日向倶楽部世界旅行編第39話「白百合の騎士」

香港で色々あったが事なきを得た日向達は、新たな目的地に向け航海を再開する…ハイドロ団は許せないという気持ちを胸に…。
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三隈グループ @Mikuma_company

【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 日向の後を追っていた最上さん達から事の顛末は聞きました…許し難い行いです、人の心を、ましてや恋を弄ぶような輩は、どのような理由があれ決して許されるものではないでしょう。ハイドロ団、詳細は分かりかねますが、明らかになり次第懲らしめなければならないでし

2018-03-20 21:00:37
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【前回の日向倶楽部その2】 日向失恋!惚れた男は詐欺師だった! 航海は続く…

2018-03-20 21:01:34
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第39話「白百合の騎士」

2018-03-20 21:02:32
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〜〜 ここはハイドロ団の基地、ハイドロ博士は唸る 「ギガント兄弟がやられたか…知略と力を併せ持つ奴等を倒すとは相当よ」 「次は私が行きましょう」 「ほうお前が行くか!優れた実力を持つお前なら勝てるぞ!行ってこい!」 こうして一人の悪党が送り出された、ハイドロ団の追撃は続く… 〜〜

2018-03-20 21:03:35
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〜〜 悲恋に終わった日向の恋、尾けていた最上達から事の顛末を聞いた仲間達は、ギガント兄弟とそのバックにいるハイドロ団に対し強く憤り、見つけ次第コテンパンにする事を誓った。 と、そんなこんなあった波乱の香港をヒューガリアンは出港、サイコロを振って次なる航海を開始した。

2018-03-20 21:05:00
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そしてここはヒューガリアン船内の一室、広々とした暗い部屋で、VRなゴーグルを着けたあきつ丸が身体を動かしている。 その側では三隈と鈴谷が、データの沢山並ぶディスプレイとあきつ丸とを交互に見ていた。 「ふむふむ…」 撃沈数などを表す数字を見て鈴谷は頷く。

2018-03-20 21:06:35
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やがてピピンっと音が鳴り、部屋の明かりがつく、あきつ丸は深く息を吐き、ゴーグルを外した。 「お疲れ、どう?」 息の荒い彼女に鈴谷はスポーツドリンクを渡す、あきつ丸はそれを受け取り、二口ほど飲んで答える。 「ええ…これは凄いであります、まるで本当に戦っているようで…」

2018-03-20 21:08:08
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そう、彼女は今、バーチャルリアリティを用いた戦闘用シミュレーターで訓練を行なっていたのだ 「ふふっ、これは各拠点で導入が進められている最新式の機材、これまで以上に効率の良い訓練が行えますわ。」 「VRなんてオモチャの類とバカにしてたけど、これを見せられちゃそうとも言えないねェ…」

2018-03-20 21:09:35
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鈴谷は機材を見ながら感嘆の息を漏らす、これは艤装のデータを取り込んでシミュレーターに反映し、テクノして海の上で戦闘しているのに近い経験を味わえるという凄い訓練機材である。 艦娘の訓練というのは如何せんコストや場所を取りがちだが、これなら悪天候の室内でもトレーニングに励めるのだ。

2018-03-20 21:10:33
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そしてこれの開発元は三隈グループの系列企業、三隈テックである。 「まあ、こればかりだといざ海に出た時対応出来ない事も起きますから、あくまで上を目指したり、勘を忘れないようにする、慣れた方の為の補助機材としての役割が主ですわ。」 「まさにあきつ丸ちゃんにはピッタリってワケね」

2018-03-20 21:11:56
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鈴谷の言葉に三隈は頷く 「その通り、丸ちゃんならこれを最大限使いこなせるはずよ。」 「そ、そうでありますか?」 「勿論。私、貴女の真面目で勤勉な部分は良く知っているつもりよ、だからこれを取り寄せたの。」 照れ臭そうに目を背けるあきつ丸に、三隈は強気な微笑みを向けて言った。

2018-03-20 21:13:08
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この機材やその為の部屋の改装は、自動操縦の時と同じく、香港に滞在している間に彼女が手配したものだった。 「だから大丈夫よ、貴女ならできるわ、一緒に頑張りましょう?」 「…はい、頑張ります!」 三隈の微笑みに、あきつ丸はハキハキとした声で応えた。

2018-03-20 21:14:32
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と、その話中へ鈴谷が笑いながら入った 「へへへ、じゃああたしからも、あきつ丸ちゃんにプレゼントあげちゃおっかなァ」 「プレゼント?」 疑問符を浮かべていると、鈴谷は懐から一冊の大学ノートを取り出し、あきつ丸に渡した。 「これは?」 「ま、簡単な教科書ってとこカナ」

