【東京・春・音楽祭】「ブリューゲル展」記念コンサート 【2018/3/18】

坂本龍右(リュート)&ペリーヌ・ドゥヴィレール(ソプラノ) 16世紀を代表し、150年にわたり画家を輩出し続けたブリューゲル家。その一族の祖となるピーテル・ブリューゲル1世とその息子が生きたアントワープと周辺ゆかりの音楽が、欧州で活躍する2人の調和で響きます。 演奏者の坂本龍右氏のツイッター上での紹介をまとめました。聞いたことのない作曲家ばかり。
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【東京・春・音楽祭2018】「ブリューゲル展」記念コンサート!

2018/3/18(日)14時@東京都美術館にて。
出演:ペリーヌ・ドゥヴィエ―ル(ソプラノ)、坂本龍右(リュート)

16世紀を代表し、150年にわたり画家を輩出し続けたブリューゲル家。その一族の祖となるピーテル・ブリューゲル1世とその息子が生きたアントワープと周辺ゆかりの音楽が、欧州で活躍する2人の調和で響きます。

公式のお知らせは↓
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_4952.html

坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

「ブリューゲル展」記念コンサートの、曲目解説の執筆作業が最終段階に。調べれば調べるとほどに、ブリューゲル(父)の暮らしていた時期のアントワープ(アントウェルペン、アンヴェルス)が、短期間ながらもヨーロッパにおける「音楽の都」であったことを実感します。熱いぞ、16世紀半ばのアントワープ!

2018-02-28 07:56:50

歌唱する言語は、フランス語をはじめ、イタリア語ラテン語オランダ語
だからこそペリーヌ・ドゥヴィレール氏をスイスからお呼びしました。

坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

来月18日の「ブリューゲル展記念コンサート」のため初来日する、歌手のペリーヌ・ドゥヴィレール氏をご紹介します。一昨年パンクラシッシクス・レーベルよりリリースされたルッツァスキの作品集より、豊かなディミニュ―ションで満たされたマドリガーレを歌っている映像です。 youtube.com/watch?v=xeEU4k…

2018-02-08 22:14:56
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坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

この録音には私も参加しました。4:26~の6声マドリガーレの演奏では、トップを歌うペリーヌ氏はじめ、日本でもファンが増えているカウンターテノールのドロン・シュライファー、そして以前見事なムファットの演奏を紹介したヴァイオリン奏者エヴァ・サラディンなどの姿も。youtube.com/watch?v=0rh-HR…

2018-02-15 08:55:33
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坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

続く「カルロG手稿」の録音(グロッサ・レーベルからリリース)でも、ペリーヌ氏は大活躍。グルッポやトリッロといった装飾も楽々と歌いこなす技量はさすがで、それでいて決して技巧に走るということがありません。伴奏のオルガンはアンテニャーティのオリジナル(1588)を使用。youtube.com/watch?v=h1QOYt…

2018-02-15 09:13:54
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坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

こちらはしっとりとしたバンショワのシャンソンを歌うペリーヌ氏。彼女が参加しているソラッツォ・アンサンブルは、2014年バーゼルのスコラで学ぶ学生たちで結成。中世及び初期ルネサンス音楽を専門として、活発な演奏活動を展開しています。youtube.com/watch?v=jCmHd5…

2018-02-15 20:03:48
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リハーサルも好調の様子♪

坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

フランス人歌手のペリーヌ・ドゥヴィレールと18日の「ブリューゲル展」記念演奏会のリハーサル。久しぶりの共演ですが、改めて豊かな音楽性に脱帽。こちらの要望に応えて、見事なディミニューションをその場ですぐに披露してくれます。tokyo-harusai.com/program/page_4…

2018-03-04 20:47:52
坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

仏・伊・羅、さらには蘭語による歌も今回のプログラムに入っています。彼女はそれらの歌い分けを全く苦にしません。また、ネイティブが16世紀のシャンソンの際どい歌詞をさらっと歌う様子も、伴奏する側としては何気に楽しみだったりします。彼女を、こうして日本の皆さんに紹介できるのは嬉しい限り。

2018-03-04 20:59:10

「ブリューゲルが活躍した時代(16世紀)・場所(アントワープ)の音楽」というコアな内容

そのころのアントワープはどんな場所?

坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

現在のベルギー第2の都市アントワープは、16世紀前半に北ヨーロッパにおける商業・貿易都市の中心的地位を、ブルッへ(ブルージュ)から奪取し、その後は各地の富が一挙に集中する場に。ブリューゲル(父)の壮年期が、この都市の空前の繁栄期と重なったことは、創作活動にはプラスだったことでしょう。

2018-03-07 21:54:17
坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

3月18日は「ブリューゲル展」記念コンサートということで、ブリューゲル父子の活動したアントワープ(アントウェルペン)に関わりのある音楽を中心に、プログラムを組みました。彼らの生きた時代を含む約1世紀と少しの時代を、音で辿っていきたいと思います。#古楽演奏会1803 #ブリューゲル展 pic.twitter.com/36tnwm84nV

2018-03-07 10:36:12
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坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

さらに16世紀中盤~後半のアントワープは、全ヨーロッパの書籍出版の中心でした。旺盛な楽譜出版活動によって、ヨーロッパ各地の音楽の供給・交流地点となったことで、ブリューゲル時代のアントワープは短期間ながら、当時のヨーロッパにおける「音楽の都」の機能を有していたと言っても良いのです。

2018-03-07 22:03:12
坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

時代を代表する画家ブリューゲルを生んだ16世紀のアントワープは、音楽活動の面でも見逃すことができません。有名な著名なアントワープ大聖堂を舞台とする教会音楽の伝統はもちろんのこと、豊富な経済力を持つこの都市に魅せられ、各地から優れた音楽家が移住してきて活動を開始していました。

2018-03-07 21:57:44

全曲解説です!
プログラムはこちら

  • J. バルビロー:楽しい歌、喜びを奪われた男
    **
  • カニス:私の恋人は神様から贈り物をもらった
  • スサート:バスダンス、ロンド
  • クレメンス・ノン・パパ:私の奴隷に来て
    **
  • プヴェルナージュ:天にまします我らの父よ
  • ファレーズ:ブランル、ウンガレスカ、サルタレッロ
  • フェニアン:ディアナはもう恋人でなくなった
    **
  • ヒューウィット:リュートのためのファンタジア
  • ゲドロン:それはマルスの神なのか
    **
  • 作者不詳:アントワープのパッソメッツォ
  • ヴァレリウス:誇り高き心、私は悲しむ
    **
  • ガストルディ:誰よりも美しいクロリス

    聞いたことのない作曲家ばかり・・それではどうぞ。

- ジャック・バルビロー(1455-1491)
アントワープ大聖堂の楽長。
演奏曲:楽しい歌、喜びを奪われた男

坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

ジャック・バルビロー(1455-1491)は、アントワープ大聖堂の聖歌隊長を務めた人物。早世したため現存作品は少ないものの、その音楽は高い評価を得ていました。彼の3声曲「楽しい歌 Een vroylic wesen」はヨーロッパ各地の手稿に残り、当時の人気曲だったと思われます。#古楽演奏会1803 #ブリューゲル展 pic.twitter.com/drt7e6jM0R

2018-03-08 10:49:15
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坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

今回演奏するのはここに挙げた「セゴビアの手稿譜」からの版。また同曲は、作曲者の死後の1529年にアントワープで出版された音楽指南書にも、器楽用編曲の形で含まれています。こちらについては、昨年夏のレクチャー・コンサート「ポリフォニー×ディミニュ―ション」で演奏しました。

2018-03-08 10:55:44

- T・スサート(1510/1515頃-1570以後)
全盛期のアントワープの楽譜出版のボス。

坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

全盛期のアントワープの楽譜出版をリードしたのが、ティールマン・スサート(1510/1515頃-1570以後)。その夥しい出版譜の中でも特に人気だったのが、フランス語のシャンソン集でした。時に猥雑な内容もさらりと歌ってのけるシャンソンは、この時代の自由闊達さの象徴。#古楽演奏会1803 #ブリューゲル展 pic.twitter.com/4z3WKMsym8

2018-03-08 22:28:35
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スサートの編纂したシャンソン集から演奏曲:
J・クレメンス・ノン・パパ(1554頃-1604)
同時代のフランドル地方では最大の作曲家のひとり
演奏曲:私の奴隷に来て

C・カニス(1500/10頃-1561)
ハプスブルクのカール大帝おつきの音楽家。
演奏曲:私の恋人は神様から贈り物をもらった

坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

今回スサート編纂のシャンソン集から選んだのが、コルネリウス・カニス(1500/10頃-1561)の「私の恋人は神様から贈り物をもらった M’amie a eut de dieu le don」。このように、ブリューゲル時代のアントワープではフランス語による歌が溢れていました。 pic.twitter.com/yWwYZoHWWW

2018-03-08 22:44:06
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坂本龍右 Ryosuke Sakamoto @contra2nd

クレメンス・ノン・パパ(1510/15頃-1555または56)は、ブリューゲル(父)の同時代人では当時最も知名度の高かったフランドルの作曲家です。あらゆるジャンルに渡り膨大な数の作品を残しましたが、その中からシャンソン「Venes mes serfs 私の奴隷に来て」を演奏します。#古楽演奏会1803 #ブリューゲル展

2018-03-11 11:40:31