戦車小話~超巨大戦車P1000ラーテとは実際何だったのか

なんとなく荒唐無稽なペーパープランと見られがちなラーテですが、実は案外そうでもなかったかもとか
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えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
パショーラクさんの記事、まさかのP1000超重戦車ラーテについて warspot.ru/11521-zhelezny… サッとしか見てないですが興味深い。ラーテの仕掛人はあのグロッテ技師だとか、そしてラーテはコンセプトめいた模型が幾つか作られてて、それがまた今日よく知られてるスタイルのアレとは全然違うとか
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
エドゥアルト・グロッテ技師ってのがまた変わった人で。ドイツ人ですが、例の秘密めかした独ソ軍事技術協力の関係で1930年からソ連に派遣されてTGなる多砲塔戦車を開発してます。TGは採用こそされなかったものの、これの経験がT-35に繋がってくるので地味にソ連にも影響大きい人 pic.twitter.com/BWKRp5rXeG
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さらにグロッテはトゥハチェフスキーとの関係が良好で、そこから1000トン級沿岸防衛戦車の開発という話が出てくる。所謂TG-5です。ちなみにTG-5としてよく知られてるこの絵はグロッテが1937年にドイツの軍事雑誌で公開したものだの pic.twitter.com/bnow4RqkzJ
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つまり独ソの1000トン陸上戦艦計画はどちらも1人の仕掛人から出て来てる訳です。おまえの仕業か。まあ実際TG-5の要目はほぼ後のラーテと同様で、これはもうラーテ原案と言ってもいいかも
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
しかし件の独ソの兵器開発協調が終わるとともにグロッテはソ連から引き上げ、TG-5は消えてしまいます。ドイツに戻ったあとの30年代後半のグロッテが何をしていたのかはイマイチよくわからないものの、幾らか特許を出願したりしてるので普通に技術者として働いてた模様
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
ラーテやTG-5の生みの親と言われるとグロッテは夢見がちな発明家タイプのような気がしちゃいますが、実際はまったく逆だったようです。その後も潜水艦関連の仕事など真っ当な技術者として働いてたようなんですが、しかし1942年に上から1000トン戦車開発の話を振られる。彼の側からじゃないんですね
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
そしてグロッテが潜水艦隊向けの仕事をしてた事がここで生きてきます。このお陰で彼は海軍がどんな物を持ってたのかよく知ってたので、魚雷艇のエンジンだの艦砲だの適当な使えそうなものを簡単に洗い出せたのです。艦砲搭載なのはここから来てるんですね
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そして1942年8月13日にはこの超重戦車開発についての会合が持たれます。ここでグロッテが示した所によれば、全長35m、幅14m、重量は800トンを予定。履帯は幅1200mmのものを片側3組で接地長は21m、よって接地圧は0.54kg/cm^2(意外にちゃんと低い!)などなど
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
エンジンの候補は二つ。まずはMAN社の24気筒2サイクルディーゼルV12Z 32/44 8500馬力を2基。ちなみにこれは1942型駆逐艦への搭載が予定されていたもの。もう一つは魚雷艇用のMB501 2000馬力を6基
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
どうもラーテの開発に関してはグロッテはあまり支援を受けられてない感じも漂います。人手が足りないってんでら20人の技術者を求めるものの、しかし協力する事になってるクルップとしては、まだフワフワした初期段階のプロジェクトにそこまでの人数を割きたくなかったようで
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
この時点でラーテがどれくらいフワフワしていたかと言えば、まだ武装さえ定まっていなかったのです。実はラーテは最初からシャルンホルスト級の主砲を使うと考えられていた訳ではなくて。むしろ第一次大戦の戦艦砲塔を使った30.5cm SK L/50沿岸砲塔とかが話に出てた模様
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というわけで1942年秋にはP1000超重戦車の最初のバージョンが示されます。主砲塔は流用ではなく新造で砲は先述の30.5cm SK L/50。副砲もまた艦砲系で、駆逐艦の12.7cm SK C/34を連装2基。ラーテ砲塔の搭載とか車体前方固定12.8cmとかは後世の創作のようです pic.twitter.com/rUV3g046qs
