フリー編集者から漫画家への、SNSで宣伝して本を売れるようにする方法の助言。『まずは、あなたというおもしろい人間がいることを知ってもらうこと』

SNSで宣伝して本を売れるようにする方法
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荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

商業活動5年のBL作家さんから、DMで人生相談をいただきました。 ・同人からのスカウトでデビュー。単行本は爆死 ・絵の練習やBLの勉強を続けても手応えがない ・twitterやpixivで宣伝を頑張ったが、無反応が苦しくアカウントを削除 ・潔くやめるべきか、もう少し踏ん張ってみるべきか という内容です。

2018-03-13 18:00:04
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

本が売れない理由は大きく分けて 「おもしろくない」 「知名度がない」 「お客さんがお金を払ってくれるレベルまで温まってない」 だと思います。 おもしろいおもしろくないはモノを見てないので何とも言えませんが、相談者をスカウトした編集の目を信じて、問題を「知名度と熱」に絞りたいと思います

2018-03-13 18:20:42
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

「twitterやpixivで宣伝頑張ったけど無反応が苦しい」 という記述に攻略のヒントがあるかなと感じます。 たぶん相談者がした宣伝というのは 「いついつ発売の◯◯にマンガが載るから見て!」 というよく見るタイプのやつと、その派生だと思うのですが、この手の宣伝はあまり効果がありません。

2018-03-13 18:53:21
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

知名度が低い作品の宣伝に対する世間の目は冷たいです。 「知らないし、興味ない。ていうか宣伝ウザい」 というマイナスに振り切ったところからのスタートだと思ってください。この「冷めきった潜在顧客」をどう振り向かせ、温めていくか作戦を練らなければなりません。

2018-03-13 19:01:48
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

今まで発表したもの。今やっている連載。それらの宣伝は一度忘れましょう。まずは人通りの多いところで芸を見せて、往来を楽しませる。観客をさんざんおもしろがらせた後で 「実はこういうのもやってるんですよ」 と言って本命を見せる。これなら読んでもらえます。SNS時代の作家の戦い方です。

2018-03-13 20:00:14
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

「読んでもらえさえすれば絶対おもしろいんだ!」 ではなく 「あなたというおもしろい人間がいることを知ってもらう」 ところから始める。 あなた自身のファンを作って、おもしろいから応援してやろうという気にさせる。宣伝が信用されなくなった現代では、一番強いのは作家自身のコンテンツ力です。

2018-03-13 20:13:22
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

インターネットにおける「人通りの多いところ」は放映中のアニメだったり、ソシャゲのイベントだったり、話題作のタグだったり色々あります。大勢集まって会話が盛り上がっているなら、オリンピックだろうがコマンドーの実況だろうが活用できる可能性はあります。場をさらに盛り上げて人気者になろう。

2018-03-13 20:28:32
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

エンタメは人を楽しませる仕事です。相談者の悩みは自分ばかり見ていて、他人を楽しませるという視点が欠けているように見えたので、このような返答になりました。まずは周囲を楽しませること。結果は人気や応援という形で後からついてきます。「まだ5年」ですのでもう少し創意工夫することを勧めます

2018-03-13 20:35:36
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

今日の一連のツイートは絵が描ける人向けなので、文字書きさんには応用が難しいところはありますが……。磨伸映一郎先生は自分のおもしろさを本業に転用するのが上手くないだけですよ! 上手く立ち回れるようになったら本業でも今の10倍100倍RTされるよ!!!

2018-03-14 00:11:44
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

あとですね。一本描くのに1~3ヶ月もかかっちゃうなら、いっそのこと ・一度描きだしたら手を止めない ・消さない。描き直さない という縛りを設けて、同じ話のネームを2~3本切ったほうが、結果的に早くおもしろいものが描けるんじゃないでしょうか。行ったり来たりする時間は無駄が多いです。

2018-03-14 02:53:23
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

フリーランス編集者である私の最近のスタンスは「商業連載と作家個人の両方のプロデュース」です。出版不況で商業が大変しょっぱいので、作家さんが望めばSNSや同人活動等のプロデュースも請け負っています。 twitter.com/kanata3115/sta…

2018-03-14 15:36:58
かなた @kanata3115

@gouranga_ 漫画編集者の仕事が締め切りを守らせる以外に何があるか分からないのですが プロデュースは含まれないのですか? 作家はアプローチしないといけない時代なら当然バックアップがあるんですよね?

2018-03-14 10:13:48
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

エンターテインメントの根っこは「原始時代の、焚き火を囲んでする、とっておきの話」だと思ってます。一緒に焚き火を囲んでいる連中が、目を輝かせて聞いてくれるかどうかが一番大事。寝たり違う話をせがまれたりしたら負け。顔色をうかがってその場その場で話を盛ったり削ったりするの。

2018-03-14 21:53:30
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

フリーランスの尖った意見を「出版社社員の編集者」の意見と誤認して批判されるの迷惑です。私は「出版社が金も宣伝力も甲斐性も無くしてしまった中、我々(私もフリーなので立場は同じ)はどう生きるか」という視点で話してます。望まれれば作家個人のプロデュースもしてます。 twitter.com/goodhuntstalke…

2018-03-15 15:45:07
m.tokuoka @goodhuntstalker

編集者が作家に対して「作家自身がコンテンツになれ」とアドバイスするのって、養鶏業者が雌鳥に向かって「お前はなかなかいい卵が産めるから、鶏肉にもなったほうがいいな」って言ってるのと同じでしょ

2018-03-15 13:16:11
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

DMをくれたBL作家さんは単行本が爆死して、人気もなければ出版社の支援も得られない状況だったわけじゃないですか。そんな逆境をなんとかしようとしたら、作品より前に自分自身の人気を上げて、作品を読んでもらえる母数を増やすのが、現代的な戦い方という話ですよ。

2018-03-15 15:54:25
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

出版社は今でも「売れた後なら」頼りになる存在です。宣伝とか販促とかばんばんしてくれます。でもね、一番助けて欲しい肝心の売り出し時期にはほとんど力を貸してくれないんですよ。そんな予算も余裕ももはやないんです

2018-03-15 16:01:46
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

なので「出版社がもう頼りにならないから、出版社無しでも食っていける人気とマネタイズを作っていこうぜ! 俺も手伝うから!」というのが最近の私のスタンスです。ご飯が食べられる環境構築が先で、商業出版はオプション。

2018-03-15 16:09:40