A1ピクチャーズで自殺者が出たほんとうの理由 ー 再論

A1ピクチャーズで自殺者が出たほんとうの理由 - Togetter https://togetter.com/li/1209077 ↑これの続きです。
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uroak_miku @Uroak_Miku

togetter.com/li/1209077 これの補足的つぶやきをしましょう。

2018-03-18 17:51:44
uroak_miku @Uroak_Miku

2)「ブラック企業」がマスコミで取りざたされるようになったのは2010年頃でしょうか。もっともこの2年前に『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という本が話題になっていますが。

2018-03-18 17:54:05
uroak_miku @Uroak_Miku

3)『電車男』という本が昔ありました。2004年です。2ちゃんねるの書き込みを書籍化したものでした。以後、同種の2ちゃん書籍がいくつも世に出て、『ブラック会社~』もそのなかのひとつでした。2008年です。

2018-03-18 17:55:56
uroak_miku @Uroak_Miku

4)「ブラック企業」が流行語大賞に入賞したのが2013年。

2018-03-18 17:57:02
uroak_miku @Uroak_Miku

5)あ、そういえば「年越し派遣村」というのがありましたね2008年暮れから翌年にかけて。『高杉さん家のおべんとう』でオーバードクターの主人公が、このニュースを身につまされる思いで目にしているシーンが第一巻にあったと思います。

2018-03-18 17:59:57
uroak_miku @Uroak_Miku

6)ブラック企業とは何か。改めて私なりに説明すると、それまでの「正社員は会社が経営ピンチのときも首切りは後回しにされる、その代わりピンチのときは非正社員を首にして人件費を削るからそのぶん正社員が猛烈に働いて人手不足の穴埋めをせよ、残業も出向も文句言うな、そのかわり[続く]」

2018-03-18 18:03:56
uroak_miku @Uroak_Miku

7)「[続き]扶養家族のことも考えて給料とボーナスは出してやる、定年退職までとにかく面倒は見てやる出向だけどな」という正社員システムを拡大解釈して「正社員なんだから猛烈に働け潰れたら自己責任だ辞めるのは根性がないからだ」とムチ打って、どんどん辞めていくのをむしろ利点にして

2018-03-18 18:07:18
uroak_miku @Uroak_Miku

8)新人にどんどん入れ替えていくことで活気を維持する…これがブラック企業のメカニズムです。下手に会社に残られたりしたら所帯持ちになって扶養家族手当よこせとか言い出すからどんどん酷使して骨までしゃぶって自主的に去っていただきましょう、というわけです。

2018-03-18 18:09:49
uroak_miku @Uroak_Miku

9)正社員優遇(&酷使)システムは1973年のオイルショックがきっかけで日本に根付いたものです。右肩上がりだった日本経済ががたっとエアポケットに陥って、人員削減をどうするかで経営者と組合がぶつかった。そして妥協策として「正社員はなるべく首にしないから非常時には働きまくれ」と

2018-03-18 18:13:22
uroak_miku @Uroak_Miku

10)いうところで手打ちがされた。日本経済新聞文化欄には「私の履歴書」といって、功成り名遂げた経営者の方々が一か月かけて自身の半生を綴るコーナーがあります。山場はたいていオイルショック後の人員削減をめぐって組合とどう交渉したかの裏話。

2018-03-18 18:14:58
uroak_miku @Uroak_Miku

11)「正社員」という概念は労働法にはありません。どの法律にもない。アルバイトもパートタイムも契約社員もそう。法律では「労働者」であり「被雇用者」です。法的な正式名称はちょっと違うのですがここでは話をわかりやすくするためにこの呼称で論じてます。

2018-03-18 18:16:53
uroak_miku @Uroak_Miku

12)「正社員」とそうでない労働者の二分システムによって日本はオイルショックを世界に先駆けて乗り越え、再びの経済成長期に突入。バブル期に進み、1989年がピークとなった。イケイケの空気はもう数年続いたのですがこの年を頂点に日本経済は勢いを失くしていった。