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×ラーテ砲塔の搭載とか ○マウス砲塔の搭載とか
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これと冒頭のTG-5を見比べると、か完全にそのままという訳ではないにせよ、かなりよく似てます。ただし側面はかなり傾斜装甲になってますし、砲塔は割と後ろに寄せられてます pic.twitter.com/Sx1CMqt0DJ
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副砲塔は戦車にしてはまあまあ仰角が聞きますが、これは対空射撃もさせるつもりだったようです。しかし鈍重な12.8cm連装砲塔(正式な名前は12.7cmですが実口径は12.8cmなのです)では航空機に追随できないと考えられ、代わりに2cm MG151/20機関砲の追加が検討されます pic.twitter.com/VZoIGzrcXF
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2cm MG151/20機関砲はBV社の航空機用油圧動力砲塔HD151を使用。こんな風に左右各3基と後方2基の8門を置きますが……しかしこの配置では前方が死角になると問題視されます pic.twitter.com/E5odg5c57u
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1942年9月後半には新しいP1000案が提示されますが、ここでやっと28cm砲の話が出てきます。2月に巡戦グナイゼナウが爆撃されて砲塔を損傷、これに伴い38cm砲への換装計画が持ち上がるのですがそれはさておき、ともかく砲塔が外されたので、これをラーテに回そうというわけです
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
そうして考えられたのが28cm主砲と4副砲塔案。これ見れば分かるように、主砲は単に三連装から真ん中抜いただけじゃなくて幅が詰められてます。ついでに副砲塔はZ46駆逐艦以降で予定されてた12.7cm SK C/41連装砲塔に変わり高射能力を改善 pic.twitter.com/5ca3CSrEN1
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副砲塔の配置がいかにも主砲砲身に干渉しそうで不安になりますが、ラーテは沿岸防衛戦車なので別に平射で全周撃てる必要はそんなにないのです。仰角かけて全周回ればOK。あと対空機銃の MG151/20の配置も改善されてて、数は8基のままですが死角が減ってます pic.twitter.com/JOukJwN07F
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しかしこの5砲塔版の計画は長生きしません。武装強化のせいで当初800トンだった重量は1000トンになると試算され、これでは当初予定したエンジンでは必要な出力重量比16馬力/トンを確保できない。予定された40km/hも達成できなくなる
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
というわけで軽量化のため、駆逐艦の砲塔を持ってくるのは諦めることになります。これが1942年10月頃ですから、件の5砲塔案は一ヶ月も生きてません。副砲塔としては12.8cmの代わりに潜水艦用8.8cm砲はどうか、と検討されたり。これなら確かに遥かに軽量ですが、でも対空能力は無いんですよね
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
この案の模型や図は残ってないのですが、どうも8.8cmは後部に積む予定だったようです。潜水艦用なんで砲塔ではなく甲板の露砲架砲めいた感じで機関室の上に置くのかしら
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
ラーテは狂気めいた非現実的な構想と思われがちですが、意外にもこの時点までは作られる可能性はあったようです。ただしクルップ社に余計な仕事をかけないよう軍需大臣シュペーアがあらゆる努力を払ってやめさせたとのこと。だいたい1942年末とのことで、ラーテ計画自体は1年も生きてないんですね
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
ところでラーテといえばついでに出てくるのが「80cm列車砲を自走化したP1500」ですが、実はそんなものは無いのだそうです。実際あったのは600トンの60cmないし1800トンの80cmの装甲自走臼砲で、特に列車砲とは関係がない。装甲は前面250mmの側面200mmと無体に厚くて、超超重ブルムベアみたいな感じ
えすだぶ@C97火曜日西2つ13a @FHSWman
ラーテはクルップと契約が結ばれるところまで行ったほど具体的に進んだ計画だったんですが、P1500の方は短命でした。その代わり60cm800トン版が装甲臼砲Urlingなる計画に発展します。これは1049トンで装甲150〜200mm、速度は10km/hほど。44年夏頃までは話があったようです
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