【三人で野菜スープ】福間健二 #k2fact186

福間健二 @acasaazul

歩いて道をつくる。そうだった。カフカも言っていた。小道、それは歩くことによってできる。一般的には、人が踏みならして、自然に。その前に、いらないものを始末する。墓地、深刻顔、整流装置。始末できないのは、操作と関係なしに出てしまうこのノイズ。（三人で野菜スープ１）#k2fact185

福間健二 @acasaazul

地理と歴史では地理を選ぶ。移動するうちに、それがどういうことかは曖昧になって、数と関係もはっきりしなくなる。でも、それぞれのやり方で色つきの情報をシャットアウトする。ぼくも役割を果たすだろう。寝て、起きて、寝て、起きて、あがいて手探りで。（三人で野菜スープ２）#k2fact185

福間健二 @acasaazul

きのうを黙らせる。少なくとも、着ているのは膝が出てしまう浴衣だと気づくまで、その何人かはあまり大きくないサナギだ。美しい蝶になるだろうか。使う必要はないのに、ぼくは痛みどめを置いた場所を思い出そうとしている。夢のなかでもそうだったように。（三人で野菜スープ３）#k2fact185

福間健二 @acasaazul

エミリーは言った。苦痛の表情に嘘はない。そうでも、そこに結果が出たというわけじゃない。みんな、少しずつ警戒するようになって、倒れないもののそばに。二月。上と下、外と中、どっちから劣化するのがよかったのか。恍惚として転がる物体の同類ならば。（三人で野菜スープ４）#k2fact186

福間健二 @acasaazul

【訂正】 （三人で野菜スープ１）#k2fact185 → #k2fact186 （三人で野菜スープ２）#k2fact185 → #k2fact186 （三人で野菜スープ３）#k2fact185 → #k2fact186

福間健二 @acasaazul

鏡のなかだけでおこる事件。十何年ぶりという寒さ。左右逆になった空。その雲が隠しきれない光にどういう不都合があるのか。怖がることはないのに、倒れないもののそばに、と思うから色がついてくる。用心がむしろ災いして、きみたち、ぞんざいに扱われる。（三人で野菜スープ５）#k2fact186

福間健二 @acasaazul

そうかなあ。カフカは言っている。死にたい。それが理解のはじまりの最初のサイン。だから、野菜スープを、三人で。ここははっきりと三人、「好き」が入りくんで報われない関係の三人だ。キャベツ、ニンジン、タマネギ。何をわかるのだ。スープはおいしい。（三人で野菜スープ６）#k2fact186

福間健二 @acasaazul

開かれた心の行き場がないということ。二人でいても、三人でいても。解決にはならないが、盗んだジャケットの襟立てて、三月。道しるべの糸が切れ、空気の流れは変わっても、そのままの、倒れないものと転がるもの。一緒にいておもしろいのはどっちだろう。（三人で野菜スープ７）#k2fact186

福間健二 @acasaazul

生きることは。明日は大事な試合があるという夜、それまでの負けたときのことしか思い出せない。不安な夢。理解できないことばかり明るい家に持ち込み、不満顔の他人。その解決を盗んでもてあましていた。顔の基準寸法、そんなものが迷宮にまであるのか。（三人で野菜スープ８）#k2fact186

福間健二 @acasaazul

夢からさめて出会う人の顔。なにか、ではなく、それが。それが美しい。それだけで凍った海を砕く彼女と彼のパフォーマンス。二人に誕生日を祝ってもらった。三人で温かいソーメンを食べて、生クリームのコーヒーも。きょうはたくさん思い出すことがある。（三人で野菜スープ９）#k2fact186

福間健二 @acasaazul

何度目だろう。選んだ「それ」が消える。だれへの指示かわからない声が聞こえるなか、よく似た製品のなかに。一緒に選んだ二人もどこかに行った。不必要なことばかりするね、この王様の手。ちがう、王様をやっつける手だ。スープを温めるくらいできるよ。（三人で野菜スープ10）#k2fact186