2018-03-18 18:19:22
uroak_miku @Uroak_Miku

13)話は21世紀に跳びます。バブル崩壊と経済の沈滞が10年以上も続いた日本。そこに小泉純一郎というスーパースターが現れた。

2018-03-18 18:20:25
uroak_miku @Uroak_Miku

14)2001年ですね彼が総理大臣になったのは。政策の基本は「小さな政府」。つまり民間にできることはなるべく民間に委ねて国の財政をラクにしましょうという方針です。

2018-03-18 18:22:45
uroak_miku @Uroak_Miku

15)国民はこの政策を支持した。「役人どもが税金を無駄遣いしているんだから民営化や独立行政法人化はまことにけっこう」と私たちは考えた。小泉総理は「郵政ですよ郵政の民営化こそが日本再生の第一歩なのです」と連呼し、選挙でも大勝。

2018-03-18 18:26:17
uroak_miku @Uroak_Miku

16)しかしこの政策は次第に想定外の影響を広げていった。『耳をすませば』というジブリ映画がありますね。主人公の父親は図書館の司書さんでした。1995年公開。この頃はまだ司書が「正社員」的ポジションだったわけです。

2018-03-18 18:28:15
uroak_miku @Uroak_Miku

17)ところが小泉改革の影響で、図書館司書がパート主婦に置き替えられていきました。司書の資格がある主婦がパートで採用され、『耳すま』パパ的な司書さんは次第に少数派になっていった。首になったのではなく新たに採用されなくなったのです「正社員」枠では。

2018-03-18 18:30:04
uroak_miku @Uroak_Miku

18)公共図書館は一応官公庁系です。教育委員会の所轄。官公庁のほうでこんな風に「正社員」をじりじり減らしていく動きが広がり、民間もこれに倣った。「国がやってるんだから民間のうちでやっても差し支えないわけだよな」と。

2018-03-18 18:34:21
uroak_miku @Uroak_Miku

19)こうやって「正社員」中心システムが揺らぎ始めた。

2018-03-18 18:38:16
uroak_miku @Uroak_Miku

20)2000年代のことです。こういう雇用システムの水面下での変更がじわじわと広がるなか、ブラック企業が生まれてきたのではないかとみます。

2018-03-18 18:39:21
uroak_miku @Uroak_Miku

21)詳しいことはその方面の学者さんの論考に当たっていただくとして、①正社員はとにかく文句いわず働け、②正社員は扶養家族ぶんも含めて会社が給与やボーナスを保証してやるぞ、のアメとムチでまわっていた「正社員」システムから①のみを抽出したのがブラック企業です。

2018-03-18 18:41:41
uroak_miku @Uroak_Miku

22)細かいところは省略して説明すると、新卒社員は未婚者がほとんどだから扶養家族なんていないわけで、①の理念でどんどんこき使っても、結婚前に自主的に辞めていってくれれば②から雇い主は解放される。

2018-03-18 18:44:17
uroak_miku @Uroak_Miku

23)バレーボールでいう時間差攻撃みたいですね。②が発動する前に①に基づいてじゃんじゃんこき使って心身ボロボロにして、自主的に去っていただくシステムです。

2018-03-18 18:46:00
uroak_miku @Uroak_Miku

24)「むむむ、アニメ業界がまさにそうやって回っているんじゃ…」と思った方は鋭い。私の「日本のアニメはブラック業界」論を読んでいただければ感じはつかめると思います。synodos.jp/society/14091

2018-03-18 18:49:02
uroak_miku @Uroak_Miku

25)「ああ、ここからいよいよA1ピクチャーズでの過労死問題に切り込むんですね」と思ったあなたは少しばかりせっかちさんです。ここで今一度、小泉政権に目を移すつもりだから。

2018-03-18 18:50:26