2018-03-20 21:15:36
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そのノートには資料の切り抜きや手書きの文章など、多くの情報が記されていた。 「…そいつは、あたしがこれまでに色々と書いた伝統のノート…」 「えっ?」 そんなものを…といった顔のあきつ丸に、鈴谷は首を横に振る 「ごめんウソウソ、あきつ丸ちゃん向けにちまちまと書いた奴だよ。」

2018-03-20 21:16:34
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あきつ丸は尚の事目を丸くするが、鈴谷は何の気なしに言う 「そいつには、まあ戦う上での心構えみたいなのが色々書いてある、暇な時に読んでおきなよ。」 「これを、わざわざ自分の為に…?」 「あたしプロよ?仕事は当然やるってワケ、これもその一つ。」 鈴谷はへらへら笑い、白い歯を見せる。

2018-03-20 21:17:36
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そして今度は真面目に言った 「…シミュレーターの結果見れば分かるけど、あきつ丸ちゃんは艦娘個人としての技術は今のままでも悪くない。ミックのこれでそれも向上するはずだし、あんまり悲観する事はないよ」 彼女はディスプレイからノートへと指先を移し、続ける

2018-03-20 21:18:37
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「…なら、後必要なのは心構えや状況との向き合い方よ、その辺りをきちんと意識すれば、艦娘としてだけじゃなく他でも成長出来るはずさ。」 「他の…」 「そ、胡散臭い自己啓発本みたいだけど、気の持ちようって結構大事だとあたし思ウヨ。」 親指を立ててそう言うと、鈴谷はニッと笑った。

2018-03-20 21:19:41
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「あ、ありがとうございます鈴谷殿…」 「ヘヘッ、まあ感謝は成長で伝えて頂戴よ、あと何も書いてないとこにはメモでもしておくと良いよ。」 「はい…!」 あきつ丸はノートを大事に抱え、強く頷いた。 (ホントは書く事無くて白いんだけどネ) 鈴谷はきらきらの彼女から少しだけ目を背けた。

2018-03-20 21:21:21
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と、そんなこんな良い話が終わったところで、三隈がパンっと手を叩いた。 「では、そろそろお昼にしましょう?」 時刻は正午を過ぎて半刻、ランチタイムである。 「そうでありますな、お腹も空いてきましたし」 「何が良いかしらね、食材はあるから多分一通りは作れますけど…」

2018-03-20 21:22:42
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あれやこれや話す二人、そこへ鈴谷が口を挟んだ 「あー、ちょっとあたしトイレ行ッてくるわ、昼はあたし何でも良イカらさ」 「あら、そっちは…」 鈴谷は、二人が言葉を返すより早く部屋を出て行ってしまった。 「…まあ、余程急いでらしたのね…反対の御手洗に行ってしまいましたわ。」

2018-03-20 21:24:32
三隈グループ @Mikuma_company

きょとんとする三隈に、あきつ丸も呟く 「鈴谷殿はいつもコーラ飲んでますからな…近いのでありましょうか」 「糖尿病に気を付けて頂きたいですわね…お昼はヘルシーなものにしましょうか。」 「賛成であります、自分も最近…」 二人も昼食を作るべく、機材の並んだ部屋を後にした。 〜〜

2018-03-20 21:25:33
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〜〜 その頃、部屋を出て行った鈴谷は廊下に誰もいないことを確認し、トイレへと駆け込む、ヒューガリアンは豪華客船というだけあってトイレは沢山あり、そのどれもがピカピカに綺麗であった。 「…よシ、ここなら誰もいナイ…広くテ助かルナ…」 彼女は薄笑を浮かべながら個室に入り、鍵を閉める。

2018-03-20 21:27:32
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それとほぼ同時、彼女は壁に手をついて苦しみだした 「…ウッ、クソ…ッ!やっぱ、こウナルか…!」 苦悶の表情と共にカッと目を見開く、食いしばる口元からはギリギリと軋むような音がする。 「ふ、フザケやガッて…ウゥッ、グゥッ…やメロ…この身体は…渡さネエ…!この身体は、あたしノッ…!」

2018-03-20 21:29:31
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彼女は鼓舞するように強い言葉を吐く、だが、潰すような痛みが頭を叩いた 「ウッ…うあァァァッ!やめろ!やめロォォッ!」 頭を抑え叫ぶと、激痛が四肢を引き千切ろうとする 「あぁっ!くそッ!消えロッ!あタシヲ、掻き回すナッ!」 足元から崩れ落ち便器に倒れ込む、今度は胸が破裂しそうになる

2018-03-20 21:31:06