東浩紀『ゲンロン0』読書メモ集

東浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、2017)の読書メモをまとめました。
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荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「「観光」という熟語は、英語の「ツーリズム tourism」あるいは同語源のヨーロッパの言葉の訳語として明治期に使われ始めたことが知られている。この熟語は『易経』に由来し、もともとは「国の威光を観る」という別の意味で使われた」(東浩紀『ゲンロン0』)。へぇー。

2018-03-03 13:07:52
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「観光客は動物だった。観光は動物を支援する産業だった」(東浩紀『ゲンロン0』)。大衆的ってことが言いたいんだけど、東哲学では「動物」の語でカバーされる範囲が結構広いから面食らうね。

2018-03-03 13:15:48
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「観光客にとっては、訪問先のすべての事物が商品であり展示物であり、中立的で無為な、つまりは偶然のまなざしの対象となる。観光のまなざしとは、世界すべてをパサージュ=ショッピングモールと見なすまなざしにほかならないのだ」(東浩紀『ゲンロン0』)。これは面白いね。

2018-03-03 13:24:11
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「ルソーの論敵と記したが、じつはこの紹介にはあまり意味はない。というのも、ルソーは論敵だらけの人物だったからである」(東浩紀『ゲンロン0』)。ウケる。

2018-03-03 13:49:24
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

ああ、『カンディード』って実は逆ヨブ記っぽい話なのかもな。

2018-03-03 14:09:09
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

思ったけど、東観光客論の観光でもって偶然のまなざしを回復するぜ話って、グローバリゼーションが(実は)中途半端な現在だからこそ説得的なのであって、仮にグローバリゼーションが全面的に完遂されたら、観光的意欲って潰えるんじゃないか。どこも同じ風景なわけだし。ググれば出てくるし。

2018-03-03 14:54:04
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

問題は、そのような完遂がありうるかってことだと思うんだけど、少なくとも動物=大衆に最適化された環境はかなり画一的に設計可能なんじゃないだろうか。で、疑問になるのは、グローバリゼーションの画一化に飲みこまれない地域別の風土性を維持(=観光の動機づけを確保)できるのかってこと。

2018-03-03 15:02:25
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

おそらく私たちはグローバリゼーションの速度の差でもって、様々なナショナルなものを幻視している。面白いのは、進行の終点までいってもなお観光は可能だ、となったとき、私たちはそれでもって何を楽しんでいるのか、なにとなにの間にどんな差異を見出しているのか、ということ。

2018-03-03 15:08:59
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

私の理解だと、我々が身体的存在であり、有限で可死的な存在であり、つまりは地球上にある座標のある一点に位置づけられているという事実が、ただちに人間を偶然的なものたらしめるはずなので、なんでそのことを忘れて必然性の想像力が育っちゃうのかってことに興味がある。

2018-03-03 15:15:19
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「規律と管理というふたつの権力形態は、ほんとうはたがいに排他的ではないはずだからである。規律と管理は同時に作動しうる」(東浩紀『ゲンロン0』)。おぉー、鋭い気がするぞ!

2018-03-03 15:35:39
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「このシンガーの序列化の論理においては、犬や猫ならまだしも、ハムスターやカメレオンといったペットに人格性が認められることはまずないだろう」(東浩紀『ゲンロン0』)。ん、シンガーにとって重要な基準って人格性の有無なんだっけ? 痛みを感じるかどうか問題は…。

2018-03-03 16:49:20
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「より恐ろしいのは、本アカと裏アカの使い分けを、その使い分けをしているはずの当人もだんだんできなくなっていくことだ。虚構で毒を吐き続けていれば、やがて現実にも影響を及ぼす。ひとはそんなに器用に「分人」になれない」(東浩紀『ゲンロン0』)。正しい。

2018-03-03 17:08:06
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「『地下室の手記』は二部構造になっている。第一部は四〇代の中年男性が記した手記で、第二部はさらに、その男性が二〇代のころの自分の失敗を思い出して書いた手記という設定である」(東浩紀『ゲンロン0』)。オォー、これってまんま『ゲンロン0』の説明なんじゃないの。メタ感がしていいじゃん。

2018-03-03 17:52:35
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「ルソーのマゾヒズムは、ドストエフスキー以上に屈折し、あからさまなものだったように思われる。たとえば彼は『告白』で、青年時代に下半身の露出を行っていたことを赤裸々に告白している」(東浩紀『ゲンロン0』)。ウケる。

2018-03-03 18:03:23
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

東浩紀『ゲンロン0』読了。やっと読んだぞ。久しぶりに東ワールドを堪能した気がする。面白かったよ。

2018-03-03 18:31:07
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

野暮なこと書けば、確か私の記憶では宇野常寛『リトル・ピープルの時代』の「誰もが父になっちゃう」(大意)という主張に対して、実際に子供もつかどうかには大きな差があるだろうってツッコんでた気がするんだけど、考え方変わったんだろうか(変わってもいいし、変わってなくてもいいよ)。

2018-03-03 18:32:58
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

しかし読んでて思ったけど、今度出す『仮説的偶然文学論』は最後に葉山嘉樹をもってきているんだけど(ネタバレ)、寄寓によって奇遇が守られる葉山文学の家の問題は、ちょっと「家族の哲学」感がするかもな。『移動する村落』とか面白いぞ~。

2018-03-03 18:44:34
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

プロレタリア(=無産者)とは語源的にいえば「子供しかもてない者」を指すわけで(その意味でノイジーな子供の声の溢れる葉山文学は多喜二以上に「プロレタリア」文学だったと思うが)、東読者にはぜひとも『葉山嘉樹全集』を手に取っていただきたい。

2018-03-03 18:54:11