果皮のひび割れ箇所に産卵管を挿入すると産卵が可能になる。

2018-02-25 10:51:31
今井長兵衛 @medanjin

自然界の動植物が示す諸現象の時間的変化およびその気候あるいは気象との関連を研究する学問をフェノロジーという。植物あるいは食われる者が稙食者あるいは食う者の攻撃に曝される時期あるいは発育段階をフェノロジカルウインドウという。

2018-02-25 19:02:55
今井長兵衛 @medanjin

アオキとアオキミタマバエの相互作用においては、フェノロジカルウインドウは幼果の内果皮にひび割れが生じることによって開かれる。では、フェノロジカルウインドウが閉じられるのは如何なる時点であろうか。答えのヒントは冒頭の映像の中にある。

2018-02-25 19:08